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シェリーの子供

 1-20

「一平これは、変な処で繋がったな」

「そうですね、びっくりしましたね」

「美優さんは本当に名探偵だよ、これは参りましたな」と佐山が笑う.

「京都府警に交通事故の詳しい資料を至急送って貰え」

「はい」

「交通事故に友和が関係していて、それを知った親父の間島が復讐をしたが相手が一枚上手だったとか?名探偵美優の推理でした」と笑った。

「おい、お前の嫁さん刑事より鋭いかも知れないぞ」

「ほんと!」喜ぶ美優。

「今の推理なら一連の事件が繋がる、小泉欄の失踪は間島が隠して居たら、小泉欄を上田親子が見たら?」

調子に乗って「成るほど、佐山君大した推理だな、美優探偵はそこに小泉欄が誰かに喋ったと思うが如何かな?」と腕を組みながら言う。

「おいおい、調子に乗るな」と一平が笑う。

「いや、その通りかも知れない」と佐山が真剣な顔で言った。

「でも事件の元は何だろう?」と一平が言う。

「そんなの、ワンちゃんに決まっているじゃないの、一平ちゃん判らないの?」

美優は微笑みながら言った。

「何故?」

「態々、熱海のペットショップに行く?あの叔母さんが、尾行失敗したけれど」「そうだな、美優さんの推理の通りだろう」

「私の誘拐もあの叔母さんよ、間違い無いと思うわ」

「それは同感です」と小さく言った。

その時メールが着て(今朝、山で見つかった女性の遺体が松本刑事でした)

「佐山さん、松本刑事が見つかりました」と哀しげにメールを見せたのだった。

「柳田、南田、三原、坂田、松本、丸山この事件で6人目の犠牲者か?」

佐山が言ったら「7人目は間島さん?」

「えー、怖い事言うなよ、美優ちゃん」一平が茶化す。

「いや、警護を依頼した方が良いかもしれない」と佐山が言った。

「叔母さん何を探しているのかな?」

「犬よ」美優が言う。

「そうだろうな、熱海のペットショップに行くからな」一平が言うと「身代金目的のワンちゃん誘拐事件だって」と美優が笑った。

三人で話しているといつの間にか静岡に到着した。

「明日、事件の資料で判るだろう、おやすみ、美優さん大変だったからゆっくり休んで」と佐山が言って、タクシーで帰って行った。

「一平ちゃん、そこでビールでも飲んで帰ろう」と飲食店街に行くのだった。

その後の二人は仲良く酔っ払って抱き合って寝て、朝、電話の音で目が覚めた。

「間島さんが居ないらしい」と佐山の声。

「警護に行ったのでは?」

「遅かった様だ」

「新幹線から電話しましたよ」

「その時はもう居なかった様だ」

「行きます」

「一平ちゃんもう行くの?」と美優が裸の胸を寄せてくる。

「駄目よ、お仕事」

「間島さん、誘拐されたの?」

「判らない」


間島は佐山達の話しを聞いて欄が恋しくなって、小泉のホテルに居たのだ。

そこに携帯でお手伝いの千佳子が「変な人が家の周りに居ますよ」と電話をくれたのだ。

会社には用事が有れば携帯にと言って、連絡を一部の人にしていた。

真柴が間島を捜していたのだ。

昨日佐山達が自宅に行ってなかったら、多分連れて行かれていただろうと怖くなった。


翌日、坂田獣医でシェリーが子供を産んだ。

二匹の可愛い子犬だった。

良子はこの犬は主人が誰かに預かったのだと思っていたが、子供が生まれても誰も来ない、血統書は無いけれど見れば素晴らしい犬だと一目で判るのだ。

子犬がまたとても良いから、これは相当高い雄との交配の子供だと判ったのだった。

美優がその日熱海の坂田獣医を訪れた。

それは自分でも事件の人の、その後を見て見たかったから、ワールドペットにも行く予定だった。

「こんにちは、私、静岡でペット関係の雑誌の編集をしている、野平と申しますが」

「どの様な事でしょうか?」

「何かペットの事で記事に成りそうな事でも無いかと思いまして」

良子は若くて綺麗な女の子だからと警戒する事も無く「貴女の雑誌に尋ね犬とか?飼い主を捜すとかのページ無いの?」

「どの様な事でしょう?」

「実は、私の主人も獣医だったのですが、先日交通事故で他界してしまって」

「それはお気の毒さまです」

「その主人が預かって来た犬に子供が産まれたのですが、誰も引き取りに来られないのです、良い犬だと思うのでもし雑誌に載せて頂けるならお願い出来ませんか?」

「どんな犬ですか?写真撮らせて貰って良いですか?」

「どうぞ、写真が無かったら判りませんからね」

そう言いながら携帯のカメラで数十枚、子犬も撮影したのだ。

「お願いね、私も早く飼い主にと思っているのです」

美優は「判りました」と言って獣医を後にした。

この犬が原因だったら凄い事だわ、そんな事は無いだろう、そう思いながらワールドペットに向かった。

今度は刑事の妻だと言って話した。

泉田公平が居て「この犬が小泉さんの犬?」と美優が聞いた。

「そうです、欄さんどうしたのでしょうね」

「大丈夫よ、もうすぐに会えるわ」と慰めるのだった。

美優は「この前、この犬を見に来た叔母さん、どんな犬探していた?」

公平が店の人達に聞いた。

「可愛いシェリーちゃんを京都から迎えに来たと言っていたそうですよ」

「ありがとう」美優は重大な事を聞いたと思った。

先程の犬が本当にシェリーなら、とタクシーで急いで戻ったが、急患の為診療は休みの張り紙が、仕方なく熱海を後にした。


夕方事件の有った美容室に向かった。

それは事件の事と髪を整えに行ったのだった。

「先日は大変でしたね」

「そうでしたわ、私が狙われていたって思いませんでした」

「店の者も怪我もなくて良かったです」

「先日の事なのですが、美容師さんとか、名前とか顔は判るのですか?」

「多いですからね、有名な人は自分から売り込んでネットに掲載していますね」「先日ね、此処にいた、金沢と吉崎と名乗っていたのですが、調べる方法有りますか?」

「中々難しいですね、でも一応探してみましょう」

「金沢守は男性で30歳前後、吉崎は30歳後半ですかね、お願いします」

「丁度あゆみさん、空いたみたいです、どうぞ」

美優は恐々シャンプー台に座ったのだった。


夜一平が帰ってきて「おお、美優綺麗に成ったね」と褒めたのだった。

翌日公子に進二の塾の担当から電話が有り、最近成績が落ちてこのままだと目標の大学は全く無理だ。

最近は女性に夢中で勉強が全く駄目だと連絡が有った。

公子は怒りを進二ではなく進二を駄目にした女に向かった。

進二から携帯を取り上げて調べた。

そしてこの女の素性を調べる様に指示した。

進二が「お兄さんの紹介の女の子だよ」と言った。

さらに「お兄さんが以前付き合っていた、女の人にそっくりの人で、今お兄さん付き合っているでしょう」と言う。

友和に尋ねたが全く知らなかった。

「その女の人の妹さんだよ、名前は工藤留美子さん、お姉さんは工藤好美さん」

携帯に写真が一杯有った。

南が恥ずかしく成る様な写真も多数、その中に一枚間島欄に似た写真が有った。

「奥様、これは?」と見せたのだった。

「間島の娘じゃないの?あの子に妹はいないわよ、一人っ子よ」

「この携帯でこの子呼び出しましょうか?」

「来るか?今までの3~4回しか会ってないと進二が言っているからね」

「メールと写真はもの凄く多いですがね」

「女子高生が喜ぶのは?」

「判りませんね、でもお金が一番じゃ」

「じゃあ、その方法で捕らえて、その可愛い顔ズタズタにして、進二を勉強出来なくしたお返しをしてやれ」

「奥様、これで見ると間島欄に似た女が居ますね」

「私が発表会で見た女ね、その女も捕まえ無ければ」

公子は間島が自分の娘に似た女を捜して自分達を脅かして、シェリーちゃんも誘拐したのだと思い始めていた。



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