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尾行が尾行されて

    1-16

「貴方達何考えているの?私を馬鹿にしているの、誰がこんな小汚い犬を」

「でも、他には居ませんが?」

そこに公平が入って来て「小泉さんは?」と言いながら店内を見る。

「人違いみたいです」と言われて、公平は肩を落とすのだった。

「此処に、丸山って人が居たでしょう?」

「居ませんが」

「どうなっているのよ、店間違えたのかしら」

公子は怒って待たせて有ったタクシーで帰っていった。

側で聞いていた堤婦警が県警に電話を掛けて着た。

一平が丁度居て「あの、私泉田公平を監視している堤と申しますが、私の勘違いかも知れませんが、先程泉田さんの犬を貰いに来た叔母さんが、丸山がこの店に居たでしょうと言ったので、もしかしてあの殺された丸山と関係が有るかと思いまして」と話した。

「そこの店員さんに気が付いた事聞いて」

「京都から来たと言っていました」

「判った」

電話を切って一平が佐山に話した。

「怪しいな?」

「名前も何も判りませんよ」

「タクシー会社を乗せた運転手を捜せ」

「どの新幹線で帰るか?」

「ひかりは16時まで有りませんね」時刻表を見て一平が言う。

「朝は11時過ぎに熱海に来て」

「あっ、美優、熱海に行っていますよ、日帰り温泉に、昼から友達と行くって、もう着いているのじゃ」

「美優ちゃん危なくない?」

「大丈夫でしょう、叔母さん位、服装、堤婦警に聞いて下さい」

「よし」一平は美優の携帯に電話した。

「美優、一平ちゃんです」

「何?今、熱海駅の改札よ」

「事件の捜査で例の連続殺人に関係の有る人物かも知れない女が、今、その辺りに居るらしい、探してくれない?京都から来ている」

「服装は?」

佐山がメモを渡すと「高そうなコートを着た小太りの眼鏡をかけた叔母さんと、紺のスーツの女性」

「探してみるね、朋ちゃんと話すね」

「頼むよ」

美優は改札を出ると高木朋子が手を振っていた。

「あのね、一平ちゃんがね、人探ししてくれと言ってきたの、温泉行けないかも」

「別に温泉はいつでも行けるからいいよ、どんな人?」

「連続殺人に関係ある人が此処に居るのだって」と小声で言って、感じを説明した。

「その人なら今、商店街の方に行ったわよ、電車が無いから、乗り換えるのは嫌だとか、凄く機嫌悪かったわ、もしかして、?」

「温泉」

「そうよ」

「私達が行く温泉?」

「行ってみよう」

「ご主人に言わなくても良いの?」

「まだ見付けてないのに」

「そうか」

「居なかったら、判らなかったって言うわ」そう言って二人は日帰り温泉に行くのだった。

高木朋子も主婦でまだ新婚、美優と年齢も変わらない。

高木の主人は久美浜の高校の先輩だった。

偶然に小田原に住んでいるので仲良く成った。

時々四人で時間が合った時には遊びに行く仲だった。

「お腹空いたから、先に食べよう」

そう言って定食を食べる二人、向こうの方を見て「美優、あの二人似てない?」と指を差した。

バスローブ姿の二人、小太りに眼鏡、金持ち顔だ。

「名前か何か知っているの?」

「何も判らない、でも顔は嫌いなタイプね」

「17時前の(ひかり)で帰るね」

「私達もお風呂に入ろう」

「16時過ぎでも大丈夫よ、あの人達なら」


暫くして湯船に「いつ見てもスタイルも胸も綺麗ね、美優は」と褒める朋子。

「そう」

「最近は色気が出て来たしね」

「一平ちゃんが好きだからね」と笑った。

「仲が良いのね」

「そうかな?仲良いかな?」

「警察は時間不規則でしょう」

「そうよね、それが嫌よ」

[あそこに先程の二人入っているよ」

「サウナね」

「昔ね、ガマガエルってあだ名の怖い叔母さんが居たのよ、似ているよ」

「面白いあだ名ね」と二人は笑っていた。

お風呂を上がると携帯に何度も一平から着信が

「ごめんね、お風呂入っていた」

「見つかったか?」

「それらしき人とお風呂入っていたよ」

「名前とか、調べられないか?」

「難しいな、もしこの二人だったらどうするの?」

「京都?か」

「えー、京都迄行って良いの?」

「危ないよ、大丈夫よ、警察で旅費出して貰ってよ」と話している美優に

「貴方、熱海まで温泉に来た訳じゃないのよ、可愛いシェリーが何故?間違いでは承知しないわ、証人始末してしまってどうするのよ」わおー、この叔母さんだ。

慌ててその場を去ったが、南が立ち去る美優を変な目で見ていた。

「先生、今誰と電話していらっしゃったの?」

「真柴さんよ」

「今、あの人に聞かれたかも知れないわよ」

「えー、でも判らないでしょう、話しの内容まで」

「それなら良いのですが」


その後時間に成って、新幹線乗り場に移動した。

「奥様、あの二人先程の人ですよ」

「偶然だろう、グリーン車には乗らないだろう」

予想通り高木が気付いて移動していった。

「電車に乗るわよ、私達も」

「えー、二人で?」

「一人より二人が安心でしょう」

そこで電話が切れた。

電車に乗り込んだ高木と美優はグリーン車の隣の7号車に座った。

「ワクワク、するわね」

「ほんとうね、サスペンスドラマみたいね」

取り敢えずメールは送っておくから、何処に座っているか見てきて、「判ったわ」朋子が確かめに行った。

その行動が二人に自分達を尾行していると確定させてしまった。

「10号車の8番のAB」

「判ったわ、送っておくわ」

二人の行動を今度は公子達が警戒し始めたのだった。

(真柴さんとの話し聞かれたかも、若い女が二人尾行しているみたいなの)とメールを送った。

一平も美優の安全の為に、松本千登勢刑事を新幹線に間に合う様に行かせたのだった。

美優にはその事を一平は言わなかった。

美優達の行動の妨げをしないで、守って欲しいと云われて乗っていた。

美優がトイレに行った時、南が携帯で習字の話しをしているのを聞いた。

この人習字の先生?名古屋駅が近づいて、美優は彼女らが乗り換えないか?注意していたのだった。

名古屋駅で真柴に頼まれた五人が乗り込んで来たのだ。

尾行しているのが何者か?を調べるのが目的で、上田の奥様を無事に自宅に届けるのが役目だった。

三島千代子、岩田悦子と三人の男、富田、垣内、早瀬、京都駅に到着すると三島と岩田が二人の前でゆっくりと降りた。

三人の男が上田と南を自宅に送ったのだった。

「駄目だ、探偵失敗ね」

「そうね、見失ったね」

「帰りますか?」

「仕方ないね」と上りの(ひかり)に「家に帰ったら10時だね」

「私、11時よ」

「ごめんね」

「でも、スリルが合って楽しかった」

二人に付いて松本刑事も、疲れたと思っていた。

三島と岩田の二人が美優達を今度は尾行しょうと、ベンチで待って居た。

上りの(ひかり)に三人と二人が乗り込んだ。

そして殺し屋が数人乗り込んだのだった。

「静岡で乗り換えだわ」高木が言った。

「お腹空いたね、緊張して食べてなかった」

「何か買って来るわ、売り子さんいるかな?」そう言って美優が探しに行く。

暫くして弁当を買って帰ってきて小声で「京都駅で、私達の降りる時、ゆっくりしていた、叔母さん二人いたでしょう?」

「見失った原因ね」

「その人達、私達の車両に乗っているよ」

「えー」

「やはり、ガマガエル叔母さん、怪しいわね」

「今度は私達を尾行している?」

「そうかも知れないわ?」

「怖いね、」

「もし、静岡で降りたら、今夜私の家に泊まった方が良いわよ」

「そうね、怖いからそうさせてもらうわ」今度は美優たちが怯えるのだった。



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