愛犬の誘拐犯
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三原真理子は寿司屋でビールを飲んで、丸山と作戦会議をしていたが、焼酎に変わってから酔いが廻って「丸山さん、私酔っちゃったみたい」とトイレに立ち上がるとよろけてしまった.
寿司屋の親父に目で合図を送る.
「送りましょう、何処のホテルですか?」
「結構です、一人で帰れます」
そう言っている最中に寝てしまった。
ハンドバックにホテルのカードキーが、丸山は真理子に肩を貸す様な感じでタクシーを呼んで乗り込んだ。
駅前近くの良いホテルのダブルの部屋だった。
手回しが良いね、前日坂田と泊まったままに成っていた。
「ついたよ」返事が無かった。
丸山は薬で眠った真理子を強姦したのだった。
瑠璃は進二をお茶に誘って「もう帰って勉強しないと」
「良いじゃない、一日位羽根を伸ばしなさいよ」
そう言っても帰るのは判っていたから「送るわ」そう言うとわざと腕を組んだのだ。
進二がもう興奮して胸がときめいているのが手に取るように判った。
家の近くまで来て「目を瞑って」そう言うと進二の頬にキスをした。
「じゃあ、勉強頑張ってね」そう言って別れたが進二はもう、勉強の事は頭に無かった。
翌朝三原真理子はベッドに全裸で寝ていて、衣服が椅子に揃えて脱ぎ捨ててあった。
寿司屋の後の記憶が全くなかった。
誰かに此処に連れてきて貰ったのか?自分で全裸に成ったのか?全く不明だったのだ。
時々坂田とSEXの後全裸で朝まで寝る事が有ったから、気に成らなかった。
一平は美優に釧路の事件の時の事を聞いていた。
「倒れた男は一人だったよね」
「そうよ、一人で他には見えなかったけれど、もう一度同じ場所見たら誰も居なかったわね」
「男の人は草の上とか?木の上とか?どんな場所?」
美優が考えて「板かな?」
「板?」
「望遠鏡アップだったから」
「それって、船の上?」
「そうだわ、ボートの上に似ていたわ」
「二人殺されたな、もう一人は南田だ、船で移動したのか」
「もう、寝ましょう」美優が身体を一平にすり寄せてきた。
一平は美優の身体に完全に虜に成っていた。
美優も一平が大好きだったから、円満すぎるかな?と思っている。
翌日釧路の警察に柳田塔子の殺害現場から、ボートで移動して死体を運ぶ場所を探して貰う事に監視カメラとか、高速の監視カメラを捜査の対象にして貰ったのだった。
南田の遺体の捜索、小泉欄の失踪に焦点が絞られていた。
妹の瑠璃が京都に一泊泊まりで行ったとの報告も有ったが、就職先の下見だろう、欄が余呉に立ち寄った形跡が全くなかったから、対象外だった。
その瑠璃は日曜日の夕方も進二を待って居た。
そしてお茶を飲んでメールを交換して、もう完全に進二は瑠璃の虜に成りつつあった。
「明日から学校だから会えない」そう言って、進二に抱きついた。
もう進二に瑠璃の可愛い顔と胸が触れて、頭の中に残ってしまった。
「明日からはメールするね、また会おうね、家の人に言うと叱られるから内緒よ」
「兄貴にも」
「勿論よ、一度だけお茶でもだったのだから、受験の邪魔をしたと叱られるじゃないの」
そう言って別れたが、瑠璃は翌日から合成写真をメールで送ったのだった。
最初は自分水着姿、翌日は、合成のセクシーポーズ、その次は胸が見えそうな写真、全裸を想像する背中の写真を連続で送ったのだった。
もう進二からは好きだ!会いたい!のメールの数が日に日に多く成っていった。
「お姉ちゃん、もう一息で進二は終わりよ、」
「そうなの?」
「毎日私の写真で興奮しているよ、」
「ははは」欄は大笑いをするのだった。
上田の家では公子がトイプードルのシェリーが行方不明で大騒ぎをしていた。
「習字の教室もお休みよ」
チャンピオン犬の子供同士の交配が終わったところだったから、公子の心配は最高に成っていた。
「習字教室の日も見ましたよ」
「そうよね、居たわよね」
「皆さん、愛犬家だから犬に挨拶してから、お習字の練習していましたわ」
三原真理子には犬の扱いは慣れたもので、熱海の坂田の獣医まで連れて帰ったのだった。
「この犬、妊娠しているね」坂田が言った。
「血統書無いから、判らないけれど多分凄い価値有りそうですね」
「脅迫文でも考えるか?それとも血統書頂いて子犬を売るか?」
「あの狡そうな丸山に相談してみたら?」真理子が言う。
「良い考えかも知れない」電話で丸山に相談すると、取り敢えず子犬が生まれるまでには血統書を手に入れるとの返事だった。
暫くして坂田は自分の身を守る為に独自で脅迫文を書いてしまったのだった。
それは南田の死体が支笏湖から発見されたから、釣り人の針に偶然掛かった。
一平は釧路と支笏湖を結ぶ何かが無いか美優の証言から、ルート上の監視カメラの解析に北海道警に頼むのだった。
坂田は自分の事が上田に知られていると思っていたから、文面が自分には手を出すなと書いていた。
公子は「これは?誰なのだ?私の可愛いシェリーを」と憎しみで読んでいた。
公子は進二の成績が落ちている事にまったく気が付かなかった。
毎日の様に会いたいのメールに今は学校だから行けない。
これでも見て私を思って欲しいと、過激なヌードの合成写真を送りつけるのだった。
翌月に公子は誘拐犯をあの習字の日に来ていた人の誰かでは?
そして一人一人消していった。
井原真理子?誰だった?二度しか来てない。
確かにその後は習字の教室は休んでいたが、連絡先に電話をしてみると出鱈目だった。
公子の怒りは頂点に達した。
真柴に直ぐに相談して、私のシェリーを誘拐した女がいるの、手を出すなと言っているけれど許せない、探し出してと頼んだのだった。
丸山は公子に言った事と真理子に言った事を変えていた。
凄い犬好きで子犬を高く買う女だから、一度様子を見て、奥様の子犬が生まれたら売り先にいかがかなと?
工務店の社長の娘と言う事にして習字を教えては?
「そうね、私の子犬を高く買ってくれて、可愛がってくれる人が一番よ、気が合うと良いわね」そう言って真理子に習字を習いに来させたのだった。
公子から丸山に「貴方から紹介された、あの女がうちのシェリーを誘拐したらしいのよ」
「えー、そうなのですか?内の店にきて良い子犬が欲しい、お金は幾らでもと言うので、奥様を紹介したのです」
「そうなの?でも連絡先は繋がらないわよ」
公子は丸山が真理子と組んで誘拐をしたと考えた。
そして真柴に二人からシェリーを取り戻して、始末して、許せないと怒りを露わにしたのだった。
丸山は坂田に連絡をしたが丁度留守で真理子が電話にでた。
丸山は真理子の身体を思い出してもう一度SEXをと考えたのだ。
「見つかりそうだ、一度相談しよう」
「南田さんも死んでいたし、私怖いわ」
「今度の土曜日に浜松に用事が有るのだ、夕方に会おう」
「判ったわ」
「坂田には内緒にして置いた方が良い、坂田先生は気が弱いから」
「そうね、そうするわ」
丸山は監視されていた。
真柴は店の店員を抱き込んで丸山の行動を逐一連絡させていた。
日頃から店では店員の評番が悪く、丸山は敵が多かった。




