超○○○
さあさあ、2日目にしてようやく水と食料を手に入れましたね。
ここからは、移動するか拠点を作るかの選択です。
と言っても、明確な目的地が見えている訳でも無し、アケビと生水だけでは1日の摂取カロリーには足りず、たかが2日、されど2日絶食で山歩きを続けの野宿で主人公君の体はもはや限界。
選択するまでもなく主人公君はその場に留まり、食料集めに勤しむ模様です。
「はっくしょい。やっぱり火消えちゃったか」
腕位の太さの熾き火ができれば一晩は保つはずだったが、かまどには黒くなった木片と大量の灰しか残らなかった。おそらく予想していた通り木が柔らかかったのと、かまどか木の組み方が悪いのかも知れない。
そして一晩燃やしただけなのにかまどとして積んだ石が半分灰で埋まってしまっているので灰の大量生産は簡単に出来そう。
「灰といえば石鹸生産の科学チートだよな。でも弱アルカリじゃ作れないんだっけ?」
残しておいたアケビを食べつつ今日の予定を決めるが、この後に及んで未だに内政Tueeeに考えが行ってしまう。とりあえず服を脱いで川に入り灰を体に擦り付ける。
弱アルカリなら汚れて酸性に偏った肌を洗うのには丁度いいだろう。何かで読んだ知識ではなくただの思い付きなので、腕や皮膚が丈夫そうなところだけにしておこう。
「綺麗にとかわからんが、とりあえず染みるな」
それまでも大量に出来ていた虫刺されの跡が昨晩でまた増えた気がする。二の腕だけでも大小20カ所は腫れてるし、いつのまに出来たのか青あざも出来ていた。
服で守られているはずの体にも虫刺されがあるし、異世界の虫は相当逞しいようである。
「さて、ついでに仕掛け作るか」
川に魚がいる事は昨日確認済みなので、是非とも魚を獲得したい。今の俺は動物性タンパク質に飢えておるのだよ。
川底は中央でもふくらはぎ程度。川幅の3分の1から石を積み上げて徐々に陸に寄せていく。
Vの字に石を置いたら完成で、真ん中に仕掛けを置けばいい。
TVをバカにする風潮があるが、こういういざって時に必要になる知識はバカにされる中から出てくる不思議。
「それはそうとして、仕掛けをどうしようかな? ペットボトルは流石にもったいないし」
Vの字の一番下、魚が入る場所をどうにかしなければいけないのだが、蔦を編み込んでそれっぽく作れればよし、ダメならカバンの底に穴をあければ代用にはなるだろう。ちなみに水を持ち運べるほど気密性な高い入れ物は次いつ手に入るかわからないからペットボトルは却下。
しかし石を積むために盛大に場を荒らしてしまったので、今日1日は魚も寄り付かないだろうから今日もアケビ探しだ。
地べたに寝てると節々が痛くなるわ寝る前より疲れる気がするのでもう避けたい。寝床作りは確定だな。後は周囲を探索しながら食料と薪集め。
寝床の候補地はすぐ決まった。むしろかまどを河原に作ったので、そのすぐ上のラベンダーっぽい香りがする木の根本に決めた。安眠効果がありそうだし、何も知識が無いのでわざわざ別の場所に移動する意味が無かった。
寝床用に蔦を採ろうとすると、10本に1本はアケビが降ってくる。今まで芋とかブルーベリーを探して移動していたのがバカみたいに簡単に見つかってしまった。
虫食いしているのを除いても後は魚さえ取れれば当分生きていけそうだ。
拍子抜けしてしまったが気を取り直して蔓を集めて拠点に戻り、寝床の上に張り出した枝同士を蔓で縛って寄せる。
あとは枝を下におろせば極・簡易寝床の完成。
地面すれすれまで枝が出ているので、寝ていても敵からは姿が見えないだろう。そして雨風も防げると。
ベッド代わりの枯れ葉は探索の時に探せばいいだろ。
ん? 柱を建てて壁を作る? 鉈も斧も無しでどうやって木を伐れと? いいんだよ。究極のエコでロハスの極地を目指すんだ。
そこまでやった所で昼になってしまった。関係ないけど太陽が見えるってそれだけで幸せだな。森を移動していると太陽の位置なんて全然わからないし。
「やっぱ塩っ辛いな。乾かせば塩とれたりするのかな?」
昼ご飯もやっぱりアケビ、中の実を食べようとするどうしても皮も口に入ってしまうのだが、甘みを引き立たせる以上に塩っ辛い。
塩を取る方法と言えば塩水を沸騰させる物しか知らないが、塩水を入れる器が無い。
器の作り方を習った覚えも無いので塩が作れない。
最悪アケビの皮を乾燥させて細かくすればいいか。アケビ塩とか語呂がいいし、案外日本でもあったのかもしれない。知らないけど。
「なんだこれ? 気持ち悪いな。ゴミか? うおっ」
いつの間に付いたのかふくらはぎの下辺りに赤黒い水ようかんみたいなのがくっついている。手で振り払うと簡単にはがれ落ちたが、くっついていた所から血が出ていた。
お久しぶりのワンポイント・アドバイス
☆ヒルには要注意
ブーツイン。もしくは靴下インしましょう。それでも靴下の上からでもかまわず吸血してきますので、靴の中に入っていないかも確認が必要です。
「気持ち悪い。痛痒い。きもい。最悪だ。ヒルって毒とかあるのかな?」
これはヒルと虫刺されもどうにかしないといけないな。
タバコの葉か、蚊取り線香はなんちゃら菊から作れるはずだから見つかれば多分ましになるんだけどな。
ヒルの噛み跡に歯が残ってたので爪で引き抜いた。
払って剥がしたのがいけなかったか、傷口がぼろぼろになってしまって見てて引くわ。
もうこのまま清潔なベッドに潜り込んでしまいたいが、そんな物はない。あるのは枝葉に覆われたスペースだけで、集めなくては枯れ葉すら無い。
「覚悟…… そうだよな。これぐらいの事がこれからずっと続くんだ。大をするのも川でするしかないし、洗うのも川。そして同じ川の水を飲む事に比べれば大したことじゃないよな」
せっかくカットしておいたのに、主人公君自分で言っちゃいましたね。『綺麗に』生きるや『清潔』な生活なんて現状で選べません。『醜く』生きるか『醜く』死ぬかの簡略された2択が思考をクリアにしているようですね。
気分一新森に入っていった主人公君。いままでは襲ってくるかも知れない生き物を無意識にですが認識してきませんでしたが、今日は色々見えるようになった様です。
歩いていると、それまで見つけれなかったのが不思議なぐらい生き物を発見できた。
頭上では鮮やかな緑で尾羽が体より長い鳥や、羽が退化したのか手羽先で枝を掴みながらよちよち移動している茶色の鳥。こいつには犬か狐のように尖った口に牙がある。
それに今まで鳴き声だけは散々聞いた猿も居た。こいつはチンパンジーとゴリラを足して割って更に個体ごとに髪色の違うお洒落猿で人間より大きい。
始め出会ってしまった時は恐怖で逃げることすら出来ずに「喰われた」と思ったが、そのまま見つめていると興味を無くしたのかそのまま去っていってしまった。
どうやら自分達のテリトリーがあるようでそれを侵さなければ襲ってくる事はない。
3日目になって目が慣れたのか、地上も生き物だらけ。
どうやら寝床を作った場所は猿のテリトリーのすぐ近くらしい。拠点移動も頭によぎるが、恐らく草食よりの雑食な生き物の近くに住んでいれば、他の動物も襲ってこない…… といいな。
その後も周囲を探索しながら猿のテリトリーギリギリを歩いている。
なぜかって?
それは中央にバナナが有るからに決まってる。
むしろバナナの木を守るために猿はテリトリーを作っていた。
アケビがあまりにも簡単に取れすぎるので、どうもおかしいと思ったのだ。他にも食べ物があるのにそれを無視してまでわざわざバナナだけを守っている猿。
バナナが好きだからって可能性もあるが、きっとあのバナナは守るだけの価値がある。
超バナナだ!!
「薪も枯れ葉も集まったし、そろそろ帰るか。ん? なんか聴こえるな」
作る前にはこんなもんかな?っと適当に起きることを書いて、そこから肉付けをしていくのですが、ネタを押し込めすぎたせいか文章量も情景も安定しません……