第06話
まさかの日間ランキングにランクインしました。
ランクも徐々に上がり何ともいえず嬉し恥ずかしです。
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読んでくださり本当に嬉しいです。
更新はゆっくりとなりますが、よろしければお付き合いください。
カミツキカンナは廃人である。
レベル150というのはWBOでも勤勉にレベル上げしたものでも中々たどりつくことができない境地である。
WBOのプレイ人数は約200万人そのうちのレベル150は3000人ほどだ。プレイサーバーは4個あるため、1サーバーあたり誤差はあるが大体750人程度しかいない
その経験値システムは廃人達でさえマゾゲーとさえいわれるほど膨大だ。カンナはβから始まりほぼ15年間毎日繋ぎレベルを上げてきた。
1次職のレベルを100まで上げるのに約1年、2次職に2年、3次職に3年、4次職に3年、5次職に4年だ。合計13年
同じ狩り場で14時間狩りをしてBOTと呼ばれる自動プログラムではないかと噂されたほどだ。(疑ったものが話かけて反応があったため疑いは晴れた)
今は初心者救済で3次職までは経験値アップボーナスがあるためもっと速いが、カンナは断トツともいえるスピードでレベルを上げた。
そしてWBOは15周年のアップデートを行った。13年でレベル150にしたカンナの2年間は対人戦が1割、PT狩りに1割BOSS狩り2割そして半分以上の6割が『金策ソロ』に集約された。
レベル90PT推奨バムギャオの鉱石洞窟に籠ったのである。
ダンジョン内は大きな坑道を中心にアリの巣のような構造となっておりドロップアイテムは全て武器作成や武器強化など安定的な需要のある鉱石系のドロップテーブルで占められている。
出現モンスターは鉱石ゴーレム、トーテムの2種、攻撃パターンは近接物理と遠距離の岩投げ、ノックバック攻撃だ。
何が言いたいかというとカンナの装備はこの鉱石洞窟のためだけに物理耐性、遠距離攻撃耐性、ノックバック耐性などを揃えた特化装備なのである。
状態異常攻撃もないので所持アイテムは素早く使えるように霊薬のみだった。
もちろんソロで来れるのは一握り、無理をすれば100レベルでも来れるには来れるがPTで来るメリットのほうが高いのでソロで実際狩りにくるものはカンナくらいだった。
(つまりは万能薬くらいもっとけって話なわけだ)
トロールと戦ったときの油断は状態異常、武器を指輪装備ができなくなる肘から拳まで包む手甲系ではなく拳に装着するグローブ系にしてアクセサリーで耐性装備を揃えるべきだったのだ。
そして装備の懸念をしつつステータス画面を開き、しばし固まる。
装備欄を確認し、まず気付くべきだったのは
「真っ裸だった」
掛けられた布をめくり起き上がる。
どうやら介抱されていたらしい、少し硬めのベットに近くには飲用の水さしがあった。
若干気分が悪いのは毒が抜けきってないためか、アイテムポーチもなくなっているので万能薬を使うこともできず、困っているとドアがノックされた。
「どうぞ」
「お加減はどうかしら。」
ドアを開けたのはシグナだった。そしてドアを開けた態勢のままピタッと固まった。
後ろには見張りと思われるエルフが一人、彼が物音を聞いてシグナを呼びにいったのだろう。
状況を分析していると、なぜか固まったままのシグナの顔がどんどん赤みを帯びていく。
「ごごご、ごめんなさいっ」
慌てて後ろを向くシグナ、耳まで真っ赤になっている。
普通立場が逆なような気がするがと苦笑した。
「そんなに慌ててどうした」
「どど、どうしたって・・・逆になぜカンナは裸で仁王立ちしてるの?」
「ああ、俺は裸族なんだ・・・」
裸で何が悪いといった態度である。現実世界よりも筋肉質のしっかりとしたボディ、何より男のシンボルが立派な物になっているし、見られても恥ずかしくないのだ
「そんな訳ないでしょう!出会ったときに着てたじゃない!」
「まあ、冗談だが、俺の着ていたのはどうした?」
「冗談って・・・はぁ、あれは血と脂に塗れて毒液がかかっていたから今清め中よ」
そうだったのかと没収された訳ではないようなので安心しつつ声をかける
「一緒に麻布のようなポーチがあったと思うのだが、返してもらえるか」
「え、えぇそれなら汚れてなかったからテーブルの引き出しに入ってるわ」
後ろを向きながらシグナは水さしの置いてあるテーブルを指示した。
古びたテーブルの引き出しをあけると慣れ親しんだアイテムポーチと霊薬が置いてある。
さっそく念じながらポーチを探り目的のアイテムを取りだし、さっそく装備する。
武器:貫手 <効果:ニヒルなあなたに似合う指抜きグローブ。>
頭:博愛のカフス <効果:誘惑に抗う力を得る。魅了無効。一定確率でHP吸収>
肩:ディバインスキン <効果:悪性に抗う力を得る。暗黒無効>
鎧:セイントメイル <効果:毒性に抗う力を得る。毒物無効。MP回復速度上昇>
脚:脚甲 <効果:麻痺に抗う力を得る。痺れ無効>
靴:軍靴 <効果:束縛に抗う力を得る。地形補正無効>
装飾:フェアリスタの指輪<効果:困難に抗う力を得る。火水風雷ダメージ半減>
過剰なまでの耐性装備にする。この世界のモンスターがどういう状態異常をするのかわからない以上気を付ける事にする。
見かけはチャラいエセ神官みたいになったが気にしない。
霊薬3個と万能薬2個も忘れずに取りだし服の内側に仕込んだ。
「ねぇ、なにしてるかしら?」
ごそごそした様子に気になったのかシグナが聞いてきた。
落ち着いたのか耳の色は元に戻っているが以前として後ろを向いたままだ。
「着替えた」
「着替えたって・・・服はいまから代用のを持ってこようと」
半信半疑でこちらに顔を向けてくる。ホッとした様子を見せたが繕うように怪訝な目でこちらを見た。
「それ一体どこから出したの?」
「あー、このポーチからだ」
嘘をいってもしょうがない、俺以外には使えないのだから言っても問題ないだろう。
「ああ、変わった形してるけどアイテムボックスの類なのね」
と思ったら類似品があるらしい。納得した様子を見せ、気を取り直したのか真剣な表情を見せるシグナ
「まずは、命を助けてくれてありがとう。感謝しているわ」
申し訳なさそうな表情になり、弱々しく言葉を紡いでいく
「そして命の恩人にこんなことを言うのはあれなのだけれど」
エルフ特有の長い耳もしゅん・・・といった感じで下がっていた。
あの耳動くんだと感心しているカンナに届いた言葉は拒絶だった。
「カンナにはできる限り早くできれば明日の朝にはこの里を出ていってもらうわ」
「わかった」
「疑問に思うのは・・・え、わかったの?」
「出ていけばいいんだろう?元より情報収集できる街に向かっていた。この里で聞かないといけないわけではないからかまわない」
(それにそんな上目遣いでモジモジしながら言われたらいやですとは言えないな)
「そう・・・あと要件は二つ、良い方とちょっと悪い方どちらから聞きたかしら?」
ふぅっと拍子抜けしたと言わんばかりに息を吐き話を続ける。
「悪い方で、好きなものは最後に取っとく派なんだ」
「気を悪くしないで聞いて欲しいわ。まずはカンナは私を助けてくれたし、私はカンナを信じてる」
「そりゃどうも」
「その上で言わせて貰うわ。今回の被害の原因は結界を破ったあなたのせいという事で結論が纏まったの。結界があったらあのトロールは侵入してこなかったし、犠牲者もでなかったと」
「そうか・・・」
確かに俺の行動が招いたと言われると結果的に見て言い逃れはできまい
「でも、私が助けられたのは事実だし、被害もあれ以上広がらずに済んだのも事実、処罰されることはないから安心して、その代わりの退去なのだけれど・・・」
「シグナちゃんが庇ってくれたのか?」
申し訳なさそうなシグナの少ししょぼくれた頭になんとなしに手を置いてポンポンと弾ませる。
柔らかな髪質、少し甘い花の香りが漂ってきた。
「私は事実を述べたまでよ。ッ・・・それとちゃん付けしないで頭撫でないで」
シグナは私は17歳で大人の女なんだからと付けくわえつつ、されるがままに撫でられている
「んで、良い方は?」
「良い方は、とりあえず頭撫でるは止めなさい」
気持ち良さそうに目を細めていた事実は指摘せず、言うとおりにする。
「改めて良い方は、私自身からよ。命の恩人のカンナに何か一つお礼がしたいわ。」
気を取り直しまっすぐと目を見ながらシグナは告げる。
「なんでも?」
「私にできることならね。お金が欲しければできる限り工面するし、なんでもいって」
よし、言質取った。心の中でガッツポーズしつつ至極真面目に言い放つ
「添い寝してくれ」
誤字脱字があったらすみません。
改行されなさすぎて読みにくい事に気が付きました。
次回から書き方を少し変えられたらと思います。