第01話
投稿はゆっくりな感じになります。
頭がグラグラする。嘔吐感も激しく全身の筋肉にこれでもかというくらいに違和感がある
「一体なにが・・・」
WBOにログインしたとおもったら気を失い、気が付いてみれば見知らぬ地
VRMMO特有のデジタル感はなく寝転がる身体のすぐ近い地面、大地から香る土の匂い、都会にはない清涼感すらある空気
(夢・・・だよな。)
心の中で悪い夢だと思いつつ身を起こした。
「昨日ログアウトしたWBOの農場に似てるけど、周りにはなにもないしどこなんだここは・・・」
地面に胡座をかき未だ調子の悪い頭をフル回転させて周囲を確認して現状を把握しようと努める
見渡すは草原、視界の端には山も見える。そしてそこで気が付いた。
「んー、この装備はWBOで使ってた手甲・・・」
自分の状態を確認しようと身体に触れたところで伝わってくるのは無骨な硬い感触
かなりの重量を着こんでいるはずだが、殆ど重さを感じさせない
「まさか本当にWBOの中なのか!」
半信半疑になりながらもしかしてと思いステータス画面を開こうと念じてみた。
すると目の前に自分の状態を表示した画面が現れる
「やっぱりWBOをやってるだけなのかな。でもこの違和感は本物だと思うんだけど・・・」
とりあえず情報収集が先だと思い直し画面を注視してみた
【名 称】神月神無<カミツキカンナ>
【レベル】150
【種 族】ヒューマン
【職 業】王轟阿修羅
WBOのレベル設定は少々変わっている初期職業からレベルを100まであげ次の職に転職するとまたレベルが1からになる。
さらに一度転職するとレベル100まであげるのに必要な経験値は倍増する。
運営による初心者救済の経験値アップボーナスなど色々と序盤は特典がつき
上限までレベルを上げるには1日1時間効率的に狩りをして約90日ほどだろうか。
もちろん実装当初は職業も少なく効率的な狩り場もなかったので1年2年かかる者が殆どだった。
俺の王轟阿修羅は格闘家の上の修験道さらに上位職の拳闘士そして拳豪と進み最大レベル150の王轟阿修羅となる
WBOの人気職業の多さからみると超マイナー職である。さらに使う武器も拳系統と不人気ナンバー1という不遇職だ。
人気のなさは他職と比べると圧倒的に足りないリーチそしてスキルが地味なのとこれといったスキルに特色がなく他の職業の適当なスキルで殆ど代用ができてしまうという所であった。
だが俺はこの職が大好きだった。始めてやったときに武器装備の仕方がわからず
出会ったモンスターに慌てふためきながらやった行動が素手による攻撃だった
しかしその感触は武器にはないリアルさを伝え、敵を倒すという充実感を与えてくれるには十分な衝撃だった
「所持してるものはアイテムポーチと霊薬三つか」
見覚えのある緊急用の霊薬(HPMP全回復)を注視してみると簡単な説明文も出てきた。
自分の装備にも注視したところ確認できたのはやはり見覚えのあるものばかり
武器:覇王万武<効果:高い防御力を得る。装備者のHP回復速度増加。一定確率で物攻撃に対しパリィ発動>
頭:狼王の額当て<効果:沈着冷静な思考を得る。装備者のMP回復速度増加、一定確率で敵のMP吸収>
肩:レギンレイブの羽織<効果:神々の祝福を得る。物魔ダメージ26%カット、一定確率で攻撃無効化>
鎧:オブシディウムの鎧<効果:衝撃に対し強い抵抗を得る。遠距離攻撃ダメージ35%カット、一定確率で周りの敵に状態異常を付与>
脚:恩寵のグリーヴ<効果:大地の祝福を得る。移動速度20%アップ、スキル跳躍Lv3を使用できる>
靴:グラビティブーツ<効果:衝撃に対し強い抵抗を得る。ノックバック無効。スキルバックステップLv5を使用できる>
明らかにソロするときにいつも使ってた装備だった。15年に及ぶ廃プレイ、アップデートされる毎に
誰かしら引退し残していったアイテム。
皆と協力して得た自分の強さ、器用貧乏な職業スキルと武器スキルを駆使してPvPでは上位プレイヤーの一人として割と有名になったりと積み重ねたものがここにあった。
そして自分の状態を認識してかなり安心しつつある。装備やアイテムポーチの充実した内容を見て
この世界で生きるとしてもとりあえず何とかなるだろうと楽観視した。
さらにアップデートが終わったあとのログインということは15周年記念アップデートも完了しているということが楽観視に繋がる。
スキル改変が起こり今回見直されたのが拳系統含む不人気武器8種類の大幅強化だったのだ。
誤字脱字あったら申し訳ありません。




