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第10話その1

朝、早めに宿を出た俺は三人に教えてもらった冒険者ギルドへと向かっていた。

夜中にアイテムポーチから今後に使えるアイテムがいくつかあったので装備した。

装飾:猫紳士のモノクル <効果:本質を見抜くことができる。観察眼Lv5使用可能>

クエストアイテムで貰ってそのまま放置していたアイテムだ。観察眼は相手の名前とレベルが見られるだけの簡単な装備だ。

歩きながらすれ違う人々を観察する。ざっと確認すると8~16くらいが多い、小さな子供でも3だったので一応の目安する感じ使う。


「なんか、女性が多いな……」


男がいないわけではないが、心なしか女性比率が高いのが気になった。お店の店頭で女性が売り子をしているのは当然として、巡回していると思われる兵士やその兵士に指示をだしている上官っぽい人も女性だった。

ふと、大通りから一本外れた道に入ってみる。まだ朝も早く怪しい雰囲気の店は殆どなかったが、檻に入れられた十数人の周りに人が集まっているのが見えた。


「さあさあ、見てって下さいよ!戦闘に使える屈強な男もいれば、夜伽に使える女まで色々扱ってますよ!!」


(奴隷ってやつかな。どれどれ)


興味が無いとはいわない、WBO時代にも奴隷とまではいかずとも傭兵システム、師弟システム、ペットシステムなどソロでの狩りを快適にするためのNPCが雇えたりしたのだ。

すでにレベルカンストのカンナにとっては奴隷など不要だが、今度の情報を得るためにも買ってもいいのかなと考え始めていた。

ササッと眺めすぐ離れる。情報を得るために購入してもいいが今は金がないので後回しだ。



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冒険者ギルドでカードの説明と登録を済ませる。カードには名前と簡単なプロフィールが載っていた。レベル表記がない事を聞くと魔素吸収ができる機能が付くのはF+からとのことだ。

魔素に反応する魔石は意外と高価らしく、魔石付きのカードを持つ才能があるかどうか見分けるためにも下位のクエストを受け信用と実績を積む必要があるらしい。

受け付けはあっさりと終わり昨日リュミエちゃんたちに聞いた話と殆ど同じ内容を聞く。ちなみに受付の人はご年配の男性だった。


(そんなことよりまずは金だ!)


買い取りをしてくれる場所を聞き隣の建物で買い取ってくれるとわかった。



「買い取りを頼む」

「あいよ。物はなんだい?」


ハウンドから出たアイテムを並べる。亭主は熱心にアイテムを見ているようだ。


「あんたこれ、どこで倒した?」

「あー、南門から南東に向けて20分くらい歩いたあたりだったかな」

「そんなところにまで来てるのか……」


アイテムを見つめつつ亭主の表情が曇る。といっても手は止まらず羊皮紙に品物を書きだし計算はしていた。


「はいよ、全部で22銀貨57銅貨だな。毎度また頼むよ」

「ありがとう。亭主いまそんなところにまでって言ってたけどなにかあったのか?」

「んあ?お前さん冒険者だろう?南の平原から魔物が流れてきてるのは知ってるよな?」

「いや、昨日ここに来たばかりでね。」


訝しげにしていた亭主だが、昨日来た事を告げると納得したのか、表情を緩ませる。

話を詳しく聞くと南のほうから魔物が流れてきていて足の速いハウンドなどのモンスターが近隣に姿を見せているとのことだ。

近いうちに大規模な討伐クエがあるという情報も貰った。


「そういえばこの町は女性が多いみたいだけど男はどこいったんだ?」

「一昨日から町の半数の戦える男は王都に行ったよ。隣国のベリリアとの戦争も激化してるみたいでな。王都からもベリリアとも離れてるこの町の男や騎士団、C以上の冒険者は徴兵だとさ」


ふとそんなことを聞いたのは良いが……


(いまフラグ立った気がする)


---------------------------------------------------------


ギルドの掲示板を眺める。登録をしたばかりの俺はFランクからのスタートだ。

おつかいクエ、配達クエ、猫の捜索……子供でもできそうなクエストが多いのはF-が受ける掲示板だからだろうか。

12歳までは登録するとF-からのスタート

13歳からはFランクから、18歳からはF+からスタートできるらしい。

らしいというのはF+は簡単な面接と実技試験があるということなので面倒だからパスしたからだ。

とりあえず買い取りと身分証明が欲しかっただけなのでざっと掲示板を眺めて一旦宿へ向かおうと思いギルドを出る。


「君!ちょっといいかな」

「はい?」


ギルドを出たところで声を掛けられた。横をみると20台後半だろうか、赤い髪をポニーテール状にまとめた妙齢の女性がいた。

冒険者なのだろうか、皮の防具を付け腰には少し大ぶりの剣を携えていた。

探すのに使っていたであろう、恐らく俺の特徴を書いてあると思われる紙を俺を見比べ納得したかのように声をかけてきた。


「うん、恐らく君だね。昨日学園生3人を救出してくれた人だね?」

「ええ、リュミエちゃんたちの事なら助けたのは私ですね。」

「うんうん、人の良さそうな感じといい典型的な良い人だね!私は町の中心にある学園の教師兼戦闘技能教官をしている。ミフェナス=フェベル=フィサレストという。愛称はミナスだ!よろしく」


よろしくの下りでやや無理矢理に右手を掴まれ握手された。


(レベル46名前は名乗り通りと……正直者というかなんというか)


妙にテンションが高いのが気になるが、かなりの美人なので特に嫌な印象は抱かなかった。

美人は何事も徳である。


「で、そのミナスさんが何かようですか?」

「そうそう、まずはお礼だ。生徒が世話になったね。ありがとう。」


まっすぐと意思が強いとわかる瞳がこちらを申し訳なさそうに覗きこむ。


「そしてハウンドを苦戦することなく倒したと報告を受けている。そんな君に迷惑かもしれないが、魔物殲滅戦の討伐隊に参加してほしいんだ!」


語尾の最後になるにつれて握った手にさらに力が込められ胸元に引き寄せられる。尚且つかなり顔が近い、しかもあたってるあたってる。


「魔物討伐?あと俺ランクFなんで役に立たないよ?」

「ランクFでもハウンド十数体を退ける事が出来たと聞いている。D相当以上リュミエ達からみたらBはあるんじゃないかという報告も受けている。今は戦力になるものが一人でも多く必要なんだ。お願いだ!」


興奮しているのだろう。ちょっと顔を赤くしながらもさらに詰めよってくる。


「魔物は今、南のほうから少しずつこちらに近づいているのが旅団の報告で判明しているんだ。推定数は100近い、町に危険を晒すわけに行かないから防衛に最低限の人数を残すと正直戦力が心もとないんだ。」


(面倒だなぁ、しかし先立つものもないし報酬出るならまあいいか、こちらの人の強さも大体わかるだろうし)


俺は思案しつつ、今度の影響について考える。だてにレベル150ではない、余り目立つことをすると動き辛くなるだろう。

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