宝島
夜が明ける直前の静寂の中、終わりゆく過去を手放し、一歩踏み出す人のためにこの詩を捧げます。
かつて求めた栄光も古びた地図も海へと還し、私たちは互いの言葉を紡いで新たな舟を出します。傷つくことを恐れず、自分だけの宝物——まだ見ぬ「あなた」という未知へと漕ぎ出すための、ささやかな航海記です。
波間に沈む地図を誰もが抱えて生きていて、波音が教えるのは宝の在処ではなく夜明けの近さだ。
錆びた羅針盤の指す北を捨て
僕らは言葉のつぎはぎで船を編む
金貨の群れも、骨になった海賊の夢も
波間にはじける泡の白さに消えてゆく
宝島
そこは地図の終点ではなく
名もなき声が交わるこの胸の鼓動の場所
傷だらけの錨をあげろ
朝焼けが水平線を焦がす前に
君という新しき未知へ漕ぎ出すために
夜風が帆を膨らませ、過去の重荷だった記憶は静かな引き潮とともに遠ざかっていく。完璧な航海図などなくても、交わす言葉の温もりと触れ合う指先が、僕たちの確かな道標だ。水平線の向こうで目覚める光の粒子を浴びながら、未だ見ぬ君の笑顔という果てしない海へ、船は力強く波を穿ち進んでいく
言葉にならない想いを抱えながらも、他者という未知へ向かって漕ぎ出す人の希望と覚悟を描いた作品です。
正解の地図や過去の価値観を手放し、不完全な言葉を重ね合わせて紡いだ絆こそが、自分だけの「宝島」へと繋がっていくという祈りを込めています。




