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50.カタログギフト殺人事件

「ガイシャは、広末正。営業社員だった。そして、ホシは、西野牧政治。出頭した。おしまい・・・って訳にはいかない。そう言いたいんだね、開光君。」

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 =================================


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『カタログギフト殺人事件』本部。

 昼食の後、捜査会議が始まった。

 そして、志摩管理官が説明を始めた。

「ガイシャは、広末正。営業社員だった。そして、ホシは、西野牧政治。出頭した。おしまい・・・って訳にはいかない。そう言いたいんだね、開光君。」

「出来すぎている。西野牧の母親が亡くなったから、広末は香典を出した。そして、西野牧は『香典返し』として、カタログギフトを部下達に送った。西野牧は当然、カタログを見て、好きなモノを注文手続きするものと思っていた。ところが、広末は、食ってかかった。広末は、リストラされたんだ。怨みに思っている相手の身内の葬式自体、出席しない。お悔やみはするが、恐らく社員名簿の順に送ったのだろうだと思うと情けない、と書いた手紙を添えて送り返して来た。そんな常識外れだから、顧客が離れるんだ、と西野牧は怒鳴り込んで、口論となり、殺してしまった、と供述した。凶器は広末宅の包丁だ。だが・・・。」

「出来すぎている。俺もそう思う。課長だから忖度して言っていない。何かがおかしいんだ。」

「確かにな。包丁には、持ち主の広末と、西野牧の指紋しかついていない。開光君がおあかしいおかしいって言うから、ホトケを調べ直してみた。智子、スライド。」

 秋野と智子が操作して、ホワイトボードに遺体の傷口のアップが映し出された。

「傷口は、広がっている。この部位からすると、一突きで殺せた筈だ。憎い相手なら、抉ることもあり得る。だが、立場が違う。揉み合って殺したんなら、1度抜いて。また同じ場所に刺したことになる。」と、井関は腕を組んで言った。

「管理官。私からも報告が。西野牧は温厚な人物で、人員整理で広末をリストラした時、円満退社だった筈だ、って言うンです。残った社員が。」と、辻が言った。

「「「誰かを庇っている。」」」

 期せずじて、俺と大曲先輩と蘭子の意見が一致し、唱和した。


 午後3時。広末家。

 管理官の許可を得て、再捜査が始まった。

 鑑識は、庭をくまなく探し、大曲先輩は必死にPCやPCの備品を探した。

「見付けた。」

 大曲先輩は、ぽつりと言った。


 午後5時半。捜査一課横の大会議室。『カタログギフト殺人事件』本部。

 取り調べ室から、大曲先輩と蘭子が出てきた。

「やっと、口を割った。西野牧は、恩人を庇ったんだ。」と蘭子が言い、「顧客の一人の、高坂伝吉がクレーマーとして、会社のホームページの『皆様の声』に投書していました。広末のPCにブックマークの形跡がありました。」と大曲先輩が続けた。

「クレームの相手したのが広末。が、激昂した高坂は裁判に訴えると言い出した。広末は円満退職した後だったが、西野牧に相談した。3人で話している内に、高坂は広末を刺してしまった。西野牧は高坂を逃がし、工作をした。広末は葬式に出席し、香典返しのカタログギフトも受け取っている。西野牧は、ハンカチでくるんだ手で、その包装紙を破いた。包丁は、抜いて慎重に刺し直した。」

「可哀想過ぎる!!」入ってきた村松が、泣いた。


 午後8時。眩目家。

 ごぼうご飯に、ささがきごぼう、きんぴら。高野豆腐。質素だ。

「ねえ、蘭子。高坂は、何でクレーマーになったの?」

「高坂は、会社も西野牧も支援していた。ファンだったんだ、だが、自分の会社は倒産した。自棄になった。充分、罪を償って貰うさ。西野牧の死体損壊罪は免れないな。情状酌量がどの程度かは、弁護士の腕次第かな。」


 俺が黙っていると、「どこを損壊されたいんだ?ゴボウにして欲しいのか?」


「と、トイレ行って来まーす。」


 ―完―


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