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27.朝三暮四殺人事件

ガイシャは、和郷道夫。被疑者、いや、ホシは妹の麻生公子。公子は、財産分与の結果、粗食を続けている兄が心配で、昨日訪れていたが、些細なことで口論になり、床の間の花瓶で殴打、殺害してしまった。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 =================================


 午後1時。捜査一課。『親族殺人事件』本部。

 昼食の後、捜査会議が始まった。

 そして、志摩管理官が説明を始めた。

「ガイシャは、和郷道夫。被疑者、いや、ホシは妹の麻生公子。公子は、財産分与の結果、粗食を続けている兄が心配で、昨日訪れていたが、些細なことで口論になり、床の間の花瓶で殴打、殺害してしまった。119番をして救急車がやってきたが、搬送中に亡くなった。そして、公子は『私がやりました』と言い出した。それで、救急隊員が警察に連絡した。井関さん、矛盾点は?」

「ない。床の間にもガイシャの血痕が残った凶器があったし、指紋はホシのものとガイシャの古いものしかない。後頭部を殴打されたら、大抵助からないよ。」

「で、課長、不審な点は?」

「公子の供述が曖昧です。ガイシャは、Web小説を書いていた。ギャラがないのは、覚悟の上で。親族は、皆そのことを知っていた。なのに、何故粗食までして書いているガイシャと口論になったのか?ホシの公子も応援していた筈なのに。大曲。PCに不審なデータは?」

「残念ながら。ですが、几帳面な性格なら、バックアップを取っているかも。」

「以前、似たような事件があったので、つまり、ガイシャの仕事が、いや、趣味がWeb小説サイトの投稿だということで、登録していたサイトで確認してきました。ガイシャも手広く書いていたようで、子供の頃の話から時事ネタまで、何でも書く人だった、ということです。」と、辻が報告した。

「俺は、何でも書く、ってのに引っかかるんですが。」と大曲先輩は珍しく正論を言い、「私も同感だ。大曲、プラス3点。」と珍しく蘭子は褒めた。

「よし。礼状を取ろう。和郷邸の大捜索だ。」

 蘭子ろ大曲先輩のカンは当たっていた。

 バックアップデータの入ったポータブルHDDは、古いプリンターの中から見つかった。

 そのデータの中から、プロテクトがかかったファイルが出てきた。

 分析班に行っている秋野から、それを聞いた蘭子は、「井関さん、ケー、アイ、エム、アイ、ケイ、オーと入力するように言って下さい。」と井関に言った。

 井関は、電話の向こうの秋野にそのまま伝えた。

「もう一回、入力画面が出たらしいんだけど・・・。」と井関が言うので、蘭子は井関から電話を受取り、スピーカーをオンにして、秋野に言った。

「秋野。今度は、エム、アイ、ティー、アイ、オーと入力してみろ。」

「開きました!!」と秋野は答えた。

「これは・・・。」

 絶句する秋野に、蘭子は更に言った。

「内容をコピーして、捜査本部にメールしろ。」

「内容分かったのか、蘭子・・・いや、判ったんですか、課長。」と大曲先輩は興奮して言った。


 午後4時。会議は再開した。

 捜査員には、プリントされた文章が配られた。

 皆、一様に驚いた顔をした。

「公子は、小説を書いていることそのものを否定したんじゃない。自分自身も忘れていた、中学時代の、きょうだいでの『近〇〇〇』未遂のことも書いたことを責めたんだ、和郷に。辻さんに、サイトで似た投稿があったかどうか確認して貰ったが、無かった。」

「つい、口を滑らしたんですね。」と、俺は言った。

「ああ、キッカケは妹が新興宗教に填まっていて、和郷家の片づけの手伝いをサボっていることから口論が始まった、と公子は供述した。最初は本気で、脚の悪い兄の片づけを手伝っていたが、宗教を理由にサボり出したのが良く無かった、とも言っている。殺人は殺人だ。動機が何であれ、な。」蘭子の合図で捜査会議は、お開きになった。


 午後9時。眩目家。

 眠りに入ろうとしたら、俺は蘭子に布団を剥がされた。」

「お前、何か隠してないだろうな?怪しければ・・・。」

「怪しければ?」

「明日、家宅捜索だ。その前に確認させろ。」

 俺は、ボディプレスされた。


 これで、気が済む蘭子ではない。

 ああ、神様。


 ―完―





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