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14.トーテムポール殺人事件

「ファーストネーションズトーテムポールとは、カナダやアラスカなど北米太平洋岸の先住民族が、家の前や墓地に立てる、動物や神話の精霊などを彫刻した柱状の木製モニュメントで、一族の歴史、家系、伝説、紋章、出来事などを記録・伝承する役割があり、魔除けや豊作祈願の意味も込められています。元々は家の屋根を支えるハウスポストでしたが、その上に物語性のある彫刻が施されるようになりました。」

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 =================================


 午後1時。捜査一課。「トーテムポール事件」本部。

 昼食の後、捜査員が帰って来て、捜査会議が始まった。


 志摩管理官が、言った。

「気色悪い。」

 課長の蘭子が、咳払いをして、ホワイトボードの写真を指示棒でさした。」

「ガイシャは4人。今のところ、関係は不明。井関さん、レプリカや彫刻じゃないんですね。」

「ああ。殺害後、クビを切って乗せた。オブジェみたいにね。本物はもっと可愛げがある。読んでやれ。」

 智子が起立して資料を読んだ、

「ファーストネーションズトーテムポールとは、カナダやアラスカなど北米太平洋岸の先住民族が、家の前や墓地に立てる、動物や神話の精霊などを彫刻した柱状の木製モニュメントで、一族の歴史、家系、伝説、紋章、出来事などを記録・伝承する役割があり、魔除けや豊作祈願の意味も込められています。元々は家の屋根を支えるハウスポストでしたが、その上に物語性のある彫刻が施されるようになりました。」

「まあ、元々は魔除けみたいな意味合いらしいが・・・俺が言うことないが、怨恨以外ないよなあ。」

「発見されたのはテレビ局。テレビ朝目。第一スタジオ。今、井関さんが言ったように、オブジェにも見えなくもない。だが、出血した後とは言え、血だまりが出来ていた。発見したのは警備員。局のプロヂューサーを捕まえ、尋ねてみたが、どの番組でも使用予定がない。どころか、次の番組の仕込みをしようとしたら、美術スタッフが本物だと築いて警察に通報。下手に触っていなかったのは、正解だった。単に乗せてあっただけだったから、振動でポロリ、もあり得た。」

「ご遺体は、頭部だけだが、歯の治療跡が前歯にある頭蓋骨・・・頭部にあったので、全国歯科医師協会に協力を要請している。」

「局の人間ではないんですね?」と俺は尋ねた。

「下請け。孫請けの人間だったら、一緒に仕事したことないと判らないなあ。」と大曲先輩は珍しくまともなことを言った。

「公開捜査にするかね?開光君。」

「そうしましょう。あの局の番組でね。」


 午後5時、テレビ朝目。

 朝の「グーテンモルゲン」でお馴染みのフリーコメンテーターTが、MCと共に公開情報を求めた。

 一時間半の生番組が終った。

「大曲、眩目。あのフリーコメンテーター。何か知ってるな。」

「何度も目を逸らしましたね。」と俺が言うと、「13回、だ。」

「数えていたんですか?」「当たり前だ。」と、大曲先輩はカウンターを出した。

 市場調査でカチカチやるやつだ。

「後をつけろ。」

 蘭子先輩は、短く指示した。


 午後7時半。Tはファミレスに入った。

 俺達は、会社の先輩後輩の感じで、近くに座った。

 奴がトイレに行った隙に、秋野が盗聴器をしかけた。


 俺達は、そっとイヤホンを耳に当てた。

「だから、俺はやってねえよ、みーちゃん。」

「ホント?Tちゃん。あなたをクビにしたくないのよ、私。」

「今夜も可愛がってあげるからさ。あの時の番組の資料、始末してよ。」

「判ったわよ。あの4人が出てた番組でしょ。」


 Tはお子様ランチを食べると、出て行った。

「眩目。あの会社の重役を調べてみろ。」

「出ました。みーちゃん、に相当するのは、三田村道夫社長のみ。前から、何故あのコメンテーターの意見がまかり通るのか?何故定年退職した筈なのに番組に出ているのか、ってSNSで見かけたことがあります。」

「答は出たな。『色男』はつらいな。おれじゃないぞ。」

「判ってます。」

 俺は、蘭子に経過を報告した。

「明日の捜査会議は午後3時だそうです。それまでに決着がつきそうですね。」

「決着?」「今、贈収賄容疑で特捜部が動きました。」

「家宅捜索か。流石だな、元カノは。」


 翌日。午後3時。捜査一課。「トーテムポール事件」本部。

 管理官が口を開いた。

「ガイシャの身元が判明した。足立区に住む井上半蔵。35歳。他の3人は友人だ。通称ミン・ジャン、通称ミン・タオ、通称ミン・チェン。」

「兄弟ですか。」「違う。下の名前が一緒。日本人の名前で言えば、斉藤太郎、佐藤太郎、伊藤太郎みたいな。おかしな組み合わせだが。」と、大曲先輩が俺に注意した。

「そこ。五月蠅いぞ。」と蘭子が注意した。

「で、4人の過去。Tがディレクター時代、社長の三田村がプロデューサーで、アシスタントディレクターが、その4人だった。バラエティーを生で放送していたが、事故で亡くなったタレントがいた。アラスカ人の物真似で一時有名になったトシだ。詰まり・・・。」

 辻が蒔と立ち上がった。

「当時の事務所に教えて貰いました。ヒップビンバーというコンビで、相棒のビンは風邪で休演しました。」「その後、事務所も芸能界も去りました。」

「実に素直に自白したよ。凶器は、テレビ局美術さんの道具倉庫から見つかった。それと、当時、ビンは相方の死を怪しみ、調べたそうだ。すると、バラエティーに使うセットに細工されていた。失敗して笑わせる仕掛けだったらしい。」

「社長とTは殺人犯、ですよね。」と大曲先輩は言った。

「大曲。プラス3点だ。」蘭子の言葉に大曲先輩は頭を下げた。

 流石に最近は「元カレ」とは言わない、蘭子。

 理由を聞いたら、もう衆知出来たから、と言った。


 午前3時。眩目家。

 蘭子は、『また』襲いかかってきた。

「トーテムポールの夢観た。恐い。」


 はあ???


 ―完―


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