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5 水の街ネカト

「ショウくーん! 朝ごはんで来てるよー」

「今行きまーす」


 下の階から聞こえるおばさんの声と部屋の窓から注がれる強い日差しで目が覚める。

 どうやら僕は、宿に戻ってすぐ眠ってしまったみたいだ。

 かなり寝た気がするが疲れはあまり取れていない。昨日のことは覚えているが夢だったのではないかとも思える。

 ベットから出たショウは1階に降り、宿の中が散らかっているのを確認して席に座る。

 おばさんが元気だ。やっぱり夢だったのかな。現実にしては色々と変だったし。

 

「ハイ、どうぞ。昨日のお礼に少し豪華にしたのよ。」

「昨日……」

「最近強盗事件が多いって噂は聞いていたけど、まさかうちの店が狙われるとはね」


そりゃあ、現実だよな。流石にこの部屋を見ればわかる。

――ってことは!


「え? あ、脚は?」

「あぁ、それはもう大丈夫よ。魔法で直してもらったから」

「は、はぁ……」

「ほら、気にしないでいっぱい食べてね」


 おばさんも普通に活動しているようなので、本当に大丈夫なのだろう。

 それにしても『魔法』ってなんだろう。

 まぁ、いい。とりあえず食べるか。

 

 朝食はとてもおいしかった。

 どうやら、昨日僕が隣街から運んだ食材が使われているようだ。

 どれもおいしい。が!

 この赤くて小さくて酸っぱいやつ、こいつはだめだ。なんか気持ちが悪い。

 それでもおばさんの料理は本当においしい。あっという間に食べてしまった。


 僕が朝食を終えて自室に戻ろうとした時。

 ある人に声をかけられた。

 昨日、犯人を追っている最中に質問してきたヤツだ。

 如何にも人付き合いの良い好青年といった感じで年齢は近そうだが僕より上なのは確かだ。

 確証はないけど。


「ショウ。昨日の件で呼び出しが掛かってるんだ。一緒に来てくれるか?」

「わかりました。実は僕もどこに行けば良いのかわからなかったので、こちらからお願いしたかったくらいですよ」

「ハハッ! なら丁度良かった。あと、敬語はいらないぞ」

「わかった」


 そして、僕はこの人につていくことになったのだが。

 目的地までの間、ものすごく気まずい空気が漂ってしまった。

 しかし、安心してほしい。

 僕はこの時のために残しておいたのだ、名前を聞くという切り札を!


「あ、あの、名前を聞いてもいい?」

「ん? あぁ、そういえば自己紹介してなかたっけ。俺の名前はアルノルト・クワイン。もうすぐ19になる。この街で冒険者をしている。自分で言うのも恥ずかしいが、この辺りじゃ結構有名だと思っていたんだが……」


 冒険者というのは自分で狩った動物を売ったり。人からの依頼を受けて様々な仕事をする人達のことだ。


「ごめん。僕の村にはあまり人が出入りしないから、情報が少なくて」

「村? どこの?」

「オキ村だよ」

「え! オキ村って、そりゃ俺の噂なんて流れないわけだ。ここには何しに来たんだ?」

「実は、王都へ向かう途中でね」

「なるほど、そういうことか。――っと。着いたぞ。ここがネトカ警備隊の本部だ」


 残しておいた切り札のおかげでどうにか乗り切れた。

 到着したのは、周りの建物と比べるとかなり大きい石造りの建物で、街の城壁と同じようなつくりをしている。かなり古い建物のようだ。

 僕はアルノルトに案内され、警備隊の人達がいる中をどんどん進んでいく。

 そして大きな部屋の中に入った。

 席に座るよう言われたので、遠慮なく腰を掛けさせてもらった。

 この部屋に入るまでに警備隊の人達からの視線を感じて疲れてしまった。ここで担当の人を待つのだろうか。

 しばらくすると木の扉が開く音がした。部屋に入ってきたのは昨日声をかけてくれた人だ。


「兄貴、お客さんを待たせるなよ」

「兄貴?」

「待たせてしまってすまない、ショウ君。そこにいるアルノルトの兄ダミアン・クワインだ。ネカトの警備隊で小隊長をしている。昨夜は本当にありがとう。君のおかげであいつらを捕まえることができた。」


 なるほど、だからアルノルトは普通にスルーされていたのか。


「いえ。お役に立てて何よりです」

「早速ですまないが昨日のことをできるだけ教えてくれないか?」

「わかりました。まず――」


 この後僕は、おばあさんの手伝いをしたこと。

 おばさんが襲われてから気づいたこと。謎の攻撃をされたことなど、細部まで詳しく話した。向こうからも今回の事件の背景を教えられる範囲で教えてくれた。

 どうやらあいつらは強盗グループのリーダー達だったらしい。手下達は捕まえられたが、リーダー達には逃げられていたのだとか。


「異常だな」


 会話が終わり。少し間が空いた時、ダミアンが呟いた。


「何かおかしなところが?」

「君だよ。ショウ君。まず君は何をしにこの街に来たんだ?」

「えーっと。王都に行く途中でして……」

「王都?」

「兄貴待ってくれ。ショウ、王都に何しに行くんだ?」

「あー、剣士学校に行くんだ」

「なるほど。それなら君の能力にも納得がいく。だとしても、魔法攻撃をその至近距離で躱すとは。だが、警備隊として知りたかった情報も聞けた。こちらとしてはもう聞くことはないぞ。本当にありがとな」


 何に納得したのかはわかんないけど、とりあえずもういいらしい。

 話が終わったみたいなので僕は宿に戻ることにした。

 また、魔法か。何なんだろう。



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