21 PTとは
「いいですね。今日はもう見学だけですよ」
そうフェリーネ先生に強く言われた僕は、素直に他の生徒たちの魔法を観察することにした。
僕は全員の魔法を観察したのだが、リトとリナはレベルが違う。
ナナはというと……少してこずっているようだ。
魔法が得意な2人との差は何なのかと僕なりに考えてみた。
ズバリそれは、魔力の変換効率だ。
2人と同じ大きさのアイスウォールをつくるのに、2人よりはるかに多い魔力を使っている。
どこかに消えてしまっているわけではなさそうなので、単純に必要な魔力が多いのだと思う。
これが、属性毎の得意不得意というものだろうか。
僕がそんなことを考えていると授業の終わりの時間がやってきた。
「今日の授業はここまでですね。前々から伝えていましたが来週でプロスペクトトーナメントのエントリーが締め切られます。参加を希望する生徒は忘れないようにしてくださいね」
プロスペクトトーナメント? 今日は知らない単語が山ほど出てくるな。
こういうのはとりあえずリトにきこう。
今日の授業を全て終えた僕たちは寮に戻り休憩している。
放課後にエンニ先生に魔法のことを聞こうとしたのだが、会議があるからまた後でと言われてしまった。
教頭先生だし、仕事が忙しいのは仕方がない。
そんなわけで僕は、リトにプロスペクトトーナメントについて聞いてみることにした。
「なぁ、リト」
「プロスペクトトーナメントのことだろ?」
「あ、うん」
「ちょうどその話をしようとしていたんだが。ショウはこの学校の仕組みをまだ理解してないからな」
「仕組み?」
「ああ。ショウはこの学校が何のためにあるのか分かっていないだろ?」
確かに理解していない。
でも、魔法が使える人を育てるのが目的なんじゃないのか?
それ以外に何かあるのだろうか。
「それはね。マジックナイツの団員を選ぶためだよ」
リナがいつものように答えをくれた。
でもマジックナイツってなんだ? さらに分からなくなって来たな。
「余計に分からなくなったって顔だな。全部説明するから安心しろ」
「ありがとう」
「この国にはいくつかの魔法師団が存在しているんだ。そしてその中でも一番優秀なのが王家直属の魔法師団、マジックナイツだ。この学校はその団員に相応しい人材を育てる事が目的なんだ」
なるほど、じゃあこの学校は王家の物ってことか。
じゃあこの学校の生徒からすると、ルーナ様って本当にすごい方なんだな。
「実際、この学校に入れただけで将来に困ることは殆どないんだけど。この魔法師団に入るメリットが大きすぎるから、みんなそこを目指すんだ」
「どれくらいの人が入れるの?」
「毎年の入団者数は覚えていないが一番多い年で15人、少ない年で6人って聞いたぞ」
「へー、結構厳しいんだね」
この学校の一つの学年は約30人のクラスが4つで構成されている。
つまり、多くても8人に1人。少ないと20人に1人ってことだ。
かなり幅があるな。
「どうやったら、入れるんだ?」
「ポイントを稼ぐか大会で目立って上の人に気に入られるかだな」
「ポイント?」
「ああ。今から説明する大会で得られるプロスペクトポイント。通称PPっていうのがあってな。大会の順位やテストなんかの順位で各生徒に割り振られるんだ。これを必要数稼げばマジックナイツに入団できる」
「つまり、テストとか大会でいい成績を残し続けろってことね」
「簡単に言えばそうだな。でも、それ以外にも方法はある。一年間の中で最も大きい大会で優勝したり、魔法師団長や王様に気に入られたらPPは関係なしにマジックナイツに入団できる」
「その大会がこれなのか?」
「いや違う。この大会もPPは得られるけど優勝してもあまり意味は無い。この大会はペアで出場するんだけど、新入生の能力の確認と在校生の成長度の確認が主なんだ。プロスペクトトーナメント、PTのメインは個人戦なんだ。だからこの大会は力試しって感じかな」
「なんとなく分かった。情報で頭がいっぱいだから今日はペアの方の話だけ聞こう」
さすがに、頭がパンクする。
ここまではどうにか理解できたが、これ以上は大事な何かが抜けてしまいそうなので直近のことだけを聞くことにした。
「ペアの大会プロスペクトトーナメント・ペア、PTPはさっきも言った通り腕試しだ。だから、学年ごとの優勝者を決めたらそこで終わり。簡単だろ?」
「本当に簡単だな。3人はもうエントリーしたのか?」
「いや、それなんだが……」
「私たちって3人じゃん? だから、ね」
どうやら組み合わせが決まっていないようだ。
じゃあ僕も混ぜて、と言いたいのだが。この大会に僕が出ることが許されるのだろうか。
一応、エンニ先生に相談しよう。
その後僕たちは気まずくなってしまい、解散する流れになった。
部屋に戻った僕はリトに話しかける。
「さっきの話、僕が出てあげたいんだけど。先生に確認してからの方が良いかなって思って」
「そうだな、そうしてくれるとありがたい」
「もし出られるとしたらチームはどうする?」
「さすがに俺とショウだろ」
まぁ、そうなるよな。
リトはかなり器用なタイプだから、一緒に出場できたら僕が前を張って暴れることが出来るかもしれない。
いや、僕がかき回すだけかき回してリトにとどめを刺してもらうのも良いなぁ。
僕はかなり理想が強めの想像をしながら、お風呂が空くのを待つのであった。




