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2 いきなり王都?

 天歴二八四三年。王都から約千三百キロ離れた村、オキ村。

 

 僕の名前はショウ・オルティス。何もない、辺境の村に住んでいる。 

 僕はいつものように夕食の準備を終え、椅子にすわる。僕の対面にはすでに、目を合わせるだけでちびりそうなお爺さんが座っている。


「いただきます」

「いただきます」


 このお爺さんこそ、僕の師匠であり育ての親のブレイディ・オルティスだ。

 じいちゃんによると、僕は拾われたらしい。だから両親も生まれも知らない。

 でも、そんなことは些事に過ぎない。

 だって、じいちゃんと過ごす毎日はとても充実していて楽しいからね。

 

 じいちゃんはやさしい。僕を拾ってくれただけでなく、育ててくれた。

 じいちゃんはいろんなことを教えてくれた。強そうな見た目のせいで村の人達からは距離をとられてしまっているが、実はとても優しいのだ。

 そして、ものすごく強い。

 僕はじいちゃんから剣を習っているが今日まで一本も取れたことがなかった。そう、今日までは。


「ショウよ」

「どうしたのじいちゃん」

「王都に行け」

「え? なんで。僕まだじいちゃんに勝ったことないのに」

「今日、ワシから一本取ったろ。それで十分だ。強くなりたいのだろ?」


 そうか、これは修行なのか! いきなりでびっくりしたよ。

 だとしたら、王都で今より強くなって帰ってくればいいってことだよね。

 

「わかったじいちゃん。僕、王都に行く。それで! もっと強くなって帰ってくるから! そしたらまた戦おう!」

「お、おう。……頑張るのだぞ」


 こうして僕は、王都へ行くことになった。

 

 夕食を片付け、自室で荷物整理をしながらショウは再考していた。

 いきなり王都に行けって冗談かと思った。でも目がマジだった。それなのに、行くって言った時の反応がなんか微妙だったけど……。

 部屋をみて思い出に浸ろうとしたけど、何も無いなこの部屋。

 ベッド、素振り用の木剣、じいちゃんからもらった剣、自分の素振りを確認する姿鏡、だけ。うん、素晴らしい部屋だ。でもこの家に帰ってくることも当分ないのかな。

 絶対にもっと強くなる。そしてじいちゃんに強くなった姿を見せてあげないと。

 きっと、王都にはじいちゃんくらい強い人たちがたくさんいるんだろうな。

 よしっ! 頑張ろう!

 僕は王都へ向かう準備をしながら再び覚悟を決めた。

 


 翌日、僕は村の門の前で大勢の仲間に囲まれ――はせず。

 じいちゃんただ1人と向き合っていた。僕には、友達がとても少ない。いや、友達と呼べる人は1人しかいない。

 さらに、その友達は隣村に住むおばあさんの家に行っているらしいので、今はいない。タイミングが悪かった。

 そう、ただそれだけだ。ボッチではない……。ボッチではない……。じいちゃんだっているし……。もうこれ考えるのやめよ。

 

 それはそうと、僕は王都のどこへ行けば良いのだろうか。昨日は勢いで返事をしたから行き先を聞くのを忘れていた。

 まさか『自分で考えろ』なんて言われないよね? それ言われたら結構絶望なんだけど。

 

「……じいちゃん、僕はどこに行けばいいの?」

「剣士学校に行くとよい。そこならお前と同じくらいの年の剣士がたくさんおるだろ」

「僕と同い年か。いいかも! じゃあ、まずはそこを目指そうかな」

「気をつけるのだぞ」


 躊躇いながら質問したショウにブレイディが優しく答える。

 剣士学校か。どんな人たちがいるのだろうか。じいちゃん意外の人と戦ったことないから今の自分の実力もわかる。

 もしかしたら、じいちゃんより強い人がいるかもしれない。とても楽しみだ。

 それにしても、王都の学校なんかに僕が入れるのだろうか。なんか条件とか、試験とかあったりしないのか?

 まぁいっか。


「わかってるよ。じゃあ、いってきます」

  

 僕はじいちゃんに別れを告げ、王都へと走り出した。

 じいちゃんとの別れはもっと寂しいと思っていたから意外とあっさりしていて自分でも驚いている。

 まぁ、また帰ってくるからね。というか道間違えそうだな。村の外って森以外いったことないし。

 

 移動手段? 走り出したって言ったじゃないか。距離を聞いたら思っていたより遠くなかったんだ。1週間くらいで着くかな。

 こうして僕は提案を受けてから1日も経たぬ間に王都へと旅立った。

 我ながらとんでもない決断力、そして行動力だと思う。褒めてもらいたいものだ!

 

 そんな愚劣極まりないことを考えているとも知らずにブレイディは真剣に考え込んでいた。

 いったいあの子はどれほどの魔力を持っているのだ。

 この世界の魔力というものはエネルギーの塊だ。そのため、そのエネルギーを収めるもの、つまりは魔力量に比例して肉体が強くなる傾向にある。ショウと初めて対峙した時、ブレイディはショウの魔力量がかなりのものだと感じた。

 ちなみに、ショウには伝えていない。ブレイディは魔法や魔力の知識に乏しく、間違った知識を教えたくなかったのだ。

 

 もうワシの手には負えんな。王都ではよい相手がいるとうれしいのだが……。自慢ではないがワシは強い。衰えたとはいえ、この国で師匠以外に負けたことなどなかったのだ。

 仕方がない、あとはあいつに任せるとしよう。

 そういえば、試験は2週間後だと伝えてなかったな。まぁ、あの子なら間に合うだろ。

 楽しんでくるのだぞ、ショウ。



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