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6 ログハウスと家電

結局、新領地の伐採に3日程掛かってしまった。すべてを伐採する必要はなかったのだけど、この森のせいで建設予定の場所の日当たりがあまり良くなかったのだ。最初の孤島にあった木の高さよりも、ここの木は高かったのだ。しかも、太さも大きかった。

だがようやく、材料が揃った。あらかじめコンテナハウスに置いてあった家具と荷物を収納し、念願の風呂、トイレ、キッチン付きのログハウスを建設できた。

だが、ここで問題が発生したのだ。そう、家電が1つもない。

前回のコンテナハウスにはお風呂やトイレはもちろん、キッチンがなかったので毎食外食という名のデリバリーだった。1食あたり¥1000ほどの食費と別におやつやお茶代が掛かっていたので、2日前の残高¥392000から¥380000に減額していた。


「最低でも必要なのは冷蔵庫と炊飯器、オーブンレンジと洗濯機だよね…」

「そうですねー。それから当面の食材も必要ですね」

「そうだよね…給料日まであと27日。それまでの食費や日用品も揃えないといけないし…」

「新しい領地を農地にして、野菜などを育てて収穫すれば食費の1部は浮くでしょう。ここで育てた野菜は育成が早いです。一部を除けば大凡、1日~7日程で収穫が可能ですからね」

「え?そんなに早く育つの?」

「ええ。まあ、あくまでも紗英様が管理する領地でのみの恩恵ですが…」

「そうなんだ」

「はい」

「野菜の種や苗の購入も考えないといけないから、優先順位の高い物から栽培しないとね」

「そうですね」


まず、冷蔵庫は必須だろう。今はまだ春先だが、このぽかぽかの暖かい気候では常温では持たない食材がある。そして、肉や魚、乳製品は絶対だ。

そう考えながらネットショップで家電などを検索する。そして痛感するのだ。家電は高額だという事実に…。

結局選んだ家電は、野菜室や製氷室などがないタイプの冷蔵庫で上が冷蔵、下が冷凍の2ドアタイプで容量が520ℓの大型タイプ(¥200000)と縦型洗濯機(¥50000)、圧力炊飯器(¥50000)の合計¥300000を購入した。オーブンレンジは諦めた…。

残高は¥80000。これで紙や洗剤、米、調味料、肉、魚、乳製品と野菜を3日分を購入した。そして残りの金額で玉ねぎや人参、じゃがいもなどの常備菜の種や苗を購入した。残高は¥30000程である。


「これで様子を見ないとね」

「そうですね」


購入した家電の冷蔵庫、炊飯器、洗濯機を新居のログハウスに設置し、冷蔵庫や棚に購入した食材や日用品、食器などをしまう。

ネットショップで家電や食材など購入し、収納し始めたのが昼頃だったがそれなりに時間が経っていたらしい。外はもう日が暮れていた。


「今日はもう作業は無理だね」

「そうですね。明日からまた作業を再開しましょう」

「うん、そうするわ。とりあえず夕食を作りましょう」

「何をお作りになられるんですか?」

「うーん。トースターや電子レンジがないから、鍋でのみ対応できるメニュー…。カレーにしようかなぁ」

「いいですね。お米もありますし」

「うん。少し多めに作って明日のお昼はカレーうどんにしようかな」

「アレンジですね!」

「うん」


そんなことをソラと話しながら、カレーを作る。煮込んでいる間に洗濯をする。購入した作業着の2着は洗たくして、バルコニーに干す。


「カレーが出来上がるまで、まだ時間があるから明日の下準備しようかな」

「そうですね。種や種芋の準備をしておいた方がスムーズに行くでしょう」

「うん、そうだね」


そう言って今日購入した種や種芋、苗、ポットを出す。ゴミ袋用に買ったビニール袋を切り開いてシート代わりに広げる。ポットに少量の土を入れていく。


「ソラ、ここの領地に植えると2、3日くらいで作物が収穫できるんだよね?」

「そうです。ですので、収穫は時期に合わせたものを植えるといいでしょうね」

「うーん、なるほど…ね」

「そのうちビニールハウスなども出来れば、季節を気にすることなく栽培できるものも増えるでしょう」

「そうねー。でもまずは、目先の野菜ね!」

「ええ、そうです」

「キャベツ、たまねぎ、トマト、かぼちゃ、レタス、人参、ピーマン、きゅうり、スナップエンドウ、そら豆。それからじゃがいも。意外と多いのね」

「今は品種改良が進んでいますからね。特に常備菜のたまねぎや人参、じゃがいもはオールシーズン収穫できます」

「そうね。冬も取れる野菜があるから嬉しいね」

「ええ。この土地での栽培は、ほぼ失敗がありませんから。安心してください」

「うん」


黒のポットに種を入れて軽く土をかぶせる。そのまま土をこぼさないように、種を入れたポットをバルコニーに持って行く。キッチンに戻り初めにもらったじょうろに水を入れる。


「ん?」


何時まで経っても満杯にならず、重さを感じないじょうろに違和感を感じる。


「どうされました?」

「うーん。このじょうろ、いつまでたっても満杯にならない…」

「ああ、そのじょうろも特別仕様ですよ。100ℓくらい入りますし、重さもほぼ感じません」

「え、そうなの?」

「ええ。今のところ水源はここの水道と川だけですから、満杯に入れてください。明日汲みなおさなくていいようにね」

「そうだね」


15分くらいでじょうろは満杯になった。バルコニーに持って行ったポッドに水を上げて、リビングに広げていた種の入った袋やビニールを片付ける。


「後々はこういった作業場も作らないといけないわね」

「ええ。土地を広げ、伐採していけば自然に原木は溜まりますから」

「でも、伐採ばかりしていてはマズいんじゃない?植林もしないと」

「そうですね。植林用の苗木もネットショップで売っていますよ。2週間ほどで伐採できるまでに成長します」

「なるほど…。じゃあ、木材取集の為にも植林地は作らないといけないわね」

「ええ、それが良いと思います」


明日のことを話しながら、片付けているとちょうどカレーが頃合いになった。しっかり食べて残りは冷蔵庫にしまう。ついでに麦茶も作っておく。しばらくは節約しながら生活しないとね!

洗い物をして、しばらくネットショップを眺めていたらいつの間にか眠ってしまった。




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