5 橋を架ける
翌朝、行儀が悪いとは思ったがパジャマのままで朝食を頂く。このコンテナハウスにはキッチンがないから、もちろんネットショップのデリバリーのアイコンをタップして注文する。有名なパン屋の惣菜パンをいくつかと、温かいカフェオレを注文する。
朝食後、昨日頼んでおいたつなぎの作業着に着替えて、スキを手に取る。
昨日の時点でここから見える敷地内の木は、すべて伐採済みである。今日は除草作業である。
長さのあるスキを雑草の所宛がうと、どんどん草が抜けて収納されていく。作業の途中で雑草じゃない植物もいくつかあったが、雑草と同じように刈り取っていく。道具のおかげで、午前中に休憩を1回入れただけですべての除草作業が完了してしまった。
敷地内を見渡すと、長さ100m奥行き50mほどの孤島のようだ。孤島と言っても海に浮かんでいるわけではなく、孤島と孤島の間には川が流れている。孤島と孤島の間を流れる川は幅5、6mほどである。深さもそんなになくパッと見た感じ1mほどの深さだ。よく覗き込んでいると、川の中には魚が泳いでいる。
「紗英様。このエリアの伐採と除草作業が完了したので、一度建てたい建物の材料を確認してみてはどうでしょうか?」
「そうだね」
私はクラフトのアイコンをタップして、自分の住みたい家を探す。
お風呂とトイレは別に付いているのは必須で、洗濯機を置けるスペースのある脱衣所と出来ればアイランドキッチンが付いている1LDKを希望だ。
自分の理想の条件を入力して、いくつか候補が上がったものを確認する。その中で避暑地のキャンプ場で見るような、木のぬくもりを感じられるログハウスを見つける。自分の希望はもちろん、外にはバルコニー付いており、リビングには暖炉が付いていた。
「ねえ、ソラ。ここは冬の時期は寒いの?」
「そうですね…。ここは日本でいう東北地方…、北海道や青森のような場所に近いかもしれません」
「え!?じゃあ、冬は雪とかが降って除雪作業しなきゃいけないわけ?」
「いえ、ココに建てる建築物はクラフト機能のおかげで除雪作業は不要です。ですが、積雪はします。ですから、冬の間冬ごもりが必要になりますね」
「え~。今は春先だからいいけど…」
「季節は日本の四季のように巡ります。ですが春と秋は4か月ほどで、夏と冬は2か月ほどの長さです」
「じゃあ、冬ごもりは2か月くらいってこと?」
「まあ、異常気象がなければそのくらいの長さになりますね」
「そっか…」
この暖炉付きのログハウスを建てようと、画面をタップするがエラーが出る。よく見ると、材料である原木が足りないらしい。
「ソラ、材料がまだ足りないみたい…」
「そうですか…。では、ココの前の土地を開拓してはどうでしょうか?」
「ここのこと?でも、川があって向こうには行けないよ?」
「今ある材料で橋が作れますよ。クラフトの橋を見てください」
ソラに言われるままクラフトの中の、橋建設の一覧を確認する。シンプルな丸太の橋から石橋、鉄橋など様々な橋がある。一番材料が少ない橋は丸太の橋で、幅2mくらいのものだ。材料の原木も今持っている量の1/10くらいで建設可能だ。地図で確認すると奥の森林の広さは、今いる孤島の3倍ほどの広さである。
「ここを開拓したら、材料の原木も十分だね。じゃあ橋を架けるね」
「はい。建てたい橋をタップして、建てたい場所にスマートウォッチの画面で調整してください」
「分かった」
私は丸太の橋をタップして、左手のスマートウォッチを中央の場所に持ってくる。建設予定の敷地が青になったのを確認すると、Wタップする。
橋は一瞬で架かり、今いるエリアと奥のエリアが繋がった。
地図で確認するとグレーだった場所が、クリアになった。
「おめでとうございます。追加の土地を手に入れましたね!」
「追加の土地?」
「ええ、こうして橋を架けて自分の稼働敷地を増やすことで、自分の領地に出来るのです。ですので、このエリアも紗英様の管理の対象になります」
「そうなの?」
ソラと話しているとスマートウォッチから、お知らせの音が鳴る。
「え?何か鳴った?」
「お知らせのメッセージですね。メッセージのアイコンを確認してください」
「あ、うん」
メッセージのアイコンをタップすると、メッセージが1件届いていた。
《第2領地開拓・おめでとうございます!
新たな領地の開拓、おめでとうございます。
領地拡大のお祝い・30万円を送金致します。
昇給・おめでとうございます。
基本給が30万円から40万円にベースアップしました》
「え、マジ?」
思わずスマートウォッチの残高を確認すると、¥91000だった残高が¥391000に増えていた。
「新地を領地開拓する度に、お祝い金が¥300000と基本給が¥100000昇給します」
「わお!ベースアップの金額がびっくりね」
「まあ、新地開拓などは費用が掛かりますからね。そこを見越してのお祝い金と昇給でしょう」
「そっか。まあ、昇給は嬉しいよね!」
「そうですね!」
「じゃあ、とりあえずお昼休憩したら、新領地の伐採に作業に移ろうかな。早く自分の家が欲しいしね」
「ええ、そうしましょう!」




