全能の神
信長との戦の準備が整う中、俺は一つの決断を下していた。これまで隠していた能力を、完全に解放する時が来たのだ。俺の力は、単なる物理的なものにとどまらない。精神的、感情的、そして次第に世界そのものを操るような力へと進化を遂げつつある。信長はその力を認め、俺が戦場で何を成し遂げるのかに期待していた。
だが、ただ力を振るうだけでは、この先に見えるものが限られてしまう。信長の言う通り、俺の力を最大限に活用することが求められているが、それだけでは物足りなかった。俺の力は、もはや「戦」を超え、世界そのものに影響を及ぼす段階にある。
その時、信長からの連絡が届いた。
「彩斗、次の戦の準備は整ったか?」
俺はその言葉に、ただ答えるだけでなく、心の中で一つの決意を固めた。戦が始まれば、俺の力が決定的なものとなる。だが、それにとどまらず、俺は今この時を境に、さらに新しい力を開放する。そして、それが全てを変える。
――それは、時間を操る力だった。
すでに俺は、精神的な圧力を使って敵を支配するだけでは満足できなくなっていた。周囲の時間の流れを意識し、操ることで、戦の流れそのものを変える力に目覚めたのだ。俺の力はもはや、肉体的な限界を超えて、世界の法則にまで干渉できる領域に踏み込んだ。
その力を使うことで、俺は戦場における「瞬間の支配」を可能にした。敵の動きを一瞬で停止させ、その間に無敵の戦術を繰り出すことができる。それだけでなく、敵の進行方向を変え、味方の士気を一気に高めることもできる。俺が動けば、全てが俺の思うがままになるのだ。
そして、その力を信長に伝えることなく、俺は戦場に立った。数万の兵が待ち構えている中、俺が取った行動は、誰にも予測できなかった。
「彩斗、いくぞ!」信長が一声かけ、戦の幕が切って落とされた。だがその瞬間、俺はひときわ強く意識を集中させた。周囲の時間が、まるで止まったかのように感じられた。俺の内側で何かが目覚め、空気が震える。
「時よ、我が意に従え。」俺が呟いたその瞬間、周囲の時間が一気にスローダウンし、敵の兵士たちがまるでスローモーションのように動き始めた。
俺はその間に、一瞬で敵の最前線を突破した。弓兵の弦が引かれ、矢が放たれた瞬間、それも全てスローモーションのように見えた。そして、俺は冷静にその矢を避け、距離を縮めていく。
「こ、こいつ……!」敵の大将が驚愕の表情で俺を見つめる。だが、それも一瞬のことだった。俺が動けば、敵の指揮官たちの頭上に無数の影が降り注ぎ、彼らを瞬時に討ち取った。
「信長公、もう終わりました。」俺は静かに言った。時間が正常に戻った瞬間、信長の軍は圧倒的な勝利を収めていた。
「……やはり、君の力は常識を超えている。」信長は無表情ながら、目の前で繰り広げられた光景に納得している様子だった。
だが、これで終わりではない。俺の力が完全に目覚めた今、次なる戦場では、更なる次元での支配を発揮するつもりだ。
戦場から帰還した後、俺は信長の元に再び呼ばれた。今度は戦果報告というよりも、俺の力を今後どう活かすかについての会話が待っている。
「彩斗、君の力を見た今、改めて君にお願いしたいことがある。」信長は少し真剣な顔で俺を見た。「君の力があれば、ただ四国を制するだけでなく、天下を手に入れることも夢ではない。」
信長は少し間を置いて、さらに続けた。「だが、君の力を過信してはいけない。君は力だけで世界を変えることができるわけではない。」
その言葉に、俺は微かに笑みを浮かべた。「信長公、力だけでは世界は変わりませんが、力によって世界の秩序を変えることはできます。」その言葉に、信長も頷く。
「君の考えはよく分かっている。だが、力を使うには慎重でなければならない。」信長はしばらく黙った後、真剣な表情で続けた。「君の力を、もっと広い視野で使う方法を考えてほしい。戦だけではない。政治、外交、そして未来を見据えた戦略が必要だ。」
俺はその言葉に深く頷いた。この戦は、単なる戦の勝利にとどまらない。俺の力をどう活かすか、その先にどんな未来を作り出すのかが、今後の俺の道を決めることになる。
その時、俺の中で一つの考えが浮かび上がった。俺の力を使って、この世界そのものを変革する方法。まだ見ぬ未来を切り開くための手段が、俺の中で徐々に形になり始めていた。
「信長公、私にはまだ見えていないものがあります。」俺は静かに言った。「この力をどう使うべきか、その答えを見つけるために、私はさらに力を深めていきます。」
信長は少し驚いたような顔をしたが、すぐに頷いた。「それが君の道だ。私もその道を見守る。」




