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進軍

信長との絆が深まったその後、俺は信長から与えられた任務に従い、次々と戦場に赴くこととなった。信長が描く未来図において、俺の力はまさに必要不可欠な要素だった。信長が四国を越えて、さらに広い領土を手に入れるためには、俺の力がその戦略の一部として組み込まれる必要があった。


俺の特殊能力――それは、物理的な力だけに留まらず、精神的な影響力をも広げるものだった。戦の最中、敵の士気を崩し、味方の結束を高める力を持っていた。さらに、戦況に応じて環境を操るような力を発揮できるようになってきていた。そんな力を持っていることは、信長にとっても非常に有用であり、俺に対する信頼はどんどんと深まっていった。


次なる戦は、織田軍が四国の残りの大名と接触を果たし、連携を図るためのものだった。四国の勢力が織田家に屈服する前兆が見えてきたとき、信長は大規模な軍を編成し、四国へ進軍を始めることを決定した。俺はその先鋒を務めることになり、信長の命を受けて出発する準備を進めていた。


その日の夜、信長から直接呼び出しを受けた。俺は城内の廊下を歩きながら、その意味を考えていた。信長はいつも冷静で計算高いが、その目には時折、何か深い思惑が見え隠れしている。俺に何を話すつもりなのか、自然と心が高鳴る。


「彩斗。」信長は、廊下の先で待っていた。


「信長公。」俺は軽く頭を下げる。


「君には、次の戦において重要な役割を与えよう。」信長はそう言って、手に持っていた巻物を俺に手渡した。「これには、これから進むべき戦線と、重要なターゲットが記されている。」


巻物を広げてみると、四国の地図とともに、いくつかの名前が記されていた。どうやら、信長の計画は単なる征服に留まらず、四国を支配するための勢力均衡をも視野に入れているらしい。


「信長公、この計画は…。」俺は少し疑問を感じた。


「私が描くのは、単なる支配ではない。」信長は俺の疑問を察したようだ。「君にも分かるように、この地域の大名たちが力を持つ限り、戦は続く。しかし、君の力でその均衡を崩すことができれば、事態は一気に進展するだろう。」


信長は続けて、俺の能力をどう活かすかの戦略を話し始めた。それは、ただの軍事的なものだけでなく、心理戦や情報戦にも深く関わるものだった。信長は、俺の力を全面的に信頼し、俺が得意とする“敵の心を操る”能力を前面に押し出した。


「君の力を見せつければ、相手の士気が崩れ、戦は有利に進むだろう。」信長は無表情で言ったが、その言葉には強い確信が込められていた。


俺は少しの間黙って信長の言葉を考えた。確かに、俺の能力は戦場での勝敗を左右するものとなり得る。しかし、ここで一歩引いて冷静に考えてみると、信長が求める戦い方には、単なる力の行使ではない別の意味があるように思えてきた。


「分かりました。」俺は答えた。「信長公の言う通り、私の力を最大限に活用させていただきます。」


信長は頷き、にっこりと笑った。彼の笑顔は、久しぶりに見る真剣なものだった。


「頼んだぞ、彩斗。」信長の言葉には、ただの命令以上の期待が込められていた。


その夜、俺は一晩中考え続けた。戦が始まれば、俺の力がどれほど重要になるかは分かっている。しかし、俺がこの力をどう使うべきか、それが本当に正しい方法なのかが、心の中で大きな課題となっていた。


翌朝、俺は信長の軍に加わるべく準備を整え、軍の先鋒として出発することとなった。四国の未来を背負うその戦は、俺にとっても大きな転機となることは間違いない。


軍が進軍を開始し、最初の戦闘が行われたのは、四国の西端に位置する小さな城を守る敵軍との衝突だった。その城は、四国統一に向けて大きな鍵を握る要所であり、信長にとってはその攻略が最初の試練となる。


俺は、信長の命を受けて、戦の先頭で戦いながら、敵の士気を崩す役目を果たすこととなった。俺の力を使うことで、敵軍の指揮官が動揺し、戦況は一気に有利に傾いた。


敵の総大将が俺の前に立ち、目を見開いて叫んだ。「お前が、あの力を持つ者か!」


その言葉が聞こえた瞬間、俺の中で何かが弾けたような感覚が走った。信長の言う通り、俺の力はただの物理的なものだけでなく、相手の精神を揺さぶるものでもある。俺は冷静に、その敵大将を見つめ、冷笑を浮かべた。


「お前は、もう後がない。」俺は声を低く、冷徹に言った。


その瞬間、俺の力が全開となり、敵軍の士気は完全に崩れた。戦いの終息を迎えるその頃、俺の力が戦の決定的な要因となったことを、信長も確信することとなった。


次の戦が待っていた。俺の力は、信長と共にさらなる広がりを見せ、四国の支配を越えて、新たな時代を切り開くための力となっていくことを感じていた。

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