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海の先へ

元親を倒した後、四国の統一は急速に進んだ。長宗我部家の力を削ぎ、四国全体が我が手の中に収束し始めた。その後、四国における反乱や不穏な動きも収束し、領土内は一時的に平穏を取り戻す。しかし、この平穏は長く続くものではないことは、俺も信長も十分に理解していた。


元親の死後、四国を支配する立場となった俺は、ついにその重責をひしひしと感じることとなった。彼の遺した勢力を一手に握ったとはいえ、実際にその管理と維持を行うのは容易ではない。信長が背後で支えてくれるとはいえ、これから先に進むためには、四国の統治をしっかりと根付かせる必要があった。


「お前の手腕が試される時が来たな。」信長の言葉が耳に響く。彼の目は依然として鋭く、俺を見守っている。信長が俺に与えた責任は重いが、同時に彼の信頼に応えるチャンスでもある。


「信長様、今はまだ油断できません。」俺は慎之助と共に、四国各地の報告を受けていた。「元親を倒したことで、一時的な安定は得られたものの、反乱の芽は完全には潰えていません。特に、西部では元親に忠誠を誓っていた勢力が、依然として不安定です。」


信長はしばらく黙って聞いていた後、ゆっくりと答えた。「その通りだ。だが、今はお前にしか任せられん。お前の力をもって、四国を本当に平定するんだ。」信長の言葉は真摯で、重みを感じさせる。


「承知しました。」俺はその言葉に深く頷き、四国統治の準備を始める決意を固めた。


その後、俺は四国各地に派遣されていた部隊をまとめ、反乱勢力を一掃するための計画を立てることになった。元親の遺した勢力の中には、まだその忠義を誓う者たちが多く、彼らを敵に回すことは避けたかった。むしろ、彼らを味方に引き入れ、四国の安定を実現するためにどのように動くべきかを考えた。


その日、俺は四国西部にいる元親の家臣の中でも、特に忠誠心が高いとされる者たちを召集し、話をすることに決めた。慎之助と共に向かった先は、元親の旧臣が集う場所――かつて元親が重用した城下町の一角であった。


「皆の者、元親の死後、どうするつもりだ?」俺は、集まった家臣たちを前に問いかけた。彼らの顔には、元親に対する忠義が色濃く残っているのが分かる。しかし、その表情の裏にあるものを見逃すことはできなかった。不安と、そして少しの迷いを感じ取った。


「殿の死により、我らはどうすべきか迷っておりました。」一人の家臣が、重い口を開いた。「長宗我部家が支配する四国の行く末に、我々の立場がどうなるのか――それが恐ろしい。」


「その気持ちは分かる。」俺は冷静に言った。「だが、長宗我部家の支配を決して乱すつもりはない。四国の統一が成し遂げられた今、我々が目指すべきは平和と安定だ。元親が築こうとしたものを守り、さらに発展させる。それを信じて力を貸してほしい。」


家臣たちはしばらく黙っていたが、やがて一人また一人と、俺の言葉に賛同する者が増えていった。彼らは、元親の死後、誰が次のリーダーとして四国を治めるべきか迷っていたに違いない。だが、俺が示した態度は真摯であり、元親の遺志を引き継ぐ者として、彼らは徐々に心を開き始めた。


「お前の言う通りだ。」先頭を切って一人の家臣が立ち上がった。「我々は長宗我部家に仕官しているのだから、その名に恥じぬよう、力を尽くすべきだ。」


その言葉に、他の家臣たちも次々と賛同の声を上げ、四国の統一に向けた協力を約束してくれた。これにより、四国西部の安定が一層強化された。


その後、俺は東部や北部、南部にも赴き、同様に元親の遺臣や、残っていた勢力と交渉を続けた。何度も言われたことだが、反乱の芽を摘むことが最も重要だった。それでも、無理に力で押さえつけるだけでは長期的な安定を得ることはできない。だからこそ、俺は言葉と行動で信頼を勝ち取り、少しずつではあるが四国全土に安定をもたらしていった。


信長からの支援を受けつつも、俺は今後、四国をどう発展させるかという長期的な視点を持つようになった。そして、次に目指すべきは、四国を完全に安定させ、外部の脅威に立ち向かうための準備を整えることだ。


俺が目指すべき道は、単なる支配者としての存在ではなく、四国をより良い未来へと導くための指導者となること。そのためには、信長との連携を深め、時には彼の力を借りながらも、四国にとって最良の道を選ぶ必要があった。


「四国の未来は、お前の手の中にある。」信長の言葉を胸に、俺はさらに歩みを進める決意を新たにした。

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