信長との接触
信長との連携を果たすため、俺は慎之助と共に、元親の命令で織田信長の元へ向かっていた。信長との協力が現実のものとなれば、四国の統一はもちろん、その先の日本全土にまで及ぶ影響を及ぼすだろう。しかし、信長という男がどれほどの人物か、俺はその一端しか知らない。だが、この一歩がすべてを決めるのだ。俺はその決意を胸に、慎重に歩を進めていた。
道中、慎之助は何度も俺に確認をしてきた。「本当に信長と連携するつもりですか?元親様が望んでいる通り、信長と手を組むつもりですか?」
「当然だ。」俺は答える。「だが、最終的には俺が自分の力で切り開く道を選ぶ。その先に信長が必要なら、協力する。ただし、俺の目的が最優先だ。」
慎之助はそれ以上何も言わず、黙って歩を進めた。彼もまた、この計画の危険性を理解していた。それでも、俺の力を信じ、共に進むことを選んだのだ。
数日後、俺たちは織田信長が本陣を構えている地へと到着した。信長の軍勢はすでに大きな規模に膨れ上がっており、その威圧感は圧倒的だった。だが、俺は一歩も引かず、堂々と信長の元に向かって歩き出す。
信長の本陣に着いた俺たちは、すぐに信長の取り巻きに案内され、広間に通された。そこには信長自身が待っていた。
「待っていたぞ、彩斗。」信長が静かな声で言うと、俺はその目をじっと見つめた。信長の眼差しには鋭さと、どこか余裕を感じさせるものがあった。
「信長殿。」俺は冷静に返す。「元親の意向に従い、ここに参った。四国の統一に協力するつもりだ。」
信長は少し微笑んだ。「元親からの使者とはいえ、お前が本当にそのような意図を持っているのか、少々興味がある。だが、知っている通り、信長はただの大名ではない。」
その言葉の意味を、俺はよく理解していた。信長はただ四国を手に入れるだけでは満足しない。彼の野心はもっと大きい。日本全土を統一することを目指している。しかし、それに協力するためには、俺が何かを証明しなければならない。
「俺の力を見せよう。」俺は言った。
その言葉を合図に、俺は静かに周囲の空気を感じ取る。信長の目の前で、俺は意識を集中させ、時の加速を試みた。空気が一瞬で引き締まり、時間がわずかに遅れ、周囲の動きが緩慢になった。俺の身体は異常に速く動き、信長の目の前で素早く一歩踏み出した。
信長の目が見開かれた。「これは…」
俺はそのまま一瞬で信長の目の前に立ち、剣を抜く寸前で止まった。「これは、俺の力だ。時を加速することで、敵の動きに干渉し、戦況を完全に支配することができる。」
信長はしばらく黙ってその場に立ち尽くしていたが、やがてにっこりと笑った。「なるほど、そういう力か。これなら、確かに我が軍にとっても大きな助けとなるだろう。」
俺は一歩後退し、剣を鞘に収めた。「これが俺の実力だ。だが、信長殿、協力の条件がある。」
信長は軽く眉を上げて答えた。「条件とは?」
「信長殿の天下統一に協力する代わりに、俺の要求を満たしてほしい。」俺は冷徹に言った。「俺が必要な時、信長殿からの支援を受けること、それが条件だ。」
信長はしばらく黙って考え込んだ。だが、すぐに大きく笑った。「面白い。お前の要求は、悪くない。ただし、その力が本物であることを見極めるために、いくつか試させてもらう。」
「試す?」俺は微笑んだ。「試してみるがいい。結果がどうであれ、俺は約束を守る。」
信長はにやりと笑い、その後に続く軍師たちに向かって命令を下した。「お前の力を試すために、手加減せずにかかれ。」
俺はその言葉に無言で応じた。信長の指示で、数人の兵が俺に向かって襲いかかってきた。だが、俺にはその程度の相手がどうということはない。時を加速させ、一瞬で数人の兵士を制圧した。俺が動いたその瞬間、兵たちはまだ動くことすらできず、俺は簡単に彼らを打ち倒す。
信長の目が見開かれる。「…本物だ。」
その言葉が、俺の要求を飲ませるための大きな一歩となった。信長は深く頷き、俺に向かって言った。「よし、お前の力は確かだ。四国の支配を共に目指すことを誓おう。」
その瞬間、俺は確信した。この協力が実現すれば、四国の支配はもちろん、さらに大きな力を手に入れられると。信長との連携が、未来を大きく変える始まりだと感じた。
「ありがとう、信長殿。」俺は微笑んで答えた。「さあ、次のステップに進もう。」




