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目覚める力

信長との協力関係が確定したことで、俺の心には一層の決意が湧き上がっていた。だが、同時に不安もあった。信長との同盟が結ばれれば、確かに四国の支配権はほぼ手中に収めたも同然だ。しかし、信長という男はその先にあるもっと大きな野望を持っているに違いない。その野望に乗り遅れず、俺もまた自らの力を示さなければならない。


「次は…。」俺は月明かりの下で静かに呟いた。


だが、次に何をすべきかを考えているうちに、俺の体の中で奇妙な感覚が湧き上がった。まるで何かが目覚めるような、膨大なエネルギーが自分の内側から溢れ出してくる。俺は一瞬、息を呑んだ。


「何だ、これは…?」


それはまるで、体の中の眠っていた力が一気に覚醒し、周囲を圧倒するほどの力を持ち始めたかのような感覚だった。転生してから、あまりその力を自覚しないようにしてきたが、今、ここでそれが目を覚ましたのだ。長い時間をかけて閉じ込められていた力が、一気に解放されようとしていた。


その感覚に身を委ねてみると、俺は一つの確信を持った。この力こそが、俺がこの時代で生き抜くために必要な力だったのだと。


「解放するか…。」


俺は深呼吸を一つして、内に秘めた力を呼び覚ますことを決意した。その瞬間、全身に電流のような感覚が走り、視界が一瞬にして鮮明になった。目の前の空気さえも歪んで見える。あらゆるものが明瞭に、詳細に、そして正確に見えた。


俺は足元に視線を移し、その感覚を確かめるように一歩踏み出した。すると、周囲の地面に微弱な振動が走り、空気が一層重く感じられるようになった。それはまるで、周りの物質が俺の意志に応じて変化しているようだった。


「これが…俺の力か。」俺は目を見開き、確信に満ちた声で呟いた。


次の瞬間、俺は瞬時に駆け出す。その速度は常人の何倍にも達し、まるで瞬間移動したかのような速さで城内の廊下を走り抜けた。視覚と聴覚が研ぎ澄まされ、周囲の音すらも細かく感じ取れる。目に見える物体の動きが遅く見えるほど、時間の流れが遅く感じられる。


「これなら…」


俺は廊下の先に立つ壁を見据える。息を吸い込み、全身に力を込めると、次の瞬間には壁を突破していた。壁の向こう側に、何も感じずに進んだその速度と力に、自分でも驚きながら、俺は立ち止まった。


「この力…やはり、制御できる。」俺は静かに呟いた。


俺の体が感じたその力、そしてその力を使うことで、戦闘だけではなく、あらゆる局面で自分を有利に立たせることができる。目の前に立ちふさがる敵であれば、あっという間に無力化できるだろう。だが、この力を使うには慎重でなければならない。今、俺の周囲に知られることなくこの力を解放したが、もし誰かに気づかれれば、それだけで敵が増えてしまう。


「信長との協力を進める中で、この力をどう使うべきか。」俺は一度その場で立ち止まり、心を静めた。


今の俺に足りないのは、信長との絆を深め、四国を制するための戦略を立てることだ。だが、この力があれば、その戦略をいかにでも変えることができる。戦局を俺の思い通りに持っていくことができる。


「力は…使い方を間違えれば、ただの破壊に過ぎない。」俺は自分に言い聞かせるように呟いた。


だが、同時に思う。力こそが、俺が四国を手に入れるために必要なものだと。信長との協力の後、この力をどう活かしていくか。それを見極めるのが俺の使命だ。


その後、俺は慎之助にこの力を見せることはなかった。まだその時が来ていないからだ。だが、俺は確信していた。この力を使いこなすことができれば、俺は信長と共に四国を制し、さらには天下をも取ることができるだろう。


そして、次のステップを踏み出す準備が整った時、俺は自分の力を完全に解放し、すべてを手中に収めるだろう。


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