表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/58

新時代

長治が語った情報を元に、俺は素早く判断を下した。阿波の支配権を巡る動きが加速していることは予想していたが、それが裏で誰かの手引きによるものだという点で、状況は一層複雑になった。誰がこの混乱を引き起こしているのか、明確にしなければならない。


「慎之助、調べを進めてくれ。誰かが仕掛けていることは間違いない。」俺は決然とした声で指示を出すと、慎之助は黙って頷き、すぐに動き出した。


その日の夜、俺は一人、城の屋上に立って月明かりを見上げていた。風が冷たく、肌を刺すような寒さを感じる中で、俺の心は次第に熱くなっていた。四国の支配権を握るためには、今こそ自分の力を解放する時だと感じていた。転生してから、あまりにも慎重すぎたのかもしれない。だが、もう躊躇する時ではない。ここで一気に戦局を掌握し、俺の力を証明しなければならない。


「大義のために。」俺は静かに呟き、決意を新たにした。


その時、慎之助が戻ってきた。「ご報告します。阿波の動きの裏には、やはり織田信長の手があったようです。」


その言葉に、俺は目を細めた。信長が背後にいるとなれば、話は単純ではない。だが、信長が関与しているなら、どう動くべきかは決まっている。信長との接触を試みるには、今が絶好のタイミングだろう。


「信長が手を回しているのなら、むしろこちらから動いた方が早い。」俺は冷静に言った。「慎之助、すぐに信長との連絡を取る方法を探れ。」


その後、数日間、慎之助の調査の結果、信長との接触を持つ手段が見つかった。信長の使者が阿波に向かっているとの情報があり、俺はその機会を逃さずに信長の使者を迎え入れることに決めた。


使者が城に到着した夜、俺はその使者を自室に招き入れた。彼の顔に浮かぶのは、慎重さと不安が交じり合った表情だったが、俺はそれを気にすることなく、冷静に言葉を交わす。


「信長公からの使者か。」俺はまず彼に向かって言った。「信長が四国の動きに関心を持っていることは知っている。」


使者は軽く頭を下げると、少し驚いたような顔をしたが、すぐに冷静さを取り戻した。「その通りでございます。信長公は、四国における新たな支配者の登場を期待しておられます。」


「期待している?」俺は眉をひそめた。信長が俺に対してどういう思惑を抱いているのか、まだ見えていなかったが、その言葉には意味があった。「その期待に応える準備はできている。」


使者は一瞬、言葉を詰まらせた後、目を合わせる。「信長公は、あなたの実力を高く評価しておられます。しかし、四国の支配を完全に掌握するためには、信長公の力が必要だと考えているのです。」


その言葉に、俺の心に火がついた。信長が「力を必要としている」ということは、今の自分の立場が決して弱いわけではなく、むしろ信長がその力を求めているということだ。ならば、俺が信長に協力することにより、四国を完全に支配するだけでなく、信長との強力な同盟を結ぶことができる。


「信長公が我を必要としているなら、こちらも準備はできている。」俺は冷静に答えた。「だが、信長には一つ覚えておいてもらいたいことがある。四国の支配権は、決して他人に渡すつもりはない。」


使者はその言葉を受けて、少し緊張した表情を見せたが、すぐに頷いた。「もちろん、信長公もその点については理解しておられます。あなたの実力をもってすれば、四国を支配するのに何の障害もないという認識を持っております。」


「それならば、具体的な話を進めよう。」俺は立ち上がり、使者に向かって手を差し伸べた。「信長との協力関係を結ぶにあたって、四国を支配するための条件を整えよう。」


使者は深く頭を下げ、俺の提案に賛同した。こうして、信長との協力関係を築く準備が整った。しかし、その後ろには暗い影が迫っていることを俺は予感していた。信長との協力が決まれば、次に待ち受けるのは大きな戦の幕開けだ。


その夜、俺は一人で城の屋上に再び立ち、月を見上げた。心の中には、確信が湧いていた。信長との連携が始まれば、四国の支配権は俺のものとなるだろう。そして、その先に待っているのは――


「俺の時代だ。」俺は静かに呟いた。


次の一手を打つため、心の中で戦略を練りながら、俺は覚悟を決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ