長宗我部の長
元親との会談の準備が整い、俺はその場に赴くため、吉田と共に急いで出発した。道中、頭の中では今回の会談がどれほど重要であるか、そしてどのように進めていくべきかを考えていた。元親と信長の連携が確実に整えば、四国はもちろん、それを超えて東海や近畿、さらには西日本全体にまでその影響力が広がるだろう。
だが、それだけでは終わらない。俺が目指しているのは、単に信長や元親と肩を並べることではなく、最終的には自らの力で四国を支配し、その先の天下統一に向けて進むことだ。そのためには、元親との協力をうまく取りつけた上で、信長との連携をさらに強化し、自身の立ち位置を確立しなければならない。
到着すると、元親の居城である高知城の前で待っているのは、元親の家臣たちだった。彼らは俺の姿を見ると、ひとまず丁寧に挨拶を交わし、城内へと案内してくれた。だがその目はどこか警戒心を持っているように見えた。それもそのはずだ。俺は元親の力を強化するために動いているとはいえ、信長との接触を試みている立場だから、元親にとっては複雑な思いがあるだろう。
「彩斗殿、お待ちしておりました。」元親が城の間取りに迎え入れてくれた。彼の顔には先日からの続きが見え隠れしている。
「お疲れ様です、元親殿。」俺は頭を下げ、すぐに本題に入ることを決めた。「四国統一のために、今後の協力関係を強化したい。まず、信長との連携をどう進めるかが重要だ。」
元親は少し考え込むように目を細め、それからゆっくりと答えた。「信長との協力は我々にとっても重要だ。しかし、信長は何を求めているのか、その実態を掴むことが先決だ。こちらから一方的に動いても、何も得るものはないだろう。」
「その通りです。」俺は頷いた。「そのためには、信長にとってもメリットのある状況を作り出さなければなりません。私が信長との橋渡しをし、信長が望むものを明確にし、それに対して何を提供できるかを考えれば、協力関係は築けるはずです。」
元親は再び黙って考え込んだ。彼の目の前に広がるものは、単なる四国の支配だけではない。信長との連携が実現すれば、それが彼にとっても大きな力となり、天下を狙う力を手に入れることができるのだ。
「では、信長が求めるものを手に入れるために、我々はどう動けばよいのだろうか?」元親がようやく言葉を発した。
「まずは、信長の側近や家臣に対して信頼を得ることです。」俺はその方向性を示す。「そして、信長にとって利点のある情報を提供する。信長が四国を支配するための手助けをし、代わりに信長の力を得る。これが最も効果的だと思います。」
元親はじっと俺を見つめ、しばらく無言であったが、やがて力強く頷いた。「分かった。信長との協力を進めるためには、あなたの言う通り、信長にとっての利益を提供することが必要だ。それに、私もあなたに協力しよう。」
その言葉を聞いた時、俺の胸の中で一筋の光が差し込んだ。元親との協力が確実に進み、信長との連携も進展する。そして、それが俺の立ち位置を盤石にするための第一歩となる。
「ありがとうございます、元親殿。」俺は深く頭を下げ、さらに続けた。「この連携を進めるため、まずは信長の使者と接触を試みます。その際、私の力を信長に示す機会を作りたい。」
「信長の使者か…。」元親は少し考え込むと、再び頷いた。「あなたが信長に認められることができれば、私たちの連携は強固なものになるだろう。」
会談が終わり、元親と別れた後、俺は自分の心の中で確信を持った。四国の支配を確実にするためには、信長との協力を築き、その後は一歩一歩、確実に天下に向けて進んでいくことが必要だ。そのためには、信長の信頼を得るために動き、さらに四国を支配する力をつける必要がある。




