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漆黒の運命を握る人

信長の使者に導かれ、俺と慎之助は信長の陣営へと向かう道を進んだ。道中、辺りの空気は次第に緊張感を帯びていく。信長と接触することが、俺にとってどれほどの重要な転機となるのかは明確だった。だが、心の中で少しだけ疑念も湧いていた。信長が俺をどう見ているのか、彼の意図がどこにあるのか、それを完全に読み解く自信はなかった。


「信長公は何を考えているんでしょうかね。」慎之助が静かに言った。


「分からん。」俺は答える。「だが、あの男は俺を見込んでいる。俺がどれほどの覚悟を持っているのかを試しているんだろう。信長にとって、力だけではなく、その背後にある意志も重要だろうからな。」


慎之助は黙って頷いた。それからしばらく沈黙が続いたが、やがて信長の陣営が見えてきた。大きな旗がひらひらと風に揺れている。信長の軍が待ち構える本陣には、既に多くの兵士が立っており、その数は圧倒的だった。


「到着しました。」使者が静かに言う。


「分かった。」俺は一言返し、慎之助と共に本陣に足を踏み入れた。


本陣内に足を踏み入れると、周囲の静けさと威圧感に包まれる。信長の気配がすぐに感じ取れた。彼が今、どのような考えでこの場にいるのか、俺の心が高鳴る。


使者はそのまま信長の元へと案内してくれた。信長は大きな座卓に座っており、手元には戦略の書類が広げられている。その姿は、まさに戦国の覇者を感じさせるものだった。だが、その目は冷徹であり、深い思慮が滲んでいた。


「よく来たな、彩斗。」信長は静かな声で言った。「お前の名は聞いている。だが、いったいどれほどのものなのか、俺にはまだ分からない。」


俺は堂々と答えた。「私がどれほどのものかは、信長公が決めることです。しかし、私は力だけではなく、志を持っております。それを証明しに来たのです。」


信長は軽く微笑んだ。「志か。お前のような者が、この時代にどれほどの志を持っているのか。それが気になるな。だが、四国の統一を進めている者として、お前がどう動くのかも興味深い。」


その言葉に俺は一瞬、心の中で冷や汗をかいた。信長が四国をどう見ているのか、それを示唆しているようだった。だが、俺もまた、その問題には深く関わっていることを知っている。


「信長公、私が目指しているのは、四国の統一です。」俺は言った。「そのためには、信長公との協力が不可欠であると考えています。」


信長は一瞬黙り込み、その後、静かに言った。「四国の統一か…。お前のような者がそれを目指しているなら、俺もその道を支援しても良い。ただし、いくつかの条件がある。」


「条件?」俺は眉をひそめた。


「そうだ。」信長は書類を手に取りながら言った。「お前が四国を支配するためには、まずはその力を示す必要がある。そして、外部勢力とどう渡り合うかも重要だ。お前の行動次第で、俺の支持も変わるだろう。」


俺はその言葉に慎重に耳を傾けた。信長が四国の支配をどう見るのか、その先に何が待っているのか。だが、この場で焦っても仕方がない。俺ができることは、ただ一つ。この場で自分の意志を貫き通すことだ。


「私の力で、四国をまとめる。そして信長公と手を組み、さらに大きな力を得る。」俺は冷静に言った。「そのために、信長公に協力をお願いしたい。」


信長は再び微笑んだ。「ふむ。お前にそれだけの覚悟があるのなら、俺も協力しよう。ただし、すぐに動くわけではない。お前がどれほどの力を持ち、どう動くかを見届けてからだ。」


その言葉に、俺は深く頷いた。信長が俺に何を求めているのか、それを理解したような気がした。そして、四国を統一するための道筋が少しずつ見えてきた。信長との協力を得るには、まず自分がどれだけの力を持ち、どれだけの意志を貫くかを示す必要がある。そして、それが信長を納得させるための条件になるだろう。


その後、信長との会話は続いたが、重要な部分はほとんど終わった。俺の立ち位置は、ここで確実に前進したことを実感していた。信長との協力関係は始まったばかりだが、四国の運命を握るのは、間違いなく俺自身だ。


その日の夕方、俺は慎之助と共に本陣を後にし、再び四国へと向かう決意を固めていた。これから、俺がどのように動くかが、四国だけでなく、戦国の流れを大きく左右することになるだろう。信長の力を得て、さらなる強さを手に入れる。そのためには、竹中や他の勢力とどう渡り合うかが、次の課題となる。


四国を統一するために、信長と手を結び、そしてその先に広がる世界に、俺は確実に足を踏み出したのだ。

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