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交渉の席

信長からの手紙を受け取った俺は、その返答に満足していた。だが、これがすべてではない。まだ信長との接触は始まったばかりで、どこでどのようにその関係を築くかが重要だ。信長が本当に信頼に足る相手なのか、実際に顔を合わせて話をするまでは、すべてが確定したわけではない。


そのため、俺は信長との会談の準備を進めることにした。信長の本拠地である尾張に向かうため、俺の軍は動き始めた。慎之助やその他の部下たちも共に行動し、信長との交渉に臨むための準備を整えていった。


「信長と会うというのは、なかなか大きな一歩だ。」慎之助が言った。「だが、お前なら大丈夫だろう。」


「信長との関係を築くには、まずは信頼を得る必要がある。」俺は冷静に答えた。「だが、信頼を得るだけでは足りない。俺の力を示し、彼にとっても有益な存在であることを証明しなければならない。」


尾張に向かう途中、俺たちの軍はすでに数度の小規模な戦闘を経て、信長の目に留まるような戦績を挙げていた。その実績を持って、俺は自信を深めていたが、同時に油断することはなかった。


「信長は、確かに有力な大名だ。」俺は慎之助に語った。「だが、俺の力を試すには十分すぎる相手だ。今の俺にとって、あの男の実力を超えることは時間の問題だ。」


慎之助は少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐにうなずいた。「お前ならできるだろう。」


尾張に到着した後、俺は信長と直接会うための場所を決め、その場で待機した。信長との会談が持たれる場所は、信長の館の広間だ。その場に集まったのは、信長の重臣や他の名だたる武将たちだった。彼らの眼差しを感じながらも、俺はあくまで冷静を保っていた。


信長がその場に現れると、周囲は一瞬で静まり返った。俺もその視線を感じながら、信長を見つめた。


「彩斗か。」信長が、まるで俺の力を測るような眼差しで言った。「お前の噂は聞いていたが、実際に会うのは初めてだな。」


「お会いできて光栄です、信長殿。」俺は静かに答えた。信長に対しても、少しの警戒心を抱きながらも、必要以上に威圧的には出なかった。冷静に、尊敬の意を示しながら接することが重要だ。


「どうだ、お前の力を見せつけたくなったか?」信長が挑戦的に言った。


「いえ、今は貴殿と協力関係を築きたく思っています。」俺は冷静に答えた。「私の力を見せつけるのは、信長殿と協力関係を結んでからでも遅くありません。」


信長はしばらく黙っていたが、その後、微笑んで言った。「良い答えだ。お前はなかなか冷静だな。ただし、協力関係を築くには、まずはお前がどれだけの実力を持っているかを見せてもらわなければならない。」


その言葉に、俺は少しだけ心の中で笑みを浮かべた。信長が俺の実力を試すつもりだということは、すでに予想していたことだ。これからの交渉が本当の意味での始まりだ。


「では、信長殿。」俺は立ち上がり、周囲にいる信長の家臣たちを一瞥した。「試すのは構いませんが、その前に一つだけお聞きしたいことがあります。」


信長が興味深そうに目を細めた。「なんだ?」


「貴殿は、ただ四国の支配を目指しているだけなのでしょうか?それとも、さらに大きな計画があるのでしょうか?」


その問いに、信長はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと答えた。「お前も知っているだろう。私はただの四国制覇を目指しているわけではない。天下を取るためには、四国の統一はその一歩に過ぎない。」


その言葉を聞いたとき、俺は胸の奥で何かが高鳴った。信長は、やはり四国だけではなく、天下を目指しているのだ。俺と信長の目指す方向は同じだが、その方法が違うということは、まだ明らかではない。


「その力、確かに気に入った。」信長はにやりと笑った。「だが、最初に言った通り、お前の実力を確かめるために、何か試練を与えなければならない。」


その言葉に、俺の心は一瞬、強く燃え上がった。この試練をクリアすることで、信長との協力関係は確実に手に入るだろう。そして、俺の野望もまた、新たな一歩を踏み出すことができるのだ。


「では、試練を受けましょう。」俺は力強く答えた。


信長がその言葉を受けて、満足そうに頷いた。その時、俺は感じた。俺と信長が、これからどのように絡み合っていくのか。それが俺のさらなる飛躍のきっかけになることを確信していた。

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