①. ようこそヴィクテンラス学園へ
<はじめに>
個々のキャラの設定は考えたのですが、かなり突発的に書き始めたので、ゆるーく書いていこうと思います!
仮に応援の声が出てきたらこっちも頑張って書いていくはずです...
タイトルも仮につけているけど、定期的に変えちゃうかも..というほどのあやふやさです
広々とした講堂には、学園の新入生たちが一堂に会していた。ピンと張りつめた静寂の中、壇上に立つ学園長が、ゆっくりと彼らを見渡して口を開く
「ようこそ、我がヴィクテンラス学園へ。ここにいる君たち一人ひとりが、この学園に招かれたのは、決して偶然ではない」
学園長の鋭い視線が新入生たちの間を漂うと、静かな緊張感が会場に満ちていく。まるで、生徒全員の過去を見透かしているかのような目に、数人が思わず目を伏せた
「この学園は、一般の学校とは違う。制服や学費はもちろんのこと、学校の設備も無償で使えるうえ、生活費の援助も惜しまない」
学園長の低い声が重々しく響く
「だが、ここで学ぶ以上、それに見合うものが求められる」
一瞬、言葉が途切れると、彼の視線は生徒たちの背負うものを暗に示すかのように、再び全体を見渡す
「ここに集まったのは、自らの道を探す者、背負うものから逃れようとする者、そして何かを守るために偽りの姿をまとってきた者——君たちだ」
その言葉に、会場の端で息を呑む音が聞こえた
「この学園では、君たちがこれまで隠してきた『自分』を、直視し、共に成長することを期待している」
学園長はそう言い終えると、微かに微笑んだ
「過去に縛られることなく、新たな未来を見出すために、ここでの生活を精一杯過ごしてくれたまえ」
学園長のスピーチが終わり、講堂がざわつき始める。新入生たちはクラス分けの名簿を見つめ、少し緊張した様子で移動を開始した
黒髪のショートカット、鋭い眼差しの「彼」は人ごみの中、背をかがめるようにしてゆっくりと廊下を進んでいた
「彼」——刃霧は、周りの目を避けるようにしながら足早に歩き出す。その表情には、どこか張り詰めたような緊張感があった
すると、刃霧の隣に静かに歩み寄る影があった。少し柔らかい、品のある表情を浮かべた同級生がふと口を開いた
「……久しぶりだな。刃霧」
刃霧は一瞬立ち止まり、鋭い視線をその人物に向けた。思わず心臓が跳ねるのを感じたが、すぐに表情を引き締め直す
「……三栖」
刃霧は小さな声で名前を口にしたが、すぐに言葉を飲み込んだ。三栖は一瞬だけ目をそらし、わずかに気まずそうな顔をしていた。まるで何かに触れてはいけないものに触れてしまったかのような、不安げな表情だ
「いや、……無理に俺と話さなくていい。君とはあまり接点がないからな...妹の方には世話になったが」
刃霧は、三栖の言葉に一瞬だけ顔を曇らせたが、何も言わず歩き始めた。二人の間には微妙な距離感が漂い、どこかぎこちない空気が流れていた
教室に入ると、すでに多くの生徒たちが席についていたり、友人と話し込んでいたりしている中、刃霧は静かに三栖と距離を取り、教室の隅にある席へ向かった。目立たないように視線を低く保ちながら、無言で席につく
隣の席には、柔らかい雰囲気をまとった小柄な可愛らしい少年が座っていた。彼は刃霧が席につくと、一瞬驚いたように刃霧を見つめ、少し遠慮がちに話しかけてきた。
「……あ、もしかしてモデルの刃霧月斗さん...だよね?」
刃霧は思わぬ一言にわずかに驚き、隣の少年に視線を向けた。少年はほんの少し頬を赤らめながらも、続けた
「僕、明日菜っていうんだけど。その、君が宣伝してるブランドの服、本当にお洒落だなって、ずっと憧れてたんだ!」
彼の表情には緊張とためらいが浮かび、少し言葉に詰まりながらも、瞳には刃霧への尊敬と憧れがはっきりと映っていた
明日奈と名乗るその少年は、まるでアイドルを目の前にしたファンのように、刃霧を見つめている
刃霧は一瞬ためらったが、その視線に気づき、わずかに口元をほころばせて小さく返事を返した
「……ありがとう。でも、さん付けはやめて欲しいな。せっかく一緒のクラスになれたんだし」
「う、うん、わかった!ごめんね。少し驚いただけで……なんだか、夢みたいだな」
明日菜は少し緊張を浮かべながらも、少し照れたように頬を掻き、気まずそうに笑った
その表情に、刃霧は何か言いたげな雰囲気を感じたが、深く追及することはなかった
その様子を少し離れた席から見ていた三栖は、刃霧のわずかな笑みを目にし、複雑な表情で視線をそらした
緊張の緩んだ表情に、何か引っかかるものを感じつつも、空いている席に腰を下ろした
教室内は新しい出会いに沸き立ち、賑やかな空気が満ちている。しかし、どこか重く静かな空気が漂っていた
担任の先生が前に立ち、その姿にクラスの雰囲気が一気に静まり返る
「みなさんー、今日から新しい生活の始まりだね。担任の万純です。みなさんも、しっかり自己紹介をして、クラスの一員としてお互いをよく知っていきましょうね」
穏やかな眼鏡をかけた先生が、にこやかな笑顔で話しながら話し始めた。その温かい雰囲気に、少し緊張していたクラスの空気がほんのり和んだ
「じゃあ、まずは阿久津さんからお願いしようかな」
阿久津と呼ばれた男の子は少し無表情のまま、しかし堂々とした姿勢で話し始めた
「阿久津蓮です。よろしくお願いします」
その一言で自己紹介を終わらせると、クラスの何人かが耳打ちするように言った
「なんだか、ちょっと近寄り難い雰囲気があるな...」
阿久津は周囲の反応にはほとんど気を取られず、すっと席に戻った
今度は明日菜がにっこりと笑って立ち上がる。すらっとした姿勢と、明るい笑顔で自己紹介を始める
「こんにちは!明日菜渚です。おしゃれが大好きで、いろんな服を集めてます。それと体を動かすのも大好きです!よろしくお願いします!」
その明るく前向きな雰囲気に、教室内が少し和んだ。一方、何人かのクラスメートたちは、驚いたように目を見張っていた
「かわいい!でも男子なのか〜」
「ごめんねー!でもいっぱい話しかけてくれると嬉しいな!」
明日奈はそう言いながら、にこやかに座った
次に刃霧が立ち上がり、少し不安げに教室の中を見渡すと、ゆっくりと声を出した
「刃霧月斗です。みなさんと仲良くできたら嬉しいです。よろしくお願いします」
短く簡潔に自己紹介を済ませると、再び席に戻る。周囲からは、少し戸惑ったような反応が返ってきた
「え…もしかして、あのモデルの月斗様じゃない?」
「すごい、本物だ...」
刃霧はその言葉を気にした様子もなく、冷静に席に戻った
「それじゃあ、三栖さん。お願いできるかな?」
先生に促されて、三栖がゆっくりと立ち上がった。落ち着いた表情で、少し低めの声で自己紹介を始めた
「三栖だ。あまり会話は得意ではないが、よろしく頼む」
話し終わった後、ゆっくりと席に戻った。周囲からは、興味の目が集まっていた
「三栖って、なんか聞いたことあるな…」
「静かで落ち着いててかっこいい...!」
三栖は周りをチラリと見て、静かに椅子に座った
その後、クラスの人々が次々と自己紹介し、最後に担任の先生が自己紹介を締めるように話し始めた
「はーい、ではみなさんよろしくお願いしますね」
クラスメートたちも、少しずつ自己紹介をしていったことで和やかな雰囲気になり、教室内は緊張感を解いていった
<おわりに>
いわゆる導入部分でしたが、雰囲気つかめていただけたでしょうか?!
ネーミングセンスが皆無なので名前を付けるのに一番苦戦しました( *¯꒳¯*)
学園物って展開広げるのめっちゃ難しいですね!!この先、どうしようかしら..( . .)