【ジュース】光羅謝
買った大袋の飴をエコバッグに放り込む。気に入りのフルーツ味4種が入った袋と、この前から気になっていたコーヒー牛乳味の袋。
スーパーを出ると、入り口付近でラオメと蓮がたむろしていた。2人は俺より少し先に出ていたらしい。
「お待たせ。」
「は〜い、戻るか。」
「あっ、先生そろそろ来れるらしーよ。」
スキップ&スマホで蓮が言った。自分の身体に余程自信があるのか、時々彼は危なかっしい。
「…ビル前で合流しとく?」
「え?」
ラオメの発言に、きょとんとして蓮が顔を上げた。俺も相方の意図がよく分からず、天色の瞳を覗いた。
「う〜ん、ちょっと話しときたいことあって。あー、…結抜きで。」
蓮の双眸にはたちまち納得の色が滲んだが、俺としてはすんなりとは頷けない。若干、声が大きくなった。
「なんで結ィ?なんかあったのかよ?」
「まぁ、うん、あった、と思う。…でも気のせーかもなんだよね。勘違いだったとき結と気不味いじゃん?だったら抜きで話したほーが…。」
「…ラオメがそう言うなら、分かった。」
蓮が目を眇める。太陽の前を雲が通ったのか、影がフラッシュした。
ビル前に着くと、連絡を受けた女医がすでに一服していた。結にビルへ入らなかった理由を聞かれたら、喫煙のためと答える気なのだろう。迷ったものの、蓮は廃墟に戻らせた。四六時中隣に居るだろう奴が(コッツティの記事を出してから、蓮が狩り隊に襲われることを恐れて、リモンドは蓮宅に泊まってる)、ニコチンの匂いをさせてたら嫌だろう。ましてや、あいつは禁煙者なのだから。
「フー…。で?」
そういう配慮に欠けている闇医者は、煙を吐き出してラオメを見やった。相方は匂いにゲーッと可愛く項垂れてから、廃墟の中を確認する。
「あんま自信無いんだけど、一応話したくて…。」
「構わん。言え。」
耳だけ2人にやりながら、飴の大袋を開け放つ。中々良さ気な香りが、微かに漂ってきた。コーヒー牛乳味は正解だったらしい。
「あの子_結…さ、」
小さな袋を破って、飴を口に投げ入れる。
「前にも、会ったことあるんだよね。」
から、と飴の動きが止まる。煙の弛みも、一瞬静止したようにすら見えた。
「「はっ?」」
「だから、結と、前に会ってると思うんだよ。」
じわ、とコーヒーの苦味が舌についた。




