【記憶】光羅謝
俺達を助けた青年は、理由は分からないものの、取り引きを受けてくれた。
「俺側からの条件が3個あります。1個目、仕事内容は事前に知らせて、俺が参加するかどうかの最終決定は俺にさせること。2個目、夜中ゲームしてても何も言わないで下さい。静かにするんで。最後に、俺のことは結って呼び捨てにして下さい。」
最後の文は、にこっと笑顔で言う。だが目が笑っていない。ラオメのちゃん付けが嫌だったのだろう。性別に関係なくちゃん付けする相方は、相手が嫌だと言わない限り、どんなに嫌な顔をされてもちゃん付けを続ける。相方の面白い点のひとつだが、まぁ彼の対応は正しかったと言えよう。
「分かった。結ね、結。」
「じゃあァ結、今から出国したいんだが、都合つくか?」
「大丈夫です。大学が始まるのは来月なんで、それまで余裕があるんです。」
また笑顔を見せる結。断然さっきより自然体な笑顔で、俺は既視感を感じた。会ったときからそうだが、どうにも以前にも会ったことがある気がしてならないのだ。
「なァ、何処かで前にも会ったことねェか?」
結ははっと目を見開いて、それからきょとんとした。
「俺と?何処でですか?」
「いや、それは分かんねェけど…。」
返事は短く、そうですか、だけだった。




