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雑草の花束  作者: 片喰
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【土台】ラオメ

 女医の呼び掛けに、3人が振り返る。彼女は少し身を乗り出した。

「結を、こっちの陣営に引き込まないか?」

「そう来ると思ってた。」

「んー…。解体の魔術は魅力的です。それに彼の体を見るに、中々動けそうでした。」

「ごめんだけど、オレは完全には賛成出来ないかな〜。あの子、人嫌いの感じある。仲間に入れても、お互いにちゃんと信頼し切れないと思う。そんな不健康な関係ってヤじゃない?」

 こてんと首を傾げる蓮。僕的には寧ろ、全人類トモダチ☆みたいな男の子に見えたが、蓮がそう言うなら、彼は人間嫌いな青年なのだろう。

 蓮の人を見る目は確かだ。<葬り町>で有名な闇医者が、狩り隊撲滅の野望を抱える<使者>だと察したのも、最初は蓮だったそうだ。そこで女医とリモ蓮が手を組み、その後見つけた飛鳥を引き入れ、噂を聞いて引っ越して来た僕等が加わった。

 でも、狩り隊に真っ向から刃向かえる人数ではない。

「不健康でいいじゃん。裏切りを考慮しながら"仲良く"協力しよ。」

「それだとあの子はずっとオレ達を信じてくれないじゃん。上手くいけば完全に信頼し合える仲間に出来る。もっと関係の土台を築いてから誘った方がいいよ。」

「関係の土台ったって、狩り隊と繋がってたら信用した途端に僕等は全滅。蓮さ、もっと危機管理しなよ。」

「でもあの子、羅謝くんのことは、ちょっと気にしてた。羅謝くんだけなら、多分もう一押しな筈だ。」

 隣室に聞こえないよう抑えつつも、はっきりした声色。少しポカンとした後、無意識にソファの上の相棒を振り返った。彼は我関せずの顔ですやすやと眠っている。

「羅謝を?」

「えっ?うん、気付いてなかった?」

「気付かないよ…。でも、そっか、羅謝ねえ〜。な〜んで羅謝なのかは分かんないけど、これは使えるじゃん。」

 羅謝は基本、自分のことを好いてくれる相手なら誰でも好む傾向にある。結がそれなりに羅謝への好感度を高めれば、自然と羅謝も結を可愛がる。

「ふむ、あそこ2人が親しくなれば、結さんがこちらの陣営に来るのは間違いない。」

「よし、決まりだ。正式にこちら側へ引き込むのは後。まず、関係の土台作り。これは光羅謝にやらせる。私達は疑い役だ。いいな?」

「承知しました。」

「おっけー♪」

「ヤな役どころだな。ま、しょうがないかー。」

 全員が首肯したところで(1人渋々の奴がいたが)、リモンドが人差し指を立てた。

「なら提案なのですが、アヨマさんの護衛に彼を同行させては?」

「はあ?」

 突飛な言葉に目を丸めると、リモンドは隣の部屋に目をやりながら、

「彼は魔術なしでも、それなりに腕が立つでしょう。今回の私の収獲ですが、魔術頼りの『フラ・アンブロシオ』には役に立たない。1人くらい、魔術なしで動ける人材が居た方、安心では?」

「…う〜ん…確かに?相棒が起きたら話し合うかな。」

 曖昧に結論づけ、僕は隣室の結を呼びに行く。

 この決定が、未来を大きく変えるとは知らずに。


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