【収獲】ラオメ
「さあて。」
リモンドがニヤニヤしている。良く言えば、ニコニコしている。
「りーくん、伝えたいことって何?」
「収獲があったんですよ。大収獲です。」
「おいおい、そんなハードル上げて平気か?私はもう、お前と服の趣味が合う奴が見つかった、ぐらいじゃねぇと驚けんぞ。」
「そんな何の役にも立たない情報が、上がっりきたハードルを越えるんですか?」
不平を垂れ流し続けそうなリモンドの頭を軽くひっぱたいて止める。
「で?収獲ってなんだったの?」
「<悪魔殺し>に遭ったんです。」
蓮が息を呑む。僕もぎょっとしてリモンドの顔を見返した。
「<悪魔殺し>ってお前…なんで生きてんの。」
途端、彼は上品に口元へ手をやりつつ笑い声を漏らした。
「可笑しいこと言いますね。あなた方の方こそ、初めて<悪魔殺し>に勝った<魔女の使者>ですのに。」
多分被害妄想だけど、馬鹿にされているようにしか聞こえない。僕は顎を突き上げて蓮に目線を流す。
「リモンドこそ、蓮と一緒にいれば平気だろうね。でも今回は1人だったのに、どうやって回避したの?」
一瞬だが、ぎろりと睨まれる。リモンドが蓮に依存気味なのは相棒すら知る事実だが、彼自身は隠す気なのだ。驚いたことに、蓮は気付いていないらしい。
「あなた方と違って、私はまだ悪夢を見ていませんので、蓮が居て助かるかは分かりません。変なこと言わないで下さい。
話を戻すと、今回の一件は『フラ・アンブロシオ』の助言が役に立ちましてね。」
確かに、お酒の席で話し合った記憶がある。
「あぁ、針を"減ら"して武器を壊せって話?」
「いえ、幻覚成分は魔力に乗って脳へ届くのではという仮説です。正直、患部を切ったお陰なのか魔力を止めたお陰なのかは判断できませんが。」
「幻覚成分がって…、」
「切ったって…、」
「りーくん撃たれたの!?え?待ってよ、運良く当たんなくて良かったって話じゃないの?足の怪我ってそのせいだったの!?」
「運良く当たんなかった話なんてしてどうするんですか。つまり私が言いたかったのは、SLAY反応武器が当たっても魔力を抑えて患部を切れば、悪夢を見ずに済む可能性があるということです。」
「…成程。最初は頭イカれやがったと思ったが、確かにその情報は収獲だな。」
女医が顎を撫でる。僕も溜め息を吐いてから首肯した。<悪夢殺し>を喰らったのにそのことを言いすらせず、結をどかしてから漸く収獲が…などと語り出すなんてアホの極みとしか思えないが、…でもこの話が収獲なのも事実。
「本当に大丈夫なの?体、きついとこない?」
ハの字眉の蓮。リモンドは、さっき僕を煽っていた(ように見えた)ときよりも健やかな笑顔を浮かべた。
「大丈夫ですよ。情報共有は済みましたし、結さんを呼んできますね。」
「なぁ。」
女医の呼び掛けに、3人が振り返る。彼女は少し身を乗り出した。




