【とある2人の思い出】?
夏はおじいちゃんとおばあちゃんのおうちに行く。2人のおうちの近くには、小さい公園がある。公園って言っても、ジャングルジムにつたがからんでいて、すなばに木が生えているような、ちゃんと言えば「元公園」だった。だからぼくのほかに人がやって来ることなんてなくて、そこがお気に入りだった。
でも今日はちがった。女の子がしゃがんでいたのだ。ぼくより2、3さい年下だと思う。せなかにたれた、つやつやのかみ。ふわふわのワンピース。とてもきれいで、思わず見とれていた。あんまりじっと見てしまったものだから、女の子がぼくにきづいて、ふりかえる。
はっとした。
女の子の目がまっかで、ほっぺがぬれていたからだった。
「ないてるのぉ?どうして?なにしたの?」
となりにしゃがんで、ぼくはたずねた。女の子はぎゅっとまゆをよせて下を向いている。
「…こわいの。じぶんが、いなくなりそうで、こわいの。」
「いなくなっちゃうの?」
びっくりしてきくと、女の子はかおを上げて、ぼくを見つめた。
「ねえ、なんで生きてるんだろうって、思ったりしない?」
「ふぇ…?」
きょとんとしてしまう。生きているとちゅうで、そんなこと、みんな考えてるの?
「生きることで、あたまぁ、いっぱいだもん。そんなムズかしいこと考えるよゆー、ないよ。」
「そうなの?ねえ、どうやったら生きることであたまいっぱいにできる?」
「う〜ん、なにか目ひょうを作るとかぁ?」
首をひねって言ってみる。女の子はみをのりだした。
「目ひょう?どんなの!?」
「え…うんとぉ、だれにも言っちゃだめだよ?」
女の子がしっかりとうなずく。ぼくはまわりに人がいないのをたしかめてから、ささやいた。
「いつかぁ、ぼくのひみつを知っても、ともだちでいつづけてくれる人を、さがしてるんだ。」
ちょっとはずかしい。女の子のかおをうかがう。引いたらいやだなと思ったけど、女の子は目をキラキラさせていた。
「ねえ!それ、まねっこしていい?」
「きみもさがすの?」
こくこくとうなずく女の子。ほっぺがちょっと赤くなっている。ぼくは笑って言った。
「いいね。この世界のどこかにはぜったい、じぶんとおんなじ目ひょうでがんばってる人がいるってことになるじゃん。」
「うん!いっしょにがんばろ。そうだ!ともだちを見つけたら、ここの木におてがみ、むすんでおくね。」
「ぼくも!ぼくも手紙あげる。」
女の子はいつのまにか泣き止んでいた。ぼくたちは笑いあって、やくそくをした。
おなじ目ひょうをむねに、がんばろうと。
今でも、ふと考えるときがある。彼女は今も元気だろうか?と。




