【朝】ラオメ
「だァーと言うことだってよォー!」
朝から相棒はフルパワーだ。とは言え、叫ぶのは昨夜のせいだった。
飴を買って帰ったら、部屋の中でリモ蓮(蓮とリモンドのことをこう呼ぶ人々は一定数いるが本人達はピンと来ない様子だ)の喧嘩の声が聞こえて、入るに入れなかったらしい。10分程待ってそぉっと入るとすでに決着は着いた後で、予想以上にケロッとした蓮を問い詰めるとケロッとした説明があり、さっさと入れば良かったと舌打ちを披露したところ、それを聞いたリモンドの笑声が風呂場から聞こえ、無性に腹が立ったとのこと。
そして、朝から光羅謝が僕達の部屋を訪れたのは、今からコッツティ王国を出るという知らせのためだった。まあ、リモンドからSLAY-96の話を聞いた時点で予測していた。相棒も同様で、だから彼は急な予定変更ではなく、険悪ムード出しながら早々にケロッとしておいてドア前に10分も待機している自分にお知らせが無かったことに怒っているらしい。
「ま〜羅謝、気配薄いし、居るの分かんないよ。」
「飴買うのにそんな時間かかるかァ?四歳のおつかいじゃァあるまいし。」
「あの、わたしのせいで予定を変えなくちゃならなくなったんですか?」
ハの字眉のアヨマちゃんがおずおずと手を挙げる。羅謝は驚いた顔で手を振った。
「ちげェよ。蓮とリモンドがごたついただけ。それも収まったから心配しなくていィよ。」
「そーそ。蓮のヤンチャにリモンドが待ったをかけるのは、いつものことだよ。」
"ヤンチャ"というフレーズに、アヨマちゃんは首を傾げる。深緑のリュックに銃が入ってるのを確認してから右肩に掛けた羅謝は、僕達に宣言した。
「8時にはホテルを出たい。」
只今の時刻、7時36分。
「もっと早く言って!!」
「ごめェん!!」