1/138
【序章】
フラ・アンブロシオ
それが俺達の店の名前だ。決めたのは相方だが、相方から理由は聞いたので、「これって何の単語?」と聞かれれば「相方が好きなバレエの話の、相方が好きなキャラクターの名前。」と答えられる。もっと説明を求められれば、相手が客の場合、「神父。」「主人公達を助けた。」「俺も結構好き。」と情報を小出しにして満腹感を演出するし、相手が客でない、つまり俺達の稼ぎに関係無い人の場合「自分で調べろ。」と返すだろう。
この店名は俺も気に入っている。一見、血みどろの俺達に聖職者の名前など皮肉的にも思えるが、俺達にそんなつもりは皆無だ。この名にあるのは、純粋な俺達の願いだけ。
フラ・アンブロシオ
バレエ演目の1つ、ナポリに登場する神父。主人公達を受け入れなかった町の人々を、教え諭して受け入れさせた人物。