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絵日記を読む子どもは、倒れて立たなくなった

作者: 一飼 安美

 子どもの頃は、日記の宿題があった。言われてつけるなんてバカらしいと今なら思うけど、書いて出すのがえらいと思って毎日書いていた。楽しいわけじゃない、ほめてもらえると思っていた。二ページ埋めて、中身を覚えていることはない。デタラメだったのかもしれない。でも私には、どうでもいいことだった。


 息子が小学校二年生になって、夏休みの宿題が出るようになった。日記の宿題もリコーダーの練習も、どんどんたまっていく。ちゃんとやりなさい、できなくなるわよ!って自分のことは棚に上げて叱っていた。早めにやったことなんかないのに、計画的に進めなさいと人には言う。特に疑問はなかった。そういうものだと思っていた。


 宿題をちゃんとしているか見てみた。リコーダーも吹けるし、算数ドリルも漢字の書き取りも進んでいた。ちゃんとできるじゃない、毎日するように、って言うと息子は不思議そうだった。怒られると思っていた……というか、怒らせようと思ったらしい。ほんのイタズラ。何してるのよ!って言わせようとして、ふざけたらしい。


「夏祭りは行ってないよ」


 ……絵日記には、行っていないはずの夏祭りの花火のことが書いてあった。日記帳を半分も使って、していない夏休みの毎日を書いた。何してんのよ、こんなのしてないでしょ!……ってちょっとだけ言われると思ったらしい。日記を取り上げて、目を通して、読んでいると思った。でも実際には、一日も本当のことがない日記に、お母さんは納得した。なんで?……私は息子の目を見れず、急いで部屋を出た。

実験作として書いたのに(タイトルの意味が通ってないのはそのため)、今までで一番怖いな。

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