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ガンギマリズム2 竜脈の巫女  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第一章「佐渡流竜理教」
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3.親子の魔法談義

午後9時頃のこと。漆紀は帰宅し、自室で寛いでいた。そんな折、ふとスマートフォンに通知が入る。

「ん?」

SNSメッセージアプリ上で平野小太郎から連絡があったのだ。漆紀はそのメッセージ内容を見てみるが。

『ICCメンバー全員に連絡。拙者が調査したところ、竜蛇嬢が配っているビラに同封されたボールペンには、発信機が仕掛けられておりました』

「はぁ!?」

思わず声が出た。小太郎の額面通りならば、彩那は発信機入りのボールペンを配ろうとしていたのだ。無論、これを受け取り自宅に帰れば住所が特定される。

『そのため住所特定のリスクが高く、これを受け取れば後日皆さんの自宅に竜理教信者が訪問しに来るという算段ですな。恐ろしや恐ろしや』

「……竜理教やば。怖っわ。父さんこんな連中から魔法学んだのか」

『拙者は自宅以外の場所で調査をしたので、住所は割れてませぬのでご心配なく。それはそれとして、この発信機は全て取り外して売り払ってしまおうと思います。そこそこ纏まったお金になりそうなので、今度ICCでオフ会をしませぬか?』

「しれっと売ろうとしてやがるし……」

ここまで小太郎のメッセージを呼んでふと漆紀は思い付く。

(そういや、父さんから竜理教のやばさとか、魔法について深く詳しいことまでは聞いてないな。聞いてみるか)

スマートフォンをポケットに入れると、漆紀は自室を出て階段を降りて1階のリビングに行く。父・宗一はテーブルにノートPCを置いて作業していた。

「あー、父さん。今時間ある?」

「今、計算を纏めててな……よし、いいぞ。ひとまず話を聞こうか、立ってないで座ったらどうだ?」

一度作業を中断すると、漆紀に座るよう促す。

「あのさ、あんまり詳しく聞いてなかったけど竜理教ってどうヤバいの? 父さんは竜理教の人間から魔法を学んだって言ってたけど」

竜理教の名を口にすると、宗一は顔を顰める。だが、息子の興味は竜理教の危険性とその理解にあると考えて、宗一は暗い表情を浮かべたまま答える。

「竜理教か。まあ、知っての通り奴らはカルト宗教だ。竜を信じる。特に、竜王と呼ばれる神の力を持つ者を奉ずる。まあ竜を信じるってだけなら神道にも竜の神様を祀る神社があるし危険はない。だが、奴らは犯罪行為をやってる反社勢力だ」

「その犯罪ってのが、あんまり詳しく知らないからさ。そりゃ有名な事件は聞いてるけど」

「奴らは場合によっては殺人もやるし、有名な事件だと毒物混入事件とか、官僚の別荘襲撃、一部信者による一般人を巻き込んだ集団自殺、ヤバいことばかりだ」

聞くに恐ろしい凶悪犯罪ばかりであるが、竜理教は今日に至るまで日本に存在している。

「でも、竜理教の人間から魔法を教わったんだろ? それって、竜理教の中に魔法使いが居るってコトか?」

「そうだ。幹部、いわゆる司教だのと呼ばれてる奴らは本物の魔法使いだ。末端や普通の信者連中は魔法の存在なんて一切知らない盤上の手駒に過ぎない」

「じゃあ父さんは司教のうちの一人から魔法を教わったの?」

「教わったが竜理教には入信してないし、信者に成りすましてもいない。竜理教から逃げて敵対した司教から教わったんだ。逃亡者って奴だ」

逃亡者。竜理教の危うさを宗一の口から聞き、その上で司教ほどの幹部に関わらず逃亡するなど命が幾つあっても足りない程狙われるではないかと漆紀は戦慄する。

「その逃亡者には本当に世話になった。今もそいつは生きてるだろうが、何歳だろうな……アイツ全然歳取らないからなぁ。今も普通に学生くらいの見た目でやり過してるかもな」

「竜理教のヤバさはわかったし、父さんが魔法を知った経緯もわかったよ。だけど……そもそも、魔法ってどういうものがあるわけ? どんな風に枝分かれしてるか知らないし」

以前、漆紀の魔法は精霊術と呼ばれるものだと宗一の口から語られたが、その他にどういう分類があるか漆紀は全く知らず、ある意味で魔法を知らずに魔法を使っているのだ。

漆紀の興味ある話題が竜理教から離れたからか、宗一はこれに少し喜び少し声が大きくなる。

「わかった。ならまず、最初の魔法について説明しようか。魔法ってのは、言葉通り超常的な現象を起こせる術の事だ。そして、最初に出来た魔法が原始魔法だ」

「原始魔法?」

「触媒を使って……それこそ杖とか石とか、マジックアイテムっぽいモンを使って何もない所から火とか水とか風とか物理現象を起こす。それが原始魔法だ、わかりやすいだろ?」

「ああ。原始魔法か……うん、シンプルだしザ・魔法って感じだ」

「だろう? 精霊術だけでなく、他の魔法のジャンルも全ては原始魔法から枝分かれしたものだ。原始魔法から新たに見い出されたのは、召喚術、降霊術、錬金術、などなど多岐に渡る」

魔法の種類は世界各所で多く枝分かれしている。文化の違い、歴史の違いもあるのか、様々な要因で様々な魔法が存在する。

「精霊術はどこから?」

「精霊術は召喚術から派生した。魔法の種類の中では、精霊術が一番新しいと言えるかもしれないな。なんにせよ、魔法の種類についてはそんなものだ。父さんが知らないだけで、新たに魔法の種類が開拓されているかもしれないしな」

「わかった。じゃあ次は……あれだ、魔法使いの組織集団について聞きたい。どういう連中が居るの?」

以前、宗一は漆紀に魔法を人前で見せないよう伝えた。もし世間にその存在が噂程度でも大きく広がり過ぎたり、ましてや動画など確たる証拠が残ってしまえば魔法使いの集団が身柄を捕らえに来て、最悪殺しに来るというのだ。

「まず未だにひたすら原始魔法の研究と学習をやってる連中がいる。こいつらはあらゆる魔法に寛容だし、そこまで魔法の露呈に厳しくない。自分達に波及などしないからな」

「どういうこと?」

「原始魔法の集団は、現代社会から隔絶された場所に居る。だから、関係ないんだ」

「へー……」

漆紀はあまり合点がいかず首を傾げるが、宗一は説明を続ける。

「厄介なのは、召喚術を扱う集団だ。奴らはかなり魔法の露呈に厳しいし、特に精霊術師を目の敵にしてる連中だ。召喚術師と精霊術師は、かなり仲が悪い」

「はあ。なんで仲が悪いわけ?」

「それは歴史の話になって長くなるから省く。要注意は召喚術師だ」

「わかった。他にヤバい魔法使い集団は?」

続きを求めるも、宗一は再び曇った表情を見せる。

「それなんだが……竜理教がそれに当てはまる」

「まぁーた竜理教かよ」

竜理教の危険性は先程理解したはずだが、魔法使いの集団として見ても竜理教は危険だと言うのだ。

「竜理教の魔法使いは幹部クラスや、その幹部の指示を受けて戦闘行為を行う特別な信者が当てはまるが……極めて危険で高威力な魔法を使う連中だ。手加減が効かない魔法と言っていい。内容はモノによるが、竜理教は魔法使いとしても関わらない方がいい。親しくなれても何の拍子にトチ狂って殺しに来るか分かったものではない」

宗一自身が身を持って経験したのか、竜理教についてはどこまでも厳しく恐るべき存在だと意見を曲げない。

「父さん、竜理教については随分苦しい顔するけど……竜理教の魔法使いと争いにでもなったことがあったの?」

「ああ。あの一発一発強力な魔法ときたら……しかも一人一人、魔法の方向性が違って毎回毎回逃げながら対策法考えて戦わなきゃならなかった。あれはもう二度と相手したくない」

普段宗一が見せない苦汁を舐めるような表情を見て、よほど竜理教の魔法使いが手強く恐ろしい者達なのだと漆紀は想像する。

「あとさ、ウチの高校にも残念ながら竜理教の信者の生徒が居んだけどさ、あいつ佐渡流とか言ってたんだけど、佐渡流って普通の竜理教と何が違うわけ?」

「佐渡流はな、ちょっと違うんだ。本家の竜理教と違って、竜を有難い神様ではなくて、有難い悪魔っていう捉え方をしてる。負のイメージを是として有難いものとしてる。モノは見ようだな」

同じく竜を奉じて有難い存在として崇めるカルトであるのは変わらないが、神か悪魔かという点での捉え方の違いである。

「カルト宗教と言っても、そういう偶像の有り様だけで全く違ってくるし組織も割れる。ロクなもんじゃない」

「へぁー……わかった」

「聞きたい事は聞けたか?」

「ひとまず気になることはあらかた」

漆紀が話を一通り終えて自室に戻ろうと踵を返すが、宗一がこれを呼び止める。

「漆紀、言い忘れてたが週に2回ぐらいは精霊術の練習をやっておけ。練習して強くなっておくに越した事はない。ムラサメと相談して、どういう戦い方が良いかとか、練習しておけ」

「わかった。でも父さん、夜露死苦隊と萩原組が崩壊したんだから、もう俺に戦いの火種はないし、俺がやり返すような理不尽もねーよ」

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