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間章3-1

「少しだけ休憩しよう」

漆紀が近くにある太く大きい樹木の根に彩那を降ろして寄りかかるように座らせる。

「……」

「……」

お互い無言が続いてしまう。無言になったのはお互いに心身が疲労しているからに他ならない。ましてや非日常による極度の緊張状態が続く状況下に置かれ、そこから暗夜の野外に繰り出して逃げ歩いているのだ。

とはいえお互いにただ黙っているのも苦痛であるが、話題が思い付かない。

(ついさっき、竜蛇は自分の親を伯母に殺されたんだ。お喋りなんか、無理だよな……いや、でも……今だから、聞けるコトとかないのか?)

配慮は大事であるが、自身の身の為にも容赦ないアグレッシブなコミュニケーションが必要であると漆紀は自分で自分を説得する。

(俺は竜蛇を助けるって決めた。なら、これ以上竜蛇にカルトだカルトだって皮肉は言わない様にしよう。親が殺されてまだ精神が不安定だ。逆上して殺し合いになったら助けるどころじゃない)

漆紀はそう考えて、ぱっと頭に思い付いた話題を振ってみる。



流血の儀について。

「なあ竜蛇。総本山でお前が俺とやったあの儀式は、一体なんの意味があるんだ?」

早速話題を彩那へと投げてみると、疲弊しているゆえか低く枯れた声で答える。

「あれは……流血の儀……といいます。互いの血を交え……竜王様と竜脈の巫女である私に……魔法的な強い結び付きを得るためのものです。距離があろうと私の竜脈の巫女としての力を竜王様が使えるようになり、私は竜王様による恩恵を得れます」

しかし漆紀は彩那がアーケード街で魔法を暴走させた際に流血の儀を「失敗した」と言った事を忘れていなかった。

「確か失敗した、と言ってたよな。なんで流血の儀が失敗したなんてわかるんだ?」

「流血の儀を行った時、必ず竜王様は竜のお姿になると聞いています。しかし、そうはなっていません……だから、失敗と確信したんです……」

「でも俺はムラサメの力を使ったワケでもないのに首の傷が塞がってるし、竜蛇の首の傷も塞がってる。これはなんだよ」

「これは……私にも、よくわかりません。こんな現象は……古い本にも載っていません。私は、佐渡流に限らず現代語訳された竜理教の様々な文書を頭に叩き込んでますが、こんな事は本当に初めてなんです。一切過去の記録にないのです……」

流血の儀については一通り聞けただろう。

次は何を聞こうかと漆紀は考え込むと、今度はシンプルに自分の興味本位の質問を投げかけることにした。



竜王について。

「竜王様、竜王様ってずっと言ってるけど、竜王ってのは結局どういう存在なんだよ。今までも色々聞いてたけど、実像ってのが全然わかんねぇ」

「竜王様は……我ら佐渡流に限らず、竜理教が奉じる存在です。絶大な力を持っており」

「そこだよ。その絶大な力、何が出来るってんだ。起源とか、そういう歴史とかを、短く教えてくれないか?」

短くと言われると疲れ切った彩那の顔により一層苦悶の表情が浮かぶ。

「そもそも竜理教……というのは、この日本だけでなく韓国、中国、インド、モンゴル……アジアの国々に広がった宗教ですが……世界的な他の宗教に比べれば、歴史は浅いので弱い宗教です」

竜王という存在と関係なさそうな話の始まりに漆紀は首を傾げる。

「で、竜王がどう関わるんだ?」

「このアジア各国の竜理教は八大竜王の力を得た者が信仰対象となり統べています。当然表向きには魔法を使えるコトなどとても言えません」

「絶大な力とやらの説明はどこへ行ったよ」

「大規模な水害を起こしたとか、睨むだけでその者を殺せるとか、身体そのものが怪力無双だとか……また、竜王様は竜の姿になれると聞きます」

「生まれた瞬間からソイツは竜王なのか? 誰かから竜王の力を引き継いだりとかは」

「引き継いだ竜王様も居ます。本家には代替わりした竜王様もおられるようです。中には、一度も代替わりせず、竜理教が出来る前から……何世紀も前から、生きている……そんな竜王様も……」

「完全に人間やめてるな。そりゃ神様扱いされるよな……起源は、わからねえのか?」

彩那が語った竜王の絶大な力の起源。それが全く説明として抜けているため漆紀は再び問い質す。

「起源は……色々説があって、ここでは……とても……」

「明確にコレ! って起源がないのかよ。諸説ありますって感じか……八大ってことは、竜王は全部で八人?」

「そう、です」

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