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29.目的達成、脱出する宗一

総本山東アーケード連絡通路にて。

「世理架、抜け道はないのか!!」

漆紀を助けるべく混乱を起こした辰上宗一だったが、彼は脱出に難儀していた。

総本山の中央庭園の屋根から襲撃を仕掛けたものの、そこからは佐渡流竜理教の信者達と戦う事となり、それを突破した後にもアーケード街を上ってきた信者と鉢合わせ戦闘に至っている。

そして今は物陰に隠れながら銃撃戦に至っており、打開策はないかと世理架に無線連絡を取る。

『総本山の地理まで知ってると思うのかい? そもそもわたしは佐渡流竜理教じゃなくて本家竜理教から逃げた身だ。実際は大して佐渡流竜理教の事情は知らない』

「最後の最後でぶん投げやがって。稲黒もないんだぞ!」

『総本山の建物内の敵は一掃したのだろう? なら建物内でゲリラ戦を仕掛ければ行けるだろう』

「建物が脆すぎる。ちょっとした爆弾の爆発だけで大きく崩れる可能性もある」

『なら……そのまま戦っててくれ。都合の良い打開策などない。持ってる弾で頑張って全部倒すことだね』

「ここで延々とウェスタンやってる場合じゃないんだ! おい、聞いてるのか!」

世理架がここにきてアテにならないとわかると、宗一は舌打ちと共に覚悟を決める。

(漆紀を家に帰すまで死ねるものか。状況を、周囲をよく見ろ)

そう自分に言い聞かせて宗一は考えを巡らす。総本山の建物や連絡通路、それに続くアーケード街の周りは山地であり木々が生い茂る自然が広がっている。

そして何より今の時間は夜である。

リスクもあるが、ここで銃撃戦を続ける方こそリスクが高いと判断した。

(連絡通路を爆破して塞ぎ、窓から野外に出てそのまま逃げるか。夜の野外は危険だが、銃撃戦よりマシだ)

そう判断すると宗一は自作爆弾ではなく、かつて大抗争時代に買ってそのままだった手榴弾を一つ取り出してピンを引き抜いて連絡通路に投げ込む。

(頼むから正常に爆発してくれ!)

連絡通路から離れ、5秒ほどで爆音が響き渡るとともに建築物が崩れる大きな破壊音が遅れて聞こえてくる。

連絡通路の方を見ると、通路は崩壊して通行不能になっていた。

(あとは窓から野外に出るだけだな)

佐渡流竜理教の信者達の追手を塞ぎ、こうして宗一は逃走した。

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