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19.ゲリラ戦、撹乱していく宗一

琴浦集落にて。

「いいか、油断するな。ヤツはこの集落のみんなを殺しやがった! 絶対帰すな!」

「どこだ!」

猟銃を持った佐渡流竜理教の信者6人が琴浦集落の路地に入り込んで行く。他にも実戦部隊の信者はいるため、彼らは違う場所から路地へと入っていくのだ。この包囲網により宗一を見つけ出す算段であったが。

「どこだ、どこへ行った!」

「おい、行き急ぐな! 待ち伏せされてるかもしれない!」

若い熱心な信者がエアライフルを構えたままグイグイと先へ進んで行くが、路地が二手に分かれる地点へと出た途端に大きな破壊音が響くと同時に彼の胴体を何かが貫いた。

「あああぁぁああああッ!」

「な、なんだ今の!?」

銃撃であった。若い信者は腹を撃ち抜かれて大穴が空き、たった一発の銃弾で虫の息である。

「この先は危険だ! 一度下がれ!」

若い信者が倒れたことで、一番先頭になった信者の一人が後ろの仲間達に振り返ってそう叫ぶが。

「危ない!」

後列の一人が若い信者が倒れた方を指差し、先頭の信者が「えっ?」と虚を突かれた様子で反応し前を向く。

二手に分かれる地点の曲がり角側から空き缶が転がってきた。その缶を見ると、先頭の信者は顔を真っ青にして大声で仲間達に告げる。

「逃げろ! 爆だ」

全て言い終える前に一気に空き缶は突如爆発し、爆発は路地に居た信者達を巻き込んだ。

(まず6人)

爆発に当たらぬよう曲がり角の先へ隠れた宗一がそう数えると、すぐさま別の場所へと宗一は走った。

(空き缶が路地に転がってるならいくらでも戦える。爆薬は持って来てるんだ。爆風・爆炎で殺さなくても、釘や刃物を混ぜて爆破すれば破片手榴弾代わりになるんだ。これなら切り抜けられる)

宗一は予め持っていた爆薬を少量空き缶に入れ、更にそこに釘や玉を入れて手製の破片手榴弾を作った。

(今の爆発で敵が寄って来る。角で待って、猟銃で牽制。それから不意を突き爆弾を投げ込んだり、曲がり角に張ったワイヤートラップで爆破……)

容赦のなさと思い切りの良さこそは宗一が大抗争時代に培った戦闘技術の一つだ。

そうしてライフル銃を真っ直ぐ構えたまま路地を走っていると、路地の交差点で曲がり角から信者が飛び出てきてこちらを見て気付くが、

「い、いた」

「黙れ」

そう静かに言うと同時に宗一が引き金を引いて信者の胴を狙い撃つと、胸部と肩の繋がる部分を貫き大穴を空けた。

「ああぁぁあああああっ!!」

「黙れ」

倒れた信者に近付くと追い打ちとばかりに頭に銃口を宛がい発砲し、信者の頭部の上半分を吹き飛ばして殺した。

「向こうで銃声だ!」

「そこかぁ!」

銃声を聞きつけた信者達が怒号を上げながらこちらへと路地を進み始める。

肉と血が宗一の足元に飛び散ったが、それらを振り払ってそそくさと先へ進む。

(このまま直接の戦闘は最小限にして進めばいい)

琴浦集落の路地の北西側へと進んで行くと曲がり角に差し掛かる。角に張り付き覗き込むと、入り組んだ路地の出口が見えた。

(地図通りだ。北西側は田畑が広がる地域に出る。遮蔽物が無いのが難点だが、路地を捜索する奴らが気付く前に走り抜ければ問題ない。高台に陣取る狙撃手からは角度的に狙えない)

しかし問題があった。

「もっと目を凝らせ! 路地にヤツが居る限り、ここから抜けて来る。これは実戦だ」

「はい!」

「4年前の襲撃を忘れるな。今回も本家の連中が絡んでいる」

中年ほどの信者の一人が若い信者の男にそう説きつつ見張りをしていた。

(他の敵は……まあいい、速やかに殺して出るか。声の大きさから距離は大体十メートル強ってとこか)

『うわぁアア!!』

五十メートルほど離れた路地の方から爆発音と共に複数人の悲鳴が聞こえてきた。

(ワイヤートラップが効いたか。爆弾設置の腕は鈍ってないなぁ)

自身の調子を確認するなり宗一は狩猟用拳銃を懐から取り出す。既に銃口には消音器が取付られており、音によって位置を感付かれる心配はない。

ならばなぜ先程まで消音器付きの拳銃を使わずライフル銃で敵を殺して進んだかというと、路地側に敵を集中させて退路を手薄にしたいという意図があった。

(さてさて、拳銃の腕が鈍ってないと良いが……行くぞ!)

覚悟を決めると、宗一は狩猟用拳銃を手に曲がり角から身を出して退路を塞ぐ信者へと発砲した。


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