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プロローグ

むかしむかし、上杉のお殿様の時代のこと。佐渡の島では砂金が多く採れる事から金銀財宝があると言われたのです。その後、山師の味方一族が金脈を発見し、金銀財宝の採掘が始まったのです。この富を求めて、元々佐渡の島に居た罪人から各地の農民まで、様々な人々が島へ働きにきました。

ところが島での採掘は過酷を極め、多くの鉱夫が命を落としました。様々な人々が入り乱れる佐渡の島は混沌とし、働けど働けど働き手は裕福にはなれず、人々は救いを求めておりました。

そこで、救いが起こりました。竜蛇という竜理教を信じる一族が佐渡の島にある竜脈を見つけたのです。この竜蛇一族が開祖となり、本家竜理教とは別の佐渡流竜理教が興ったのです。佐渡の人々は佐渡流竜理教を心の支えとし、鉱脈を管理する侍達とも交渉ができるようになるほど力を付けました。

そうして佐渡の人達は佐渡の島を自分達の手で取り戻し、佐渡流竜理教を柱として発展していきました。

しかし、問題がありました。佐渡には本家竜理教とは違い、奉るに値する強い力を持った竜王様が居なかったのです。

竜王様をいずれ迎えることが全信者にとっての使命となりました。

竜脈はあくまで椅子。その椅子に座る竜王様を、いつか迎えるまで。

___________________


「これより流血の儀を行う」

そう言い放ったのは、胸部に竜の十字が縫われている修道服を着た少女だ。少女は非常に容姿端麗で、豊満な胸部は竜の十字をより一層強調している。

どうしてこうなった、と辰上漆紀たつがみ ななきはひたすら自問自答しつつ目の前の少女を見る。漆紀は見たこともない未知の場所で両腕を縄で拘束され両膝を地に着けていた。

既に空は真っ黒で夜だとわかるし、漆紀と少女の真横には大きな樹木があるため屋外なのは確かだ。

自分が一体どこに連れて来られたのかわからず、漆紀はとにかく周囲を見渡す。周囲には松明を持ったカルト信者が老若男女数十人いる。みな血走った眼をしており、口が裂けるのではと思う程大きく笑みを浮かべて歓声を上げていた。

「ついにこの日が来た……!」

「奉るべき竜王……証明の刻!」

信者達の歓声をよそに、少女は腰に差した日本刀をゆっくりと引き抜く。漆紀は今までで一番の危機を感じていた。この場に味方は誰一人おらず、現在地もわからないのだ。

ムラサメを呼ぼうにも鉄塊の首飾りを奪われており、呼ぶことが出来なかった。

目の前の少女は漆紀より10cm低い位置までしゃがむ。少女は漆紀と息が当たるほど顔を近づける。刀の切っ先側を漆紀に向けて、柄側が自分に向くように構える。その構えのまま刃をお互いの首筋に宛がい、漆紀は少女の両腕に囲われる状態になる。

「やめろ、竜蛇たつへび! なんでこんな事をする!? 俺を殺す気なのかお前!」

漆紀は必死にそう訴えるしかなかった。

「逃げないでくださいね、私達の……私の竜王様」

漆紀が竜蛇と呼んだ少女は首筋に宛がった刀を自分の方へと一気に引くと同時に、少女は喜怒哀楽入り混じった並々ならぬ感情を込めて漆紀に口づけをした。

今作からでも充分読めますが、前作「ガンギマリズム」では主人公・漆紀が魔法を使えるようになる経緯と戦いを描いているのでそちらも読んだ方が積み重ねがあって楽しめると思います。

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