表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/82

第58話:自由になったのは嬉しいのですが…

早速翌日、メアリーに公爵様とレオナルド様のお陰で、少しだけ自由になった事を伝えた。


「まあ、それは良かったわ。さすがレオナルド様ね。レオナルド様は聡明で優しくて、本当に素敵な殿方だわ。そんなレオナルド様と婚約しているオリビアが、羨ましいわ。私は、そういった殿方が周りにいないので…」


「レオナルド様は私が10歳の頃から、ずっと私に寄り添い傍にいてくれたの。本当にレオナルド様には感謝しかないし、何よりもう私にとって、レオナルド様がすべてと言っても過言ではない程大切な人よ」


「そうなのね、オリビアとレオナルド様の絆はとても深いのね」


そう言って笑ったメアリー。


「君たち、一体何の話をしているのだい?」


レオナルド様が私たちの元にやって来た。


「オリビアが、レオナルド様の事が本当に大好きという話をしていましたのよ」


「ちょっと、メアリー。恥ずかしいから止めて頂戴!」


「あら、本当の事じゃない」


「そんなにオリビアは、僕の事が好きなのかい?それは嬉しいな」


レオナルド様が嬉しそうに私を抱きしめた。本当にメアリーったら!


「そうそう、来週末なのだが、宿泊研修について、また生徒会で話し合わないといけないのだが。せっかくだから、人気のレストランで、食事をしながら話し合うのはどうだい?陛下にも許可を取ったし」


「まあ、本当?それは嬉しいわ。ぜひそうしましょうよ。メアリーもいいわよね」


「ええ、もちろんよ」


「それじゃあ、僕からクリスにも話をしておくよ」


レオナルド様がすぐにクリス様の元に向かった。まさかこんなにすぐ街にいけるなんて。早く来週にならないかしら?


そして街に出る当日。

レオナルド様と一緒に、馬車に乗り込み街を目指す。


「レオナルド様、今日の件、本当にありがとうございました。私、今日が楽しみすぎて昨日の夜興奮して眠れなかったわ」


「そんなに喜んで貰えると嬉しいな。ただ、陛下はかなり渋っていたね。あれほど父上に言われていたのに…本当に往生際が悪い男だな…」


レオナルド様が苦笑いしている。今朝も“本当に街に行くのか?”と、何度も言われた。お父様の過保護っぷりも、まだまだ収まりそうにない。


「そういえば、初めて街に行ったのは、あの王太子も一緒の時だったね…思い出しただけで、胸糞が悪い…」


「そうだったわね。でも、あの人のお陰で、レオナルド様と婚約が出来たので、悪い事ばかりではなかったわ」


「そうだね…でもあの男は許せないけれど…オリビア、いいかい、どんなことがあっても、絶対に僕から離れてはいけないよ!いいね!」


真っすぐ私を見つめ、そう言ったレオナルド様。その瞳は、たまに見せるお父様の危険な瞳とよく似ている。


「どうして私がレオナルド様から離れるという話になるの?そんな事、絶対にないわ!」


本当にレオナルド様は、心配性なのだから。


「それならいいよ。でももし僕の傍から離れていったら、その時は…」


「その時は?」


なんだか意味深な表情を浮かべ、ほほ笑んでいるレオナルド様を見たら、つい聞き返してしまった。でも、そのタイミングで、馬車が停まった。


「目的地に着いたようだね。さあ、行こうか」


レオナルド様にエスコートされ、ホテルの中に入って行く。そして一番奥の広い部屋へと通された。そこには既にメアリーとクリス様が待っていた。


まずは4人で食事を楽しむ。


「このお肉、ホロホロで美味しいわ。かなり長い時間煮込んであるのね。口の中で溶けてしまうわ」


メアリーがお肉を食べながら、目を丸くしている。


「そんなに好きなら、私のもあげるわ。メアリー、こっちの魚のカルパッチョも美味しいわよ。あら、このグラタンも」


つい話に花を咲かせてしまう。いつも一緒に昼食を食べているが、こうやって学院以外の場所で食べるのは初めてだ。興奮するなという方が無理である。


美味しくデザートまで食べた後、早速今日の本題、宿泊研修について話し合いが行われた。


「行く場所はいつもと同じ、国の南にある街だ。今回もリゾート地でゆっくりした後、夜にダンスパーティーをすると言う流れでいいだろうか?」


レオナルド様が流れを説明する。


「あの街は、確か海が近くにあり、サンゴや真珠を使った加工工場があったはずです。それに、海の幸も豊富に捕れますし。真珠やサンゴを使ったアクセサリー作りの体験なども出来ると聞きましたわ。せっかく行くのでしたら、そういった体験も出来る様に、手配してはいかがでしょうか?」


すかさずメアリーが提案した。


「それはいいアイデアだね。確かにただ何もせずに、ホテルで話をしたりしているなら、そういった体験をするのも悪くないだろう。希望者を募って、いくつかのツアーを組めば、皆も喜ぶかもしれない」


レオナルド様も頷く。私も何か言わないと。


「私もその案…」


「それでしたら、真珠やサンゴなどの加工工場&アクセサリー作り体験のツアーと、船に乗って魚を取るツアー、魚の加工を体験するツアーなどはいかがでしょうか?もちろん、興味のない方々は、いつも通りホテルでのんびり過ごしていただけばいいですし」


「そうだね、そうしよう。それじゃあ、まずは先生に相談しながら話をすすめよう。メアリー嬢は、色々とアイデアを持っているのだね。凄いよ」


「私はただ、一生に一度の大切な学院のイベントなので、せっかくなら楽しみたいと思っただけですわ。すぐに話しを合わせて下さるレオナルド様の方が凄いです」


少し頬を赤らめ、恥ずかしそうにメアリーが呟く。レオナルド様も優しい眼差しで、メアリーを見つめていた。


その姿を見た時、どうしようもなく悲しい気持ちになった。胸を鋭いナイフで刺されたような、そんな痛みも走る。


大好きな2人が仲良くしてくれることを望んでいたのに…

何だろう、この気持ちは…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ