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世間知らずの王女は公爵令息様から逃げる事は出来ません  作者: Karamimi
本編

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第49話:助けて下さい

しばらく走ると、荷物を運ぶような馬車が待機していた。今度はこの馬車の荷台に乗せられる。そして、そのまま向かった先は、なんと王宮だ!一体どういう事なの?まさかこのまま宮殿に返してくれるの?そう思ったのだが…


なぜか向かった先は、王宮の裏側にある、飛行船が待機している場所だ。馬車から降ろされると、そのまま飛行船の一室に押し込められた。


「どうして私を飛行船に乗せるの?あなた達はいったい何者なの?グレース殿下に頼まれたの?」


訳が分からず、涙を流して必死に訴えた。


「オリビア殿下、手荒な真似をして申し訳ございません。オリビア殿下が大人しくしてくださっていれば、私たちもこれ以上手荒な真似をいたしませんから」


「あなた達、エレフセリア王国の人間ね。私をこのまま飛行船に乗せて、エレフセリア王国に連れて帰るつもりなの?でも、そんな事をしたら国際問題に発展するわよ」


他国の王女を無理やり自国に連れてくるなんて、さすがにまずいだろう。それに何より、そんな事お父様が許さないはず!


「私どもからは何にも申し上げる事は出来ません。しばらくしたら殿下が様子を見にいらっしゃるでしょうから、その時に殿下にお聞きください。それからオリビア殿下、念のため、足を鎖で繋げさせていただきますね。万が一バレたらいけませんので」


そう言うと、私の足と近くにあった柱を鎖で結び、部屋から出て行った。ガチャリと鍵の音も聞こえる。


どうしよう…このままだと、エレフセリア王国に連れていかれるわ。何とか逃げなきゃ。でも…この部屋、窓がない。それに、唯一の扉は鍵が掛けられた様だし。何より、鎖でつながれているから、あまり移動できない。


動ける範囲で部屋の中を見回る。移動できる範囲にはトイレがあるくらいで、後は何もない。どうしよう…このままいけば、本当にエレフセリア王国に連れていかれてしまう。


それにきっと、皆私が男たちに誘拐されたと思っているわ。まさか王宮の飛行船の中にいるなんて思っていないわよね。


窓もないから、今何時頃なのかもわからない。レオナルド様、きっと心配しているわ。もしかしたら、自分があの場を離れたせいで、私がいなくなったと自分を責めているかもしれない。


レオナルド様の事を考えたら、急に涙が溢れ出てきた。せめてもう一度だけ、レオナルド様に会いたいわ。


溢れる涙を抑えきれずに、声をあげて泣いた。どれくらい泣いただろう、外が騒がしくなってきた。


するとガチャリとドアが開いた。そこに立っていたのは、グレース殿下だ。


「グレース殿下、どうして私を閉じ込めるのですか?どうかここから出してください。レオナルド様の元に返して!」


「泣いていたのかい?泣いた顔もまた美しいな。君はこのまま飛行船に乗って、エレフセリア王国に行くんだよ。そして、俺と一緒に暮らすんだ」


「そんな事、きっとお父様が許しませんわ。それにこんな事がバレたら、国際問題に発展するはずです」


「そうだね…バレたらね。でも、大丈夫だ。エレフセリア王国に着いたら、君には離宮に住んでもらうよ。そう、公の場には出さないから、この国の国王にバレる事もない。それに君は、この国で悪党に誘拐された事になっているのだからね。今血眼になって、皆が君の行方を捜しているよ。ごめんね、俺もあまり話をしている時間はないんだ」


そう言って部屋から出ようとするグレース殿下。


「お待ちください。レオナルド様は…どうされていますか?」


「彼かい?随分と責任を感じている様で、自ら指揮をとっているよ。君の父親も、必死で君を探している。まさか王宮の近くにいるとは知らずにね」


そんな…


「オリビア殿下は、ずっと王宮で暮らしていたのだろう?それなら、エレフセリア王国でも不自由なく暮らせるよ。公の場には出してあげられないけれど、欲しいものは何でも買ってあげるし、街くらいなら連れて行ってあげる。とにかく、明日までここで大人しくていてね」


今度こそ出て行こうとするグレース殿下。


「お待ちください。どうか私をここから出してください!お願いです、レオナルド様とお父様の元に返して。お願いします…」


ポロポロと涙を流し、必死にグレース殿下に訴える。


「悪いが君を返すつもりはない。俺は欲しいものはどんな手を使ってでも、手に入れるタイプでね。そもそも君の父親が、素直に俺に君を差し出しておけば、こんな事にはならなかったんだ。恨むなら父親を恨むんだね。それじゃあ、俺も長く席を外せないんだ。また後で来るから。おい、オリビア殿下を俺から引き離せ」


グレース殿下の指示で、近くにいた騎士たちが私を無理やり引き離した。


「お願いします。どうかここから出してください!」


必死に叫んだ。でも私の叫び声は空しく、そのままドアは閉められてしまったのだった。

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