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第44話:視察に同行する事になりました

シャルルのお披露目も無事終わった翌日。


「オリビア、それで昨日の式典は大丈夫だった?」


「ええ、ずっとレオナルド様が傍にいてくれたから、特に問題なく終われたわ」


私を心配して飛んできてくれたのは、メアリーだ。


「そう、さすがレオナルド様ね。無事に終わってよかったわ。あなたが何か失敗しないか、すごく心配していたのよ」


「ありがとう、特に大丈夫だったわ。そういえば、エレフセリア王国の王太子殿下に話しかけられたわ。お母様の捜索に、随分と協力してくれたみたい。途中でレオナルド様が来たら、私から正式にお礼を言えなかったのよね。もしまた会う機会があったら、お礼を言っておかないと」


エレフセリア王国の王族の方々が協力してくれたから、きっと私はお父様の元に戻れたのよね。それなのに昨日は、少しぶしつけな態度を取ってしまった。


「オリビアがあえてお礼を言う必要は無いよ。そもそも協力してくれたのは、エレフセリア王国の国王夫妻だ。王太子は何もしていない。それに、あの王太子、我が儘で自己中心的と、評判も悪い。いいかい、オリビア。他国の王族たちが帰るまでは、本宮から出てはいけないよ。もちろん、丘に行くのも禁止だ!わかったね」


すかさずレオナルド様が話に入ってくる。


「もう、レオナルド様は心配性なのだから」


ただ、他国の王族にばったり出くわすとどうしていいか分からないし、レオナルド様の言う通り、やっぱり本宮に留まっておいた方がよさそうね。とにかく、王族の方たちが帰国するまで、大人しくしていよう。そう思ったのだが…


「オリビア、悪いのだがエレフセリア王国の王太子殿下が、帰国する前にぜひお前に街を案内して欲しいとおっしゃっていてね…オリビアは街に出た事がないから案内は出来ない!と伝えたのだが、どうしてもの一点張りで…エレフセリア王国にはシャリー捜索の事で色々とお世話になっているから、断りずらくてね。レオナルドも行かせるから、一緒に行ってやってくれないかい?」


王宮に戻ると、お父様がそんな事を言いだしたのだ。


「街に…街に行ってもいいのですか?お父様、それは本当ですか!」


馬車では何度か通っているが、まだ一度も街を歩いたことがない私にとって、街にいけるという事は、幸せ以外の何物でもない。


「陛下、どうしてエレフセリア王国の王太子殿下を、オリビアが案内させないといけないのですか?断ればいいでしょう」


「それはそうなのだが…どうしてもと泣きつかれてしまって…それに、シャリーの時の恩も返していないし!さすがにこのまま借りを作ったままでは、嫌なんだ。それにレオナルドも一緒なのだから、問題ないだろう」


「…わかりました」


不満そうなレオナルド様だが、どうやら了承してくれた様だ。


「レオナルド様、どんな理由であれ、街に出られるのよ。楽しみね。私、行きたいお店がいくつかあるの。あぁ、やっと街に出られるのね。幸せだわ…」


「オリビア、遊びで行く訳ではないんだよ。今回は視察だ。いいかい?また後日街には僕が連れて行ってあげるから、今回は大人しく僕にくっ付ているんだよ。わかったね」


「おい、勝手に街に連れ出す約束をするな!今回は公務で仕方なくオリビアを街に出すのだから」


すかさずお父様がレオナルド様に反論している。


「エレフセリア王国に断りすら入れられない人が、何を言っているのですか!本当に!」


レオナルド様が、はぁ~とため息を付きながら反論する。


「レオナルド…お前の口が達者な所、レックスにそっくりだな…そんなところは似なくてもいいのに。そもそも私は国王だぞ!国王に文句を言うなんて…」


「国王だろうが何だろうが、言わせてもらう事は言わせてもらいます。そもそも、誰のお陰でシャリー王妃が見つかったと思っているのですか?父上が他国を駆けずり回ったからでしょう?そのせいで、僕も寂しい思いをしたのですから!」


「そんな事はわかっている。クソ…本当にレックスにそっくりになってきたな…とにかく、今回の件、よろしく頼む」


「分かっていますよ」


どうやら話しはまとまった様だ。


「それじゃあ、急で悪いのだが、明後日にはエレフセリア王国に帰国するそうだから、明日街を案内してやってくれるかい?」


「分かりました…貴族学院を休んで案内しろという事ですね。本当に急なのだから…」


確かに急ね。あぁ、こんな事ならメアリーに、街で人気のお店をもっと詳しく聞いておけばよかったわ。


エレフセリア王国の王太子殿下が一緒というのは緊張するけれど、レオナルド様もいてくれるし、なんとかなるだろう。

次回、レオナルド視点です。

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