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第43話:運命の相手を見つけた~グレース視点~

「グレース、嬉しそうな顔をしてどうしたんだい?」


ペリオリズモス王国の王太子殿下のお披露目兼夜会を終え、離宮へと戻ってきたタイミングで、父上が声を掛けてきた。


「いえ、別に何でもありません。それよりも、ペリオリズモス王国の王女は、美しい女性でしたね」


「そうだな。王妃殿下もかなり美しい女性だが、王女殿下はさらに輪をかけて美しい。ペリオリズモス王国の国王が王宮に閉じ込めておきたくなる気持ちもわかるよ。お前、さてはペリオリズモス王国のオリビア殿下が気に入ったのだろう?」


さすが父上、俺が考えている事が分かる様だ。


「ええ、とても美しい女性でしたね。でも、彼女の隣にはミシュラーノ公爵令息がいました。どうやら彼も、オリビア殿下に好意を抱いている様でしたよ」


「ミシュラーノ公爵か。何度も我が国に足を運んでくれた人物だね。陛下からの支持も絶大だと聞いている。もしかしたら、オリビア殿下はミシュラーノ公爵家に嫁ぐかもしれないな」


「そうですね…でも、俺は彼女が欲しいです…父上、なんとか彼女を俺のお嫁さんにして頂けないでしょうか?」


「そうだな…できたら叶えてやりたいが…まあ、一度ペリオリズモス王国の国王に話しをしているよ。ペリオリズモス王国の国王には、王妃殿下捜索の件で貸しもあるしな」


「よろしくお願いします、父上」


中々子宝に恵まれなかった父上は、やっと生まれた俺をそれはそれは溺愛している。だから、俺のいう事は何でも叶えてくれる。きっと今回も、なんとかしてくれるだろう。


それにしても、美しい女性だったな…


正直俺は、美しい女性は見慣れている。国中から俺の為に、選りすぐりの美女を準備してくれた父上。俺は毎晩、その美女たちに囲まれ、それなりの生活を送っている。


でも…

美しい銀髪、宝石の様な瞳、整った顔立ち、堂々と立つその姿、今日初めてオリビア殿下を見た時、雷に打たれる様な衝撃に包まれたのだ。


この子が欲しい!どんな手を使っても!早速夜会の時に近づこうとしたのだが、オリビア殿下の横には、ずっと金色の髪をした男がいた。周りを警戒しつつ、オリビア殿下に寄り添っている。


もしかして護衛か?そう思ったが、どうやらペリオリズモス王国の貴族の様で、他の国の王女たちに話しかけられても、一向になびかず、ただオリビア殿下だけを見ていた。


ただオリビア殿下はかなり美しい。他の王子たちも、彼女に近づこうと必死だった。でも、あの男が上手くかわし、一切王子たちを寄せ付けていないのだ。


クソ、なんとかして彼女に近づきたい!


そんな中、あの男がオリビア殿下から離れた。その瞬間に、俺はオリビア殿下に近づき、話しをした。近くで見るとその美しさは神がかっていた。


少しでも仲良くなりたくて、彼女がかつて住んでいた俺の国でもある、エレフセリア王国の話しを持ち出したが、あまりいい返事をしてくれなかった。


どうやら緊張している様だ。そういえばペリオリズモス王国の国王が、娘可愛さにほとんど王宮の外に出していないと言っていたな。だからきっと、初めての機会に戸惑っているのだろう。


そんな姿もまた美しい。もっと…もっと話がしたい。そう思っていたのだが、あの男に邪魔されてしまった。


オリビア殿下を背にかばい、俺には紳士的な態度をとる男。でも、瞳からはかなりの怒りを感じた。その瞬間、この男がオリビア殿下に好意を抱いていると悟った。


俺に挨拶するとさっさとオリビア殿下を連れていくあの男。でも、まだあの男と正式に婚約を結んでいる様ではないみたいだ。


そもそも、お互いがいくら好きあっていたとしても、王女は所詮政治の道具に過ぎない。自国の公爵家に嫁がせるよりも、他国の王太子に嫁がせた方が、国としてはずっと有益だ。


それにまだ正式に婚約をしていないという事は、もしかしたら国王はミシュラーノ公爵家に娘をやるつもりはないのかもしれない。


かなりやり手の国王と聞くし、きっと国益の事を考えて娘の嫁ぎ先を考えているのだろう。


そうだ、そうに違いない。


ただ、俺もさすがに嫌がる王女様を無理やり自分の妻にする程、悪趣味ではない。しばらくこの国にとどまり、オリビア殿下と仲良くなろう。それと並行して、父上からオリビア殿下を俺の正妻にしてもらう様頼めば問題ないな。


あぁ、それにしても運命の出会いってあるんだな…


婚約を結んだ暁には、そのままオリビア殿下を国に連れて帰ろう。この国には、ミシュラーノ公爵令息もいるし、恋敵がいる国に何て置いておけないからね。


よし、明日早速、父上に俺の計画を伝えないと!

次回、オリビア視点です。

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