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世間知らずの王女は公爵令息様から逃げる事は出来ません  作者: Karamimi
本編

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28/82

第28話:貴族学院というところに行くそうです

ペリオリズモス王国に来て早5年。私も14歳になった。相変わらずお父様は王宮から出してはくれないが、それでもレオナルド様やシャルルと一緒に、楽しい日々を送っている。最初はレオナルド様が王宮に来ると嫌そうな顔をしていたお父様だったが、最近はもう何も言わなくなった。


シャルルもなぜか、私よりもレオナルド様に懐いているのだ。私がお姉様なのに!そう思いつつも、嬉しそうにレオナルド様にくっ付いているシャルルを見ると、つい私も笑みが漏れてしまう。


シャルルが生まれた事で、お父様も随分と気持ちが落ち着いた様で、王妃でもあるお母様は精力的に公務に出ている。とはいっても、お父様と一緒の公務以外は、まだ出る事を許されていないようだが…


「お母様はいいですわね。先週はエレフセリア王国に行ったのでしょう。皆は元気でしたか?」


今は家族4人で夕食を食べているのだが、ついお母様に愚痴をこぼしてしまった。私ももう14歳、そろそろ王宮の外に出して欲しい、そんな思いを込めて伝えた。


「エレフセリア王国の王族に会っただけだから、村には行っていないわ。それに、王宮からほとんど出なかったのよ」


「まあ、そうなのですね。それでも外に出られるだけでも、羨ましいですわ。お父様、いい加減私を外に出してください!もう5年も王宮から出ていないのですよ」


すかさずお父様に詰め寄った。


「王宮の外には悪い奴も多いんだぞ。万が一オリビアが誘拐されたらどうするんだ。ただでさえ、もうすぐ貴族学院に入学しないといけないのに…」


「貴族学院?なんですか?それは?」


聞き覚えのない言葉が、お父様の口から飛び出した。


「まだオリビアには話していなかったわね。この国では、14歳から16歳までの2年間、貴族や王族は貴族学院に通い、勉強をする事になっているの。だからあなたも、再来月から貴族学院に通う予定になっているのよ」


「まあ、そうなのですか?そんな素敵な学院があるのですね!」


「何が素敵な学院だ!いいかい、オリビア、貴族学院には悪意を持った者もいるんだ。十分気を付ける事。わかったね。あぁ、やっぱり心配だ。何とか貴族学院を免除出来ないものだろうか…そうだ、オリビアは重い病気にかかっていて、療養のため通えないという事にしよう。早速学院側に申請を…」


「あなた、いい加減にしてください!貴族学院は貴族や王族の義務ですよ。王族自ら通わないなんて、そんな我が儘は許されないのです。オリビア、心配しなくても大丈夫よ。あなたは人懐っこいし、レオナルド様もいるから。きっとたくさんお友達が出来るわ」


「沢山友達なんて出来なくてもいい!いいか、オリビア、貴族の中には悪意を持って接してくる人間もいる。極力近づかないようにしなさい、いいね」


「もう、あなたったら!とにかくオリビアには、今まで不自由な思いをさせた分、学院を楽しんで欲しいと思っているの」


珍しくお父様とお母様が言い争いをしている。どうやら私は、2ヶ月後には貴族学院というところに入学するそうだ。なんだかワクワクしてきた。


早速明日にでも、レオナルド様に話さなくっちゃ!



翌日、レオナルド様に貴族学院の話をした。


「やっと陛下はオリビアに貴族学院の話をしたのか。陛下め、あれほどオリビアを縛り付けていたのに、いざという時に役に立たなのだから…オリビアは王宮にずっといた方が、悪い虫も付かないし安全だと思ったのに…」


何やら訳の分からない事をブツブツ呟いているレオナルド様。


「一体何を言っているの?とにかく私、2ヶ月後には貴族学院というところに行くのよ。やっと王宮の外に出られるの。ねえ、貴族学院って、同じ年頃の令嬢や令息が沢山いるのでしょう?楽しみだわ。私、たくさんお友達を作るつもりよ。お父様は、悪意を持った人間もいるから、むやみに近づいてはいけないと言っていたけれど。お母様は貴族学院はとても安全なところと言っていたから、きっと大丈夫よね」


レオナルド様も同意してくれると思ったのだが…


「いいや、陛下の言う通りだよ。貴族学院は、貴族たちの思惑や野望が渦巻く危険な場所だ。オリビア、いいかい。なるべく僕の傍にいるようにするんだよ。僕も極力、傍にいるようにするから。クラス分けは爵位に応じて決まるから、きっと僕と君は同じクラスだとは思うけれど、油断は出来ないな。色々と作戦は考えてあるが、やっぱり心配だ…」


「もう、レオナルド様ったら。そんなに心配しなくても大丈夫よ。私、人懐っこい性格だし」


「だから心配なんだ!いいかい、絶対に僕以外の人間の手を握ったり、頬に口づけをしたり、抱き付いたりしたらダメだからね。いいね、分かったね!」


「分かっているわよ…でも、女の子なら…」


「女の子でもダメだ!いいかい?君は王女なんだよ。もう少し人との距離感を勉強するべきだ。そうだ、これから2ヶ月、君が失敗しない様に、僕が貴族学院のマナーを徹底的に教えてあげる」


なぜか鼻息荒く詰め寄ってくるレオナルド様。


「マナーなら大丈夫よ。家庭教師からもお墨付きをもらっているし。ちゃんと王女を出来るわ」


「いいや、君は信用できない!とにかく、君が間違った方向に進まない様に、今日からしっかり教えてあげるからね」


よくわからないが、レオナルド様が色々と教えてくれる様だ。なんだか少し嫌な予感がするが、あまりのレオナルド様の迫力に、嫌だなんて言えない。


結局この日から、レオナルド様の訳の分からないレッスンを2ヶ月間、受ける事になったのだった。

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