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第14話:レオナルド様は素敵な人です

翌日、昼食を食べ終わると、急いで丘へと向かった。レオナルド様、ちゃんと来てくれるかしら?不安な気持ちを抱きつつも、木の下に座って待つ。すると、向こうからゆっくり歩いてくるレオナルド様の姿が。


「レオナルド様!」


来てくれたことが嬉しくて、ついレオナルド様に抱き着いた。


「おい、急に抱き着かないでくれ」


なぜか真っ赤な顔をして文句を言うレオナルド様。しまった、ついお父様と同じノリで抱き着いてしまったわ。気を付けないと。


「ごめんなさい。今日来てくれるか、心配だったの。でも、来てくれてよかったわ。今日は何をして遊ぶ?そうだわ、レオナルド様の事を教えて。お友達の事をまず知る事が大切でしょう」


「僕の事か…僕は特に何の面白みもない男だよ。それよりも、これ。メイドに頼んで、街で人気のスイーツを買って来たんだ。女性は甘いものが好きと聞いたから…」


「まあ、わざわざ私の為に買ってきてくれたの?嬉しいわ。早速頂くわ。レオナルド様も一緒に食べましょう」


木の下に腰を下ろし、スイーツを取り出した。


「え…ここで食べるのかい?」


「ええ、もちろんよ。さあ、早くレオナルド様も座って」


しぶしぶレオナルド様が、私の隣に座った。箱からスイーツを取り出し、レオナルド様に渡した。どうやらシュークリームの様だ。


早速1口。


「シューがパリパリしていて、とても美味しいわ。それに中のクリームが濃厚ね。王宮のお菓子も美味しいけれど、これもまた格別ね」


あまりの美味しさに、パクパクと食べ進めていく。


「君、本当に王女らしくないね。お菓子を手づかみで、それも大口を開けて食べるだなんて…」


「あら、私だって公の場ではこんな事はしないわ。でも、ここには私とあなただけしかいないのだから、いいじゃない。レオナルド様も食べてみて、美味しいから」


私の勧めに、しばらく考えた後、シュークリームにかぶりついたレオナルド様。


「確かに美味しいね。それに、青空の下でこうやって食べるのも悪くない」


「そうでしょう?いつも気を張り詰めていたら、疲れてしまうわ。たまにはこうやって、マナーに囚われずに過ごすことも大切ですわ」


「君って子は…本当に変わっているね。でも、僕は君のような子、嫌いじゃないのよ…むしろ…」


「むしろ?」


「いいや、何でもない。それにしてもこのシュークリーム、美味しいね」


ふとレオナルド様の方を見ると、頬にクリームが付いていた。なんだかんだ言って、この人も子供ね。そう思い


「レオナルド様、頬にクリームが付いておりますわ」


そう言ってハンカチでクリームを拭いてあげた。


「あ…ありがとう…」


また頬を赤らめている。どうやらレオナルド様は、照れ屋の様だ。


「そうそう、レオナルド様。お母様が懐妊したの。今妊娠3ヶ月なのですって。私に弟か妹が出来るのよ。それにお母様も、もう少ししたら部屋から出てくる様だし。きっとお父様の気持ちも、少しは落ち着いたのね」


「そうか、ついに王妃様は懐妊したのか。これで少しは王妃様も自由に動けるな。オリビア、よかったね、やっと母上に会えるね」


「ええ、でも私はもう10歳よ。お母様を恋しがる歳ではないわ。それよりも、弟か妹が生まれるのが楽しみで仕方がないの。生まれたらめちゃくちゃ可愛がるつもりよ」


「オリビアならいいお姉さんになれるよ」


そう言ってレオナルド様が微笑んでくれた。話を聞くと、レオナルド様は一人っ子の様だ。小さい頃から、次期公爵として色々な勉強を受けてきたらしい。


「次期公爵も大変なのね。子供の頃から、毎日お勉強を叩き込まれるなんて」


「子供の頃から当たり前の様にやって来たから、何とも思わないよ。それより、君の方こそ大変だろう?」


「私はそんな事もないわ。お母様がずっと私に、マナーや勉強を叩き込んでくれたから。お母様はきっと、いつか国に帰った時に私が困らないようにと、色々と教えてくれていたみたい」


「そうなんだね。そういえば父上が言っていたよ。君は本当に頑張り屋だって」


「まあ、ミシュラーノ公爵様が!嬉しいわ」


「随分と嬉しそうな顔をするんだね。君は父上が好きなのかい?」


「ええ、好きよ。だって、ミシュラーノ公爵様は、お優しくて話も面白いし。本当に素敵な方ですもの」


「そうか…でも、残念だったね。父上は母上一筋だよ。だから、父上の事は諦めた方がいい」


なぜか真剣な表情でそんな事を言うレオナルド様。


「そんな事、わかっているわ。もう、レオナルド様ったら。私は別に、公爵様と結婚したいなんて思っていないわよ。私はね、この小説のヒーローの様な王子様と結婚したいの」


私の大好きな小説。村にいた頃、お母様のお手伝いをして貯めたお金で買ったのだ。私の宝物なの。


「このボロい…失礼。この小説のヒーローみたいな人か。ねえ、その小説、僕にも貸してくれないかい?どんなお話か、読んでみたいんだ」


「いいわよ、貸してあげる。とても素敵なヒーローだから」


その後も色々と話をした。レオナルド様は穏やかで、私の話を一生懸命聞いてくれる。それが嬉しくてたまらない。もっともっと、レオナルド様と仲良くなれたら嬉しいな。

次回、レオナルド視点です。

よろしくお願いしますm(__)m

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