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身体的な問題:脳の処理限界

早速ですが、問題について考えてみました。

まず初めに脳の処理限界についてです。


よろしくお願いいたします。

◇問題


 VR接続のためのヘッドセットなど仮想現実を実現するためのデバイスを使用のみで、脳は仮想現実内で流れる時間の体験を処理出来るのか?




◇前提のお話


 ニューロン、という単語を一度は聞いたことがあると思います。


 所謂(いわゆる)脳を構成する主な神経細胞です。このニューロンには入力機能を持つ樹状突起、出力機能を持つ軸索(じくさく)とその先端にあるシナプスがあるようなのですが……まぁそれはともかく。


 このニューロンさん、シナプスを使って隣のニューロンさんと一ビットの情報のやり取りをしています。情報処理に詳しくない方にも分かるように説明しますと、一ビットというのは「0か1か」とか「YESかNO」かを示す二択の情報です。


 で、人の脳って約一〇〇〇億個のニューロンから構成されているそうです。


 もしかしたら、「たったそれだけ?」って思うかも知れません。

 ですが脳の凄いところって、それが並列で繋がって情報を処理しているところです。これによって現代のスパコンでも到底及ばないような複雑な処理を行っているのです。


 そう、現代のスパコンでも脳には遥かに及ばないのです。


 二〇一三年の実験では、当時の日本最高峰のスパコン「京」を四〇個並列に繋いで、やっとこ脳が処理する演算能力の一%に達したそうです。凄いですね、脳って(小並感)。



 また話は少し変わりますが、昔「人間の脳というのは一〇%程度しか使用されていない」という説がありました。


 この説をご存知で信じている方もおられるかも知れませんが、一九九九年に神経科学者のBeyerstein, Barry氏によって、いくつかの論拠と共に否定されています。


 のちの研究でも「一日で見れば脳の一〇〇%が使われている」と解ったそうです。




◇脳が仮想現実内で流れる加速された時間の体験を処理するには


 さて、前置きが長かったですが、ここでやっと本題です。


 加速した時間の世界を体験するには、少なくとも身体的な意味で以下の二点をクリアする必要があると考えます。



・脳の情報伝達速度を上げる


 例えば現実で一分の間に仮想現実内で二分の時間を体感するためには、通常の半分の時間で脳が情報を伝達しなければなりません。


 逆の言い方をすれば、脳の情報伝達速度が倍になる必要があります。



・脳が受け取れる情報量を増やす


 これは情報伝達速度とはまた異なる問題で、「既に限界近く脳を使っているのに、処理する情報を増やした場合に人間はの脳が処理しきれない」ために、脳が受け止められる情報量を増やす必要があるということです。


 筆者などはADHDを持っており、少しでも耳で処理する情報が増えると性能限界を迎えて頭がパンクします。視覚、聴覚など五感の情報が何倍単位でくれば、私以外の人でもきっとそれが起こりますよね。聖徳太子でも混乱しそうです。


 ちなみに一秒間に脳が受け取る情報量は約五〇ギガバイトだそうです。ニューロンさんが処理する一ビットの約四三〇億倍にもなります。



◇脳の情報伝達速度を上げられるのか


 脳細胞のニューロンさんですが、VRヘッドセットなどを使って情報伝達速度を変えられるの? つまり時間感覚を変えることは出来るの?


 答えは否と考えます。


 VR接続デバイスを使ったからと言って、電気的信号を与えることで実際の肉体における情報伝達速度が変わるわけが無いですよね、物理的な話なので。これはSFだろうが無理でしょう。


 脳を改造したりとか、ハード的に弄れば出来るかも知れませんが、それも限界があるでしょう。ニューロンさんが伝達するのは電気信号です。電気を伝達する速度を超えるのは難しいです。




◇脳が受け取れる情報量を増やせるのか


 これについても、情報伝達速度と同じことが言えると考えます。


 電気信号だけで脳の活性化云々(うんぬん)などで受け取れる情報量が増やせる可能性もありますが、受け取れる情報量とは単純にバイト(八ビット)数で表されますから、一ビットを処理するニューロンさんたちの構造がそもそもネックになるのではないでしょうか。


 だとすると電気信号で劇的に構造が変わるわけもないでしょうし、そもそもどのくらい刺激を与えれば既定の値に変わるか個人差があるでしょうし解らない……。


 そのため、この答えも否と考えます。




◇この章の結論


 VR接続のためのヘッドセットなど仮想現実を実現するためのデバイスだけでは、脳は仮想現実内で加速した時間の体験を処理出来ない。


次回ではこの問題を打破するための技術を考察します。

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