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4日目

私がどうこう言う前に、穴のあいた壁は綺麗に直されていった。

いや、そりゃそうだ、この港町は、そりゃ当然これまでに何度もフライングフィッシュの被害に遭ってきただろうし、それこそ数十、数百年単位で。

あいつら空が飛べる割に海沿いから離れないから。なんでなんだろうな、あれ。


前世の世界では、動物や植物を研究してその生態を明らかにしていく職業が多岐に渡っていたが、この世界ではそうも言っていられない。まず倒す。それが先決だ。全くないとは言わないが、そういう研究者は大体が物好き扱いされる。そのため、フライングフィッシュなんていう、比較的ありふれた生き物や、羽鹿だって、その生態に不明なところが多いのだ。いや食べるけど。

この世界において重要なのは、それは食べられるか食べられないか。次に美味しいか美味しくないかだ。…うーん、自分で言っておいてなんだがあまりにも野性的。

これからのライフワークに、動物の生態調査を加えても…いや無理だな、少なくとも一人じゃ絶対無理だ。何せ魔法元素による魔物の突然変異が日常なんだ、前世の緩やかな進化とは訳が違う。

ああこれもしかして、調査をしないんじゃなく、やってはいたけどキリがなくて諦めたのか? なんだかそんな気がしてきた。


それはさておき、久しぶりに泊まった宿はやはり良いものだった。この街一番の宿だからな、それも相まって。

シティマスターが私をこんな良い宿に泊めてくれたのには理由があった。近頃、この近郊で、ガラント経由の物資が消える事件が多発しているらしい。物騒だなあ、魔物なら駆除しておくかと思ったらどうやらそれは人の手によるものらしく。駆除はできないよな流石にな。

それで、この近くで野営をしていた、ガラントから来た私に色々聞きたかったんだそうだ。

と言っても残念ながら私は何も知らなかった。それを伝えると、ではこれから見かけるようなことがあれば是非、ガラントのギルドにでもご報告を、と、念を押された。それも仕方ない、ガラントからの物資ということは真水も入っているのだろう。水は生命線だ、奪われていては話にならないだろうな。


快く引き受けてから、私は街を発つ前に、ガラントのギルドにこれを伝える手紙を出すことにした。恐らくシティマスターが既にやっているだろうが、あのお役所仕事がさっさと動くとは思えない。

…いや、それに関してはギルドが悪いんじゃなくて、冒険者支援が主な業務のギルドにあれこれ任せすぎているガラント領主が悪い。やつあたりだ、許せ。


まあそれは明日やることだ、今日はここまで。

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