お見送り
最近、自宅アパート近くの猫と仲良くなった。
ご近所さんが飼っていると思われる。
まるまるとした顔で、ぽっちゃりさん。首には赤く鈴付きの首輪をつけている。
私好みのかわいい猫さんだ。
ときどき、ごみ収集所の脇コンクリート塀の上でテリトリーの偵察をしている。
たいがい夕方遭遇するので私から話しかけていたら、最初は逃げられてしまっていたのだが、回を重ねるごとに慣れてくれて話しかけると「ニャー」とリアクションしてくれる様になった。
毎日いるわけではないが「今日は(飼い主さんに)外に出してもらえたのかい」「ご機嫌はどう」「テリトリー荒らししている奴らはいないかい」などなど。他人が見たら怪しいやばい人と思われるかもしれないが、犯罪をおかしているわけではないのでお許し頂きたい。去年長く実家で飼っていた猫に旅立たれ、石田ゆり子さんの様な猫との暮らしに憧れている私にとっては、久々の猫さんとの交流に胸躍る気分であったのだ。
ある朝、出勤前にアパートのドアを開けたら「ニャー」と猫の鳴き声がした。
いつも話しかけている猫さんが、珍しく朝ブロック塀の上から見ている。
私は迷わず駆け寄って話しかけた「こんな時間にここにいるなんて珍しいね。朝から外に出してもらえたのかい。良かったね」などなど。
いろいろ話たいところだが、出勤までの時間が迫っているこの辺で「じゃあね」と言って切り上げることにした。すると、「ニャー」といつもより大きな声で鳴いてくれて、まるで「いってらっしゃい」と言ってくれたような気がした。私が勝手にそう思っているだけなのだが。。。
一人暮らしを始めてから、誰かに見送ってもらう事がなくなった。そのことを寂しいと思う事はなかったのだが、猫さんにいってらっしゃいのニャーを言って貰ったらうれしくなった。
単純に私はさみしいだけなのかもしれないが、猫さんに見送って貰えるなんで幸せだ。
早くいっぱい稼げるようになって、ペットオッケーなマンションに住みたい。
でも、仕事にいっていると殆ど会えないんだよね。だったら多頭飼いだな。猫さんたちのお母さんになりたい。人生100年時代らしいから将来そんな生活できる様な夢を持っても良いはずだ。
やっぱり夢は石田ゆり子さんだな。




