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ひとびと2  作者: はちみつ
はちみつ日記2
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エサを与えてはいけません。か?

 都会で働くことになってから、ドラマに出て来るようなかっこいいオフィス街が自分のテリトリーになったと思ったが、テレビって現実よりきれいに映るものですね。現実は現実。テレビとは違う現実的実用的な都会のオフィス街にすっかり慣れた。

 先日、梅雨入り前にオフィス街のオアシスのような誰でも自由に使えるテラスでお昼にコンビニ弁当を食べた。少し暑かったけれど、爽やかな風が吹いてきて心地よい。このオアシスだけは、ドラマに出てくる感じだ。雨天以外はこのテラスでお昼を食べようと決めた。

 翌日、例のテラスでナチュラルなコンビニで買ったお弁当を食べていたら、スズメがそばに近づいてきた。スズメって飛んでいるか、留まっているかのイメージだったので珍しいと思った。見えているかどうかわからないが、とても小さな目で顔も向けずにこちらの様子を伺っているように感じられる。昔、実家で犬を飼っていた時に食べ残しのドックフードを鳥がくわえて飛び立って行った事を思い出し、お弁当のごライスを少しだけスズメのいる方へ取り出してみた。

 すると、すぐにスズメはくわえて飛び立った。やはりエサを狙っていたようだ。まだ少しご飯が残っていたので、自分の近くに取り出してやったら、別のスズメが躊躇せずに取りに来た。どうやら、ここでは他にもエサをくれた人がいたのだろう。だから、人を恐がらずに近寄ってきたのだ。

 都会の一人暮らしに慣れたとはいえ、生き物とのかかわりって心温まる。一方的にエサをあげたけれど。少し心が和んだ。

 翌日も同じようにご飯を放ってやったら、待っていましたと言った様にスズメたちが取りに来た。

 それから数日中は、テラスでお昼を食べてスズメにご飯を上げるのが日課になったが、この日はテラスの近くでワゴンの出張タコライスの販売をやっていて、コンビニ弁当ではなくタコライスを買った。タコライスだから、ご飯もちょっと辛かった。

 だが、スズメさんたちはそんなことは知らずいつもと同じようにエサをもらいにやって来た。スズメに辛いごはんをあげても大丈夫だろうかと少しだけ心配したが、取り出してやった。

 結果は、辛い物はNGだったようだ。スズメさんは辛さにビックリしたのか目を何度もぱちくりさせて、ご飯をくちばしの上につけて何度もピョンピョンはねてから飛び立っていった。

驚かせる気は全くなかったのだが、これでは私は舌切り雀のお話に出て来る舌をきっちゃった人みたいではないか。とても申し訳なく、スズメさんにごめんなさいと言う気持ちでいっぱいにになった。

その後、スズメさんの状況はどうなっただろうか。小さな生き物であるがゆえに命にかかわるようなことになっていませんように。どこかで美味しいエサをもらえていますように。

 そんな私は、罰があたったのかスズメさんたちが取りに来なかった辛いご飯を拾おうとしたら、キャップのしまっていなかったペットボトルのミネラルウォーターをスカートにこぼしてしまい、おなかを冷やして壊し一週間くらい整腸剤のお世話になった。

 無責任に動物にエサを与えてはいけないと教えられた気がした。


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