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 俺と坂本紅葉が山荘に到着しても、出迎えは無かった。

 歓迎は勿論の事、心配もされていない。

 むしろ非難がましい眼差しを向けられる。

 確かに遅刻と言えば遅刻だが、状況が状況なのだから少し位は心配してくれても良いのでは無かろうか。

 と言うか時刻など定められてないのだから遅刻では無い。


 ただ、皆は昼食の準備をすでに始めていた。

 夏の山荘でバーベキュー。


 なんてありきたりなんだろう。

 でも、せっかく真夏の山荘にいるのだ。

 王道を行った方が良い。

 下手に奇を衒って登山の苦労を無駄にはしたくない。

 整備されていない道は山道だけで充分。

 邪道は個人で楽しめば良い。

 もっとも、登山と言うほどの峻厳さも俺たちがいる山には無いが。


 うだるような夏の暑さは雨が上がった今も緩和されている。

 濡れた土草の匂いが炭火と肉の匂いに混じって鼻をくすぐった。

 嫌な気分はしない。

 デスクワークでは得られない爽快感。


「大丈夫か?」


 坂本紅葉に体調を訊ねる。


「はい!」


 それは虚勢を張った声ではなく、活力を感じさせる声だ。

 彼女も山の力を感じて生命力が活性化しているのだろうか。

 今なら宗教やスピリチュアルの勧誘に耳を傾けてしまいそうだ。


 山荘の男性社員用荷物置き場に荷物を置き、青空の下に再び飛び出す。

 自分でも意外なほど気分が高揚している。

 


 



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